「気になる」という日本語表現は、好意・好奇心・懸念・不安など、さまざまな意味を込めて用いられます。英語で「気になる」と表現する際には、そこに込められた意味合いに応じて表現を使い分ける必要があります。
気になっている対象にどのような感情を抱いているのか、どういった種類の関心を向けているのか、具体的に意識して表現を選びましょう。特に難しいことではないはずです。
目次
興味・関心・好奇心があって「気になる」場合
interest
interest は「興味」という意味合いの基礎的・一般的な表現です。名詞および他動詞の用法があります。
名詞として用いる場合は have an interest in ~ のような形で表現されます。「~に興味を持っている」という意味合いです。
彼は我々の話が気になるようだ
動詞として「気になる」の意味で用いる場合、現在分詞(Interesting)または過去分詞(Interested)の形容詞用法が一般的です。Interest は他動詞なので、対象を主語として It’s interesting. と表現する、あるいは、自分を主語にして I’m interested in ~ のように表現する (I’m interesting. とはいわない)点に注意しましょう。
英語で「退屈」を表現する形容詞 boring と bored の使い分け方
「意中の」も interest で表現できる
be interested in~ の対象(in~の部分)に人物が置かれる場合、好意を抱いている、密かに慕っている、というようなニュアンスの「気になる」が表現できます。
彼のこと気になるの?
curious
curious は「好奇心が強い」「物を知りたがる」といった意味合いの形容詞です。
前置詞 about を伴った curious about ~ の形を取り、「~について好奇心を抱いている」「知りたがっている」といったニュアンスの「気になる」様子が表現されます。
curious は、良い意味でも良からぬ意味でも用いられます。文脈によって、知的好奇心が旺盛というニュアンスの場合もあれば、詮索好き・野次馬根性といったニュアンスの場合もあります。
あそこで一体何が起こっているのか気になる
wonder
wonder は「不思議に思う」という根幹イメージのある動詞で、主に「驚く」とか「訝る」といった意味合いで用いられますが、「思い巡らす」「思案する」といった意味合いでも用いられます。いったい何事だろうか、という風に気にかけているわけです。
何が起こったのか気になっている
現在進行形 wondering の形を取って用いられる場合もあります。これは婉曲的に(丁寧に)相手に問いかける訊ね方としても多用されます。過去進行形で表現すると、さらに恭しく丁寧な問いかけや依頼の表現になります。
彼女は今どこにいるのでしょう
不安・心配があって「気になる」場合
worry
worry は「心配する」の意味で用いられる基礎的な動詞です。他動詞としても自動詞としても使えます。自動詞の場合は前置詞 about を伴って不安の種を指し示します。
worried about ~ の形を用いて「心配している」と表現すると、「気になる」というニュアンスがうまく表現できます。
子供たちが上手くやっているか気になる
anxious
anxious は形容詞で、「心配している」「案じている」という意味を表現します。前置詞 about もしくは for を伴って「~を案じている」と表現できます。
彼は妹の健康を気にしている
concerned
動詞 concern は基本的には「関係している」という意味合いですが、「人を心配させる」という意味で用いられることもあります。 concerned about ~ の形で「心配している」「案じている」という意味合いを表現します。
両親は私の人生設計をとても気にかけていました
悩みの種として「気になる」場合
悩みのタネとして気になるもの、虫歯や蚊のような存在。この手の「気になる」ニュアンスは bother や annoy のような語でうまく表現できます。
bother
bother は「悩ます」という意味の他動詞です。迷惑や心配をかける・相手の心の平穏を乱す、というニュアンスがあります。
和訳する際に「気にする」のように訳するとしっくり来る場合が多々あります。
そんなことを気にしている時間はない
annoy
annoy /ənˈɔɪ/ も「悩ます」という意味の他動詞で、苛立たせる・不快にさせるといったニュアンスがあります。
「気になる」というか「気に障る」と表現した方が近いかもしれません。気になっているさまは主に過去分詞の形で表現されます。
彼の出す音が気になってしょうがない
常に脳裏にあるさまを表現する言い方
on one’s mind
on one‘s mind は常に心のうちに抱えているさまを表現する言い回しです。多くの場合 have ~ on one’s mind のような形で用いられます。《心配ごとが頭から離れない》というニュアンスで用いられる場合が多いようです。
みんな期末試験のことが気になっている
stuck
stuck は stick(貼り付ける)の過去分詞で、「貼り付けられている」「貼っ付いている」さまを表現できる言い方です。たとえば、be stuck with that idea のように表現すると、「その案が頭から離れない」という感じで、ずっと気になっているさまを表現できます。
老人はある考えが頭から離れなかった
cannot stop thinking
素朴に「考えることを止められない」と表現する手もあります。cannot stop thinking といえば、ずっとそのことを考えている、という意味で「気になっている」さまが表現できます。
彼女のことが気になって仕方ない
「気になってきた」と表現する言い方
最初は気にも留めなかったが、変節して、だんだんと興味や心配の対象として気になってきた、という場合。interest や worry のような語を使って表現できますが、動詞使いを工夫して「なってきた」のニュアンスを加えましょう。
developing interest
ポジティブに「興味が出てきた」というような場合には be developing interest in ~ のように表現できます。Interest(興味)がだんだんと拓けてきた、というニュアンスがあります。
彼は徐々にバレーボールに興味をもってきた
getting worried
ネガティブな事柄について「心配になってきた」というような場合には、be getting worried about ~ のような表現がよいでしょう。
get worried で「不安になる」という状態移行が表現できます。これを進行形で述べることで、だんだんと不安に駆られるようになってきたニュアンスが表現できます。
彼女はドアが閉まっていたかどうか気になってきた
「気にならない」と表現する言い方
「気になる」とは逆に「気にならない」と述べる場合、「気になる」を否定して don’t have Interest のように言う形もアリですが、もっと違った言い方もあります。
do not care
do not care (about ~)は「気にしない」「気にも留めない」といった意味で幅広く使える表現です。
比較的キツい語調に響き安く、淡白な口調なら「知らん」、強めの口調で言えば「知ったことか」というニュアンスで聞こえます。
彼は噂なんて気にしないよ
どうでもいい
It doesn’t matter.
It doesn’t matter. は「問題ない」「大丈夫だ」という意味合いで「気にしない」と表現できる言い方です。「どちらでも結構」という意味でも多く用いられます。
これも強めの口調で述べると「そんなん知ったことか」というような突き放した一言に聞こえます。
そんなに気にならないよ
だから何?私には関係ないわ