日本語表現の「中身」や「内容」は、英語では content の語でおおむね無難に表現できます。文脈によっては substance と表現した方がよい場合もあります。
content はどちらかといえば概要・総体、substance は質・本質を指すニュアンスがあります。content は具体的な内容物から抽象的な内容まで幅広く使えます。
文脈によっては、もっと表現を選んだ方が趣旨がうまく伝わる場合もあります。たとえば outline(概要)。語彙力と発想力を鍛えて言い換え上手になりましょう。
目次
「内容」は content でおおむね無難に表現できる
content は中身・内容・内容物を指す語として広く使える表現です。
いわゆる「中身」の意味で用いる場合は、基本的に複数形で contents と表現されます。cont. と略記されることもあります。
content(s) は「容器に収まった中身(内容物)」、「物語の内容」、あるいは「話の概要・目次」(table of contents)といった意味で用いられます。
スピーチの内容
複数形の contents で contents of speech と表現する場合、内容は「話の概要」というよりは「具体的な発言内容」という趣旨に傾きます。
単数形と複数形の扱いに注意
content は、話の趣旨・要旨・主意、といった意味でも用いられます。「形式と内容」という対比が半ば前提された意味合いです。
こちらの「形式に対する内容」という意味合いにおいては、 content は不可算名詞として扱われます。複数形にはなりません。
単に「中身」「内容」という意味で用いる場合は複数形(contents)の方が普通、という点も相まって、ちょっと扱いの難しい部分です。
メールの内容
レッスン内容
内容が豊富
いわゆる「コンテンツ」は単数形の content が普通
ウェブページを通じて発信される情報は日本語でも「コンテンツ」と言ったりしますが、この「ウェブコンテンツ」は英語圏では基本的に Web content と表現されます。
ウェブページにおけるコンテンツは、往々にして、ページのデザイン・レイアウト・UI(ユーザーインターフェース)といった要素と対比して扱われます。「《形式》と対比される《内容》」だから不可算名詞の扱い、と解釈してしまっても、あながち間違いではなさそうです。
ウェブデザインとコンテンツ、どちらがより重要か
―― Accrisoft Blog , Tuesday, April 9, 2013
ウェブデザインとウェブコンテンツ、高コンバージョンにはどちらを問題視すべきか
―― Kuno Creative Blog, Oct 7, 2014
「内容」を「要旨」「本質」と言い換える
文脈によっては「中身」や「内容」とは言わず、もっと他の(より具体的な)表現に置き換えた方が、適切に伝わる場合が多々あります。
ひとくちに「物語の内容」といっても、「あらすじ」「詳細」「要点」のような観点が含まれ得ます。こうした点も意識すると、微妙なコミュニケーションのズレが減らせます。
substance
substance は「要旨」「実質」あるいは「真意」といったニュアンスが中心です。content に比べると少し硬い響きがあります。
具体的な物・物体について言及する文脈では、substance は物・物体を構成する《物質》を指す語として用いられます。
- carcinogenic substance 発がん性物質
- radioactive substance 放射性物質
gist
gist も「要点」「要旨」あるいは「大意」といった意味で用いられます。本や議論の「言わんとすること」を指す語です。
もっぱら定冠詞つきで the gist (of~) の形で用いられます。
point
point にも「趣旨」「要点」といった意味の用法があります。「論旨」「論点」「主眼を置く部分」といったニュアンスがあります。
point も、この意味で用いる場合は定冠詞を伴って the point (of ~) という形を取ります。
「内容」を「概要」「大筋」と言い換える
「話の内容」の意味するところが「概要」「あらまし」「大まかな内容」といったものであるなら、summary や outline のような語で言い換えるとよいでしょう。
summary
summary は「要約」「かいつまんで言うところ」「話を簡潔にまとめる」「手短にまとめる」というニュアンスで「要旨」「概要」「あらまし」を表現する語です。
物語においては「あらすじ」、経歴について言及する文脈では「略歴」といった意味でも用いられます。
「かいつまんで述べる」という動作・行動は動詞 summarize がピッタリはまります。
outline
outline も「概要」「あらまし」の意味で用いられる語です。もともと「輪郭線」を指す語ということもり、特に「簡略に描いてみせる」というニュアンスが中心です。
全体の方針の(おおよその)枠組み、全体像、といった意味で使えます。
résumé
論文などの要旨をまとめた文書は特に résumé (レジュメ)と呼ばれることもあります。使用場面は限られ、もっぱら論文の要約(梗概)か、あるいは履歴書を指して用いられます。
résumé は仏語由来の外来語で、原語は英語で使わないアキュート・アクセント(acute accent)記号を伴います。英語では、記号を省略して resume と表記する場合もありますが、記号を省略せず résumé と表記する場合もあります。resumeだと同綴異義語が発生してしまいますので。
「内容」を「詳細」と言い換える
「話の内容」といって想定している対象が、要旨や大筋でなくて、もっと細かく具体的な事柄である場合、detail のような語で表現するとよいでしょう。
details
「細部」「詳細」といった意味では名詞の detail が使えます。基本的には可算名詞として、複数形 details の形で用いられます。
details of contents 、あるいは detailed contents とも表現できます。
さらに柔軟に表現を言い換える
「中身」や「内容」といった単語レベルで表現を置き換える、という考え方に囚われなければ、もっと大胆な言い方も可能です。
物語の「話の中身」を言い換える表現
本や映画といった物語の「内容」は、話の流れという意味で story of book と表現してしまうこともできます。あるいは、what happened in the movie(劇中で何があったか)と表現してもよいでしょう。
どんな映画だったか思い出せない
疑問詞は言い換えに便利な表現
I can’t remember what happened ~ の what は、「何があったのか」という意味合いを示し、その点で疑問詞(疑問代名詞)と解釈できます。
疑問詞 what を使って述べると、従属節の中で主語や動詞が使えるため、話者自身が想定している「内容」の具体像が表現しやすくなります。
彼女が何について話したのか分からなかった