英語で「悲しい」という心情を形容する表現は sad が基本といえますが、sad の他にも悲哀や悲嘆、あるいは失意や憂愁を表現する英語表現があります。
感情の細かい種類やニュアンス、あるいは感情の強さ・激しさを表現できる適切な言葉が身につくと、表現力もさることながら、感受性にも磨きがかかってくる手応えが得られます。
「悲しい」と形容する主な言い方
sad は幅広く使える基礎的表現
sad は「気持ちが unhappy になる」というような意味合いで、日本語で「悲しい」と表現しうる大抵の場面で使える汎用的な表現です。
sad は悲しくなった要因の種類や悲しさの度合いにかかわらず使えます。服を裂いて嘆くような悲しみも、なんとなく気分が沈んで悲しげな気持ちといった様子も、 sad と形容できます。
彼の死を耳にしてとても悲しい
今日はなんだか悲しそうね、何かあったの?
幼い子供は悲しくなりやすい
ちなみに sad は形容詞です。名詞形が sadness 。動詞形で sadden という表現もあり、自動詞(悲しくなる)および他動詞(悲しませる)のどちらの用法もあります。
副詞を添えれば程度もあらかた表現できる
sad は悲しさの程度を限定しない汎用的な表現なので、sad 単独ではどのくらい悲しいのか伝わりにくい部分があります。
状況に応じて程度を表現する副詞を添えると、悲しみの程度はより具体的に表現できます。
- slightly sad (ちょっとだけ悲しい)
- so sad (とても悲しい)
- deeply sad (ひどく悲しい)
- extremely sad (すこぶる悲しい)
さらに具体的な悲しみの種類やニュアンスまで表現するなら、他の言葉を使った表現を試してみましょう。
unhappy とも表現できる
unhappy は主に「不幸」「不運」といった意味合いで用いられますが、叙述的用法で用いられる場合は特に「悲しい(気持ち)」という意味で用いられることがあります。
叙述的用法でも、不幸・不運・みじめといったニュアンスで用いられる場合も多々あります。訳出する際の言葉の綾と捉えた方が良いかもしれません。
sorrowful は深く悲痛な気持ち
sorrowful は名詞 sorrow に接頭辞 -ful のついた表現で、不幸・悲運を嘆いて、悲嘆に暮れる、そんな深刻な悲しみを表現する語です。「悲痛」の語に通じるニュアンスがあります。
過去には戻れない。私の心は悲しみであふれた
彼は何も言いませんでしたが、彼の顔を見れば、その悲しみようが伝わりました
mournful は死を悼む慟哭のような悲しみ
mournful は動詞 mourn から派生した表現です。「死に対する悲しみ」「死者への哀悼」のニュアンスを想起させます。
動詞 mourn はもっぱら「死を悼む」「弔う」あるいは「喪に服する」という意味合いで用いられ、その他の悲しみを形容する文脈では用いられません、ただし mournful はもっと幅広い文脈で「哀しげな」というような意味合いで用いられます。
いまだに母の死を悲しんでいます
私たちは家族の死に対して長いこと悲しんできました
国民は殺害された指導者を悼んだ
grief は誰かを失ったことによる悲しみ
grief は絶望にとらわれるような深い悲しみを指す語で、特に親しい人との離別や死別による心痛という意味で用いられることの多い語です。
grief は名詞で、形容詞は grievous 。
両親の離婚はとても悲しいことだった
息子の死に対する彼女の悲しみは悲惨だった
彼女は夫を亡くしたことによる悲しみから立ち直るのに何年もかかった
gloomy は気分が沈んだ悲しい気持ち
gloomy は薄暗くて陰鬱な様子を形容する表現で、主に空模様や部屋の雰囲気の「どんよりした」感じについて用いられますが、人物の「憂いに満ちた」様子や「ふさぎ込んだ」心持ちを形容する場合もあります。
gloomy の和訳が必ずしも「悲しい」となるとは限りませんが、日本語の「もの悲しい」「うら悲しい」といった心境を英語で述べる場合には gloomy がぴったり合うことが多々あります。
みんなが新しい髪形を笑っていることを知ってから、気分が沈んだ
なんだか憂鬱。きっと、このいやな天気のせいだ
disappointed は失望に起因する悲しみ
動詞 disappoint(失望させる)の形容詞形 disappointed も、悲しみを形容する表現として使えます。もっぱら「落胆」や「失望」による悲しみを形容します。
彼が来なかったことにとても落胆した
彼は失恋してとても落ち込んだ
melancholy は特に理由もなく気分がふさぐ「もの悲しさ」
melancholy は、特定の理由・要因があるわけでもないのに悲しく憂鬱な気分になってしまう状況を指す言い方です。悲しい気分と憂鬱な気分が心に去来しているような心境といえるでしょうか。
日本語では「うら悲しさ」や「憂愁」のようにも訳されますが、ニュアンスが完全にピッタリするわけでもないため、あえて和訳せずカタカナでそのまま「メランコリー」と書かれたりもします。
秋, 特に夕暮れ時は, われわれを物悲しい気持ちにさせる
なんとなく悲しい気持ちで我が家を出た
lament は「悲しみを表明」する動詞
lament も「嘆き悲しむ」「悔いる」といった意味の言葉(名詞・動詞)ですが、ただ悲しみを抱くだけというよりは、泣いたり哀悼の意を示したりといった形で悲しみを表現する意味合いがあります。
彼女に真実を伝えるチャンスを失ったことを、何度も嘆き悲しんだ
彼女は若いうちに結婚してしまったことを嘆いた