「何とも言えない」は英語でどう言う?

うまく言葉で表現できない状況を「何とも言えない」という風に表現するような言い方は、英語にもあります。賞賛、酷評、判断保留と、場面に応じてさまざまなニュアンスを込めて使えます。ただし、それだけに扱いは難しい言い回しでもあります。

「言葉にならない」という表現は、その意味や趣旨を文脈に委ねることになる、上級者向けの表現です。まずは、多少言葉足らずでも、自分の見解を明示できるような言葉を探しましょう。

字面通り「何とも言えない」と述べる言い方

日本語の「何とも言えない」という表現をそのまま英語で表現してしまう言い方はアリです。ただし発言の趣旨は相手の解釈に委ねることになるでしょう。

I can’t say.

「何とも言えない」を直接的に英語で表現するなら、I can’t say. のような一文になるでしょう。意味用法ニュアンス共に日本語と同じ感覚で使える言い方です。もちろん、ものすごく文脈に依存する表現です。

I can’t really say.  のように副詞を加えて強調する言い方もよく用いられます。

can’t (cannot)で動詞を否定する言い方の他に、hard (to) や tough (to) といった否定語として機能する 形容詞を用いる言い方もできます。この場合、主語は1人称(I)ではなく形式主語 it になります。

  • It’s hard to say.
  • It’s tough to say.

主語と be動詞を省いてしまって Hard to say. とだけ述べるような言い方もよく用いられます。

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I can’t find the words.

I can’t find the words. は「言葉が見つからない」という切り口で「何とも言えない」さまを名状する言い方です。

words for ~と続ければ、「何に対して(言葉が見つからない)」のかを表現できます。

I can’t find the words for my feelings.
自分のこの気持ちを表現する言葉が見つからない

words to +動詞 と続ければ、「何を意図する(言葉がみつからない)」のかを表現できます。

I can’t find the words to express my apology.
なんとお詫びを申し上げればよいか
I can’t find the words to express my gratitude.
感謝の言葉もございません

indescribable、 inexpressible

indescribable は形容詞で、in-describ-able という構成そのまま「名状-でき-ない」と表現する言い方です。日本語で言うところの「筆舌に尽くしがたい」に近いニュアンスがあります。

inexpressible も「説明-でき-ない」と表現する言い方です。意味合いも用法もほぼ indescribable と同様です。

名詞を形容して indescribable taste(名状したがい味)のように 表現する(形容詞の限定用法の)言い方にも使えますし、My sadness is indescribable.  のような(叙述用法の)言い方にも使えます。

speechless

speechless は speech(発言)が -less(ない)ということで「口を利かない」「物を言わない」「無口の」といった意味合いを基本とする形容詞ですが、「言葉では言い表せないような」という意味合いや、感動のあまり「言葉を失ってしまっている」という意味合いで用いられることもあります。

je ne sais quoi

je ne sais quoi はフランス語がそのまま英語の中で用いられる、一種の外来語表現です。英語に逐語訳するとすれば「I do not know what.」といったところです。

英語の中では je ne sais quoi が1個の名詞として扱われ、「名状しがたいもの」「いわく言いがたいもの」といった意味で用いられています。

ちなみに発音は、OxfordDictionaries によれば /ˌʒə nə seɪ ˈkwɑ/ 。「ジュナセィクヮ」のような感じです。

beyond description

beyond description は「叙述(description)の範囲を超えている(beyond)」と言って「何とも言えない」と表現する言い方です。

表現できる域を《超えて》いる、ということで「素晴らしい」という肯定的評価まで含んでいる言い方といえます。「言葉では言い尽くせない」「筆舌に尽くしがたい」という意味合いと捉えてよいでしょう。

beyond description は、 It’s beyond description. という風に形容詞扱いの叙述にも使える他、It is beautiful beyond description.(言葉では言い尽くせないほど美しい)というような副詞的な扱いでも使えます。

too ~ for words

too (形容詞) for words は、「あまりに ~すぎて言葉にできない」という意味合いの言い回しです。一応、どんな様子であるかは言明(形容)しつつ、その程度が「言語に絶する」シロモノであることを示せます。

words cannot describe ~

words cannot describe (+名詞). は、「言葉ではそれを言い表せない」と述べる言い方です。words(言葉)を主語に位置づけている(無生物主語を用いている)という点でかなり英語的な表現といえます。

words を主語にしたまま愚直に訳すと「言葉は(それ)を言い表せない」といった感じになる所ですが、日本語は基本的に無生物主語を用いないので、訳文は大抵「それは言葉は表現できない」というような形に調整されます。

As I watched it rise up from the ground, words can not describe my feeling.
地面からそびえたつそれを見て、私は何とも言えない気持ちになった
――The New York Times, OCT 6, 2002

感動詞的に表現する言い方

「何とも言えない」という感覚を敢えて言葉で表現するなら、「何とも言えないほどですね」のような叙述になるでしょうけれど、素朴に「うおお~」とでも叫んで文字通り言葉を失う方法も表現としてはアリでしょう。

Wonderful. とか Crazy ! とかいうような一言も、歓声あるいは嘆息と共に述べれば、言葉にできない感情が渦巻いているさまを示すことは十分に可能なわけです。まあ、話し言葉に限りますが。

Oh my God !(感嘆詞)

Oh my God ! は英語における感動詞の典型、言葉を紡ぐ以前の感情の発露を表現する言い方です。喜怒哀楽いずれの意味合いでも用いられます。My God ! と略されたり Gosh. と略されたりします。

Oh my God ! に限らず、Oh no. とか Wow ! とか、あるいは Crazy ! (どうかしている)とか Incredible. (信じられない)とか、衝撃を感動詞的に表現する言い方は、「言葉にならない」感を表明する言い方としては十分に活用できます。

ただし、あまりに多用すると陳腐に聞こえたり語彙力の乏しい人と思われたりしがちなので、ここぞという場面に限って使うようにしておきましょう。

what 、how (感嘆文)

What a wonderful ! (何と素晴らしいのだろう)という風に疑問文の形式を用いて程度の計り知れなさを表現する修辞法を「感嘆文」と言いますが、これは言葉では表現できない感を表現する言い方としては最も扱いやすく無難かもしれません。

素晴らしさの程度はあえて特定せず、「どれほど素晴らしいのだろうか」という疑問を投げかける、それによって「どれほどと特定できないくらい(何とも言えないほど)素晴らしいのだ」と示すわけです。


「どちらとも言い切れない」という意味合いの言い方

「何とも言えない」という日本語表現は、「言葉にならないくらい(すごい)」という《突き抜けた程度》を表現する場面の他に、《どっちつかず感》というか、いわゆる「微妙さ」を表現する場面でも用いられがちです。

判断材料が十分でないため良いとも悪いともいえない。あるいは、良い部分も悪い部分もあるため一概に断じることは難しい。そういう意味合いで「何とも言えない」と表現する場合、英語では少なくとも「どっちつかず」の意味合いを表現できる言い方を選ぶように意識した方がよいでしょう。

a double-edged sword

a double-edged sword は、日本語でいう「諸刃の剣」、肯定的な側面と否定的な側面とが表裏一体となっているような状況・性質を表現する慣用的表現です。

「物事には良い面と悪い面の両面がある(から、何とも言えない)」という意味合いで使える言い回しです。

Psychologically, ” luck is a double-edged sword, ” said Catherine Romero.
心理学的には「運というものは諸刃の剣である」とキャサリン・ロメロは述べている
――Houston Chronicle, Monday, March 16, 2009

too early to tell

too early to tell は、「(まだ)語るには時期が早い」と表現する言い方です。

「今は全容が分かっていないので判断は見送る」という意味合いに加えて、「これから詳しく見て判断しよう」という意味合いも含みます。

ちなみに too early to tell は 「~するには ― すぎる」という構文が用いられています。

“He’ll probably love sports, too, but it’s a little too early to tell,” Lisa said.
「彼はスポーツをおそらく好きになるだろうけど、ちょっとまだ何とも言えないわ」とリサは言った
――The Denver Post, November 4, 2015

It depends.

It depends. は「時と場合による」、すなわち「状況や見方によってどうとでも言える(から一概にはいえない)と表現する定番のフレーズです。

It depends. は It depends on ~ を省略した言い方です。depend on は「(~に)依存する」「~次第」という意味の熟語表現。It depends. をさらに略して Depends. とだけ述べる言い方もあります。

Well, you know, it depends.
うーん、まあ、なんとも言えないなあ

Yes and no.

yes and no. は「アリとも言えるしナシとも言える」という切り口で「どちらとも言える=どちらとも言えない」状況を表現する言い方です。

肯定的な見解もあるし、とはいえ否定的な見解もある、どちらか一方に絞るのは難しい、そんな場面で断言を避ける際に使える便利表現です(もちろん多用は禁物です)。

Yes and no. I think the answer has changed over time.
何とも言えません。良し悪しは時間とともに変わっていくでしょう。
――The CS Monitor, AUGUST 4, 2015

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