日本語の「気を付けて(ください)ね」という表現は、文脈に応じて意味合いやニュアンスが違ってきます。英語では意味・ニュアンスごとに表現を選べます。
注意を促す意味合い、あるいは、配慮の気持ちを伝える意味合い、等々、場面に応じて表現を選びましょう。悩んだらとりあえず take care か be careful と表現しておけば無難に通じます。
英語で「危険」「危ない」を意味する表現の種類と使い分け方
基本は「care」「sure」「safe」
care は「注意」の意味で汎用的に使える表現
care は、日本語で「気にかける」「注意する」を表現する場面に幅広く対応する、基本的で汎用的な表現です。たいていの場合、take care 、 carefully、be careful といった形で用いられます。
take care
take care は、「注意する」「気をつける」「気にかける」という意味合いの熟語表現です。《他動詞+目的語》の組み合わせですが、まとめて1個の自動詞であるかのように扱えます。
take care to do の形にすれば「~するように注意する」、take care that ~ の形にすれば「~を注意する」という趣旨が表現できます。前置詞 of を続けて take care of の形を取る場合は、多分に「世話をする」「面倒を見る」というニュアンスの表現として用いられます。
気をつける程度を強調したい場合には take good care (十分に気をつける)と表現できます。
Take care ! と呼びかける言い方は、別れ際のあいさつ表現の定番でもあります。
お身体にはお気をつけて(お元気で)
帰り道に気をつけて下さい
道を横切るときには気をつけなさい
何も壊さないよう気をつけなさい
be careful
be careful は、「気をつけてね」という呼びかけ表現としてよく用いられる言い方です。
careful は care に接尾辞 -ful が付いて「care に満ちた」状態を指す形容詞です。He is careful. というような叙述でも使えますが、命令形で用いることの方が多いでしょう。
Be careful. という呼びかけ表現は、未然に防ぎたい事柄について注意を促すような場面で多く用いられます。たとえば、事故、失敗、ケガ、あるいは風邪で寝込むような事態などが主に念頭に置かれます。
そのグラスに気をつけて、両親からのプレゼントなの
その角を曲がったら注意して道を見てください
風邪を引かないよう気をつけてください
余震には気をつけて下さい
(動詞+)carefully
carefully は care – careful – carefully の派生系列に連なる副詞表現です。動詞に言い添えると「十分に注意して」「入念に」といった意味合いが加えられます。
運転には注意してね
注意して考えて
もっと注意して見て!
have a care
have a care は、「気をつけなさい」という意味で用いられる定型フレーズです。もっぱら命令形で、注意喚起のフレーズとして用いられる言い回しです。
兄ちゃん、気ぃつけなよ!
気をつけなさいよ、でないと迷子になるよ
safe は危険・不確実な場面について用いる表現
safe はおおむね日本語の「安全」に対応する意味合いの語です。「無事」あるいは「危険がない」と解釈してもよいでしょう。何かしらの懸念が想定される場面で使われやすい語といえます。
「気を付けてね」と呼びかけるような場面では、safe の副詞形である safely(安全な方法で)を動詞に添える形で使われます。
運転気をつけてね(安全運転をしてね)
気をつけて帰ってね
気をつけて旅行してね
(make) sure は確実さを求める場面で用いる表現
sure は、「確かな」「きっと」と訳されることの多い表現です。注意を促す際には、make sure(~を確認する)というお決まりのフレーズで使われます。「必ず~するように」といった確実さを求めるニュアンスがあります。
何かを忘れないよう注意を促す際に使われます。
他にも、忘れないよう注意を促すフレーズとして、do not forget to do や remember to do などが使われています。
ベットに入る前に明かりを消してくださいね
そこに30分前に着くようにしてください
忘れ物がないか注意してください
場面別ニュアンス別に「気をつけて」と表現する言い方
watch(注意して見よ)
watch は、「見る」を意味します。そこから、「注意して見る」、「気をつける」という意味でも使われます。危険を知らせるとき、また不注意な態度を非難するときに使われます。
カジュアルな表現なので、友人間の会話では頻繁に登場します。
watch out(気をつけて)と同じ意味のイディオムで、look out と mind out があります。mind out は主に英国で使われる表現です。
足元に気をつけて
言葉に気をつけな!(失礼な言葉を使うな!)
車に気をつけて!
mind(気にかけよ)
mind は「気にする」「心配する」を意味します。そこから、「注意する」「気をつける」という意味でも使われるようになりました。
watch と似ていますが、mind は主に英国で用いられている表現です。
気をつけて!トラックが来てる!
箱に気をつけて、底が壊れやすくなっているの
マナーに気をつけなさい!
be wary(怪しいものにご用心)
wary は、物事や人を完全に信用しない、用心深いという意味があります。be wary で「用心しなさい」を意味します。何か怪しいものに対して、注意を促すときに使われます。
見ず知らずの人には注意して
beware of(警戒せよ)
beware は「用心する」を意味します。人やモノに対して細心の注意を払う必要がある、というニュアンスを多分に含みます。基本的に命令形で使います。
この地域ではスリに用心してください
pay attention(注意を-払え)
pay attention は、pay(払う)、attention (注意)ということで日本語の「注意を」「はらう」という言い回しとぴったり対応する言い回・共起表現(コロケーション)です。
pay attention は「注意」というより「留意」のニュアンスを含む表現です。
異なる部分に注意して
keep your eyes open(よく見て注意しておけ)
keep your eyes open を直訳すると、「目を開いておく」となります。つまり、注意して何かを見ていなさいという意味で使われます。
keep your eyes wide open と言い換えることもできます。
be on the alert(警戒しておけ)
be on the alert は、警戒状況にあること、また油断なく準備することを指す言い方です。少し硬い表現です。
alert には名詞・動詞・形容詞の各用法があります。名詞としては「警報」「警戒態勢」、動詞では「警報を発する」「警告する」、形容詞としては「油断のない」「警戒している」といった意味合いが中心です。
油断するんじゃない
よりよい選択肢のために気をつけていなさい