英語の正しい《文法》的知識を本格的に獲得する場合、いわゆる「文法書」を手がかりに学習を進めていくことになるでしょう。英文法の詳しい解説が(多くは演習問題も併せて)掲載されており、着実に文法の知識を積み重ねていけます。
教材を用いた学習では「どの教材を選ぶか」が最大の悩みどころ。文法学習も例外ではありません。学習レベル × 教材のレベル × 学習スタイルがしっかりとかみ合った、効率的に学習を進めたいものです。
具体的にどの書籍がいいの?というと、これは個々人の相性もあるので一概には言えない部分があります。ただ、初学者~既修者~上級者の3段階に応じた学び方、これは多くの人に共通して当てはまるところでしょう。
マスターのための3段階
初学者は「1冊まるごと覚えきる」易しい文法書を選ぶ
英語・英文法に習熟しておらず、ひとまず初心者レベルという段階では、難し過ぎることのない平易な文法書を選ぶことを重視しましょう。内容は簡素でもとにかく明快で、マスターできそうと感じられる易しい文法書を、まずは徹底的に理解しましょう。
この段階では未知の情報の多寡を基準にしてはいけません。「知らないことがたくさん載っているから」という理由で難解な(あるいは膨大な)文法書を選択すると、一通り勉強しても理解できない部分が残り、改めて学習するため二度手間、あるいは文法書のどこが理解できなかったのかを忘れてしまって最初から取り組み直し、といった状況になり、かえって非効率です。気持ちも挫けやすくなります。
初歩をマスターしたら網羅的な文法書にステップアップ
易しい文法書をマスターしたら、もう中級者です。基本的な知識は定着しているハズです。この段階で初めて応用的な英文法も幅広く扱っている文法書を意識して選ぶとよいでしょう。
文法書のうち、まだ習っていない範囲のみを学習し、知識を増やしていきましょう。英文法の基礎が完璧に身についていれば、分厚い文法書でもスムーズに読み進められるようになります。
文の倒置のような複雑な用法や慣用的な使い方など、基礎文法では学べない、ある意味では「英語らしい」種類の知識も、ここで獲得できます。やりがいを感じながらレベルアップする実感が得られるできるでしょう。
上級者を目指すなら「英語で書かれた文法書」がおすすめ
ひととおりの文法を身につけて、英語を読む経験も積めてきたら、さらに上を目指す手段としては「英語で書かれた文法書」に取り組んでみてはいかがでしょうか。
英語で書かれた文法書の強みは、日本語ではどうしても説明しにくい部分の構造やニュアンスを英語のニュアンスで把握できるという点でしょう。何より、英語をつかって英語を学ぶことは、読解力や英語で思考する能力(英語脳)の訓練として最適です。
既修者レベルで導入しやすい英語の文法書としては、ケンブリッジ大学出版局から刊行されている「Grammar in Use」シリーズなどが挙げられます。初級(Basic)中級(Intermediate)とレベル分けされており、段階的なレベルアップが図れます。
・Basic Grammar in Use – Cambridge University Press
・Grammar in Use Intermediate – Cambridge University Press
英会話と英文法
英会話のために英文法をマスターする必要ってあるの?
文法は大げさに言ってしまえば英語話者が使う文章構成の型。つまりこれを身に付けてしまえば後はその型の中に単語をぽんぽんと当てはめていくだけでよいのです。
英会話フレーズをたくさん覚えたほうが身になると思う方もいるかもしれませんが、英会話フレーズでも文法の規則はしっかりと守っています。
例えば Be my guest. これは直訳すると「私の客人になって」で、そこから「ご自由にどうぞ」という意味になります。友達の家に行って「お手洗い借りていい?」と訊ねたらこう返ってくるかもしれません。
注目してほしいのは、ここでも主語を除いた文、つまり文法的に命令文で、動詞の後に補語が来て、とこのようにしっかり文法に基づいています。フレーズだからといって型破りなわけではないのです。
確かに、文法なんて把握しなくてよいという考え方、「とにかく口で覚える」という習うより慣れよ式の学習法もあります。
しかしもう一方で、文法をはじめにしっかり把握理解しておくと、型にはまった正しい英語表現を身につけたり、読解や作文の応用力が格段に向上します。
英会話のために率先して覚えるべき英文法
英語には文型というものがあります。この第一文型から第五文型まではしっかりと身に付けましょう。
第一文型
S +V
日は昇る
第二文型
S +V +C
彼女は美しい
第三文型
S +V +O
母はケーキを作った
第四文型
S +V +O +O
私は太郎にケーキを一切れあげた
第五文型
S +V +O +C
政府はその国を危険だと考えている
S = 主語
V = 述語
C = 補語
O = 目的語
このように文型の違いがあるのは、動詞によって目的語を取ったり補語を取ったり、そのどちらも取らないなど決まっているからです。そのため、いちいち文型を考えながら話しているわけではなく、「この動詞は補語一つ」「これは目的語二つ」と判断して話しているのです。
逆に言ってしまえば、どの動詞がどの文型の形をとるのかが分かってしまえば、あとは目的語や補語を適宜変えるでよく、他のことを考えなくてよくなる分、流暢に話すのの手助けになります。
第一文型
いわゆる自動詞が第一文型では使われます。
go, walk, run, grow, be動詞
などです。ただbe動詞には注意が必要で
彼女はその部屋にいる
この場合は第一文型ですが、
彼女はかわいい
これは第二文型です。「彼女」イコール「かわいい」ですが、「彼女」イコール「その部屋」では無いことです。しかし、これは文型上の違いであって話す際に意識する必要はありません。
第二文型
使われるのは主語イコール補語になる動詞です。
become, look, get, smell, keep, be動詞
などです。be動詞は先ほどと同様です。
彼女は医者になった(彼女イコール医者)
She got angry.
彼女は怒った(彼女イコール怒っている)
第三文型
make, like, say, kick, throw
などです。何かに作用したらそれは第三文型だと思えば問題ないです。
彼女はピアノを弾く
She wrote it.
彼女がそれを書いた
第四文型
give, tell, teach, show, buy
彼女は彼にペンをあげた
She tought me English.
彼女は私に英語を教えた
など主語は他の誰かに何かすると第四文型です
第五文型
これは第二文型を考え方が似ていて、目的語イコール補語になるように主語が働きかけると第五文型です
call, find, keep, consider, make
などです。make などある一定の動詞は第三文型を取ったり第五文型を取ったりするので注意が必要ですが、そこまで多く無いので、出会うたびに覚えていけば問題ないです。
彼女は状況を悪化させた
She calls her pet Bob.
彼女はペットをボブと呼ぶ
英会話の中で英文法を身に付ける
英会話で文法を取得したいのであれば、話す際に文法を意識するのが効率的です。しかし、慣れていない人にとってはこれを意識しながら話すのは容易ではなく、時間をかかってしまいます。
そこで、場面に応じて意識する、しないを使い分けましょう。
・初対面や道を急に聞かれたなど、情報を伝えることが最優先の時
こういったときは文法を気にして話していると相手が混乱してしまうかもしれません。
少々強引でも目的地を伝えてあげましょう。
・面識がある場合
こういった場合は相手もこちらの英語のレベルを認識しているバズなので、少々詰まりながらでも相手に待ってもらってしっかりとした英語を話すように心がけましょう。そうすることで方がだんだんと型が脳に定着していき、意識しなくても正しい型が使えるようになってきます。