英語と日本語の「顔文字」に見る英語コミュニケーションのコツ

文字(テキスト)データで表情を再現する「顔文字」は、日本語では (^^)のような感じ、英語では  : ) のような感じで表現されます。タテヨコの向きはもちろん、表情のポイントが目元・口元という違いも見られます。

テキストの顔文字の比較は、英語コミュニケーションにおける表情の作り方や感情の伝え方の要領を把握する手がかりとして、意外と参考になる部分がありそうです。

英語圏の顔文字の概要

テキストで表現される顔文字は、英語では smileyemoticon と呼ばれます。パーソナルコンピュータの黎明期である1980年代初頭にはすでに登場していたそうです。

顔文字は、電子メールや電子掲示板といったテキストメッセージで感情のニュアンスを表現する手段として多く用いられます。

最近のSNSやSMSでは、アイコン型の絵文字(Emoji)に取って代わられつつありますが、まだまだ顔文字も現役です。

横倒しが基本 ;)

日本語の顔文字と比較した場合、英語圏の顔文字の第一の特長としては、:D とか :) のように横倒しの形で描かれるという点が挙げられます。

主な構成要素は目と口のパーツです。鼻は :^)  のように明示される場合もありますが、基本的には省略されます。

よく使われる英語の顔文字(emoticon)20選
英語圏の顔文字を使った「もっと伝わる英語表現」

英語はアルファベット26字と十数種類の記号があれば満足に文章を記述できます。最初期の英語圏のキーボード(ASCII)で入力できる文字の種類は、150種類にも満たない半角文字のみ。使える文字の種類が(日本語と比べれば)かなり制限されていたという事情から見ても、横倒しの形は理にかなっていたのでしょう。

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英語圏の顔文字に見る「口元の感情表現」

英語の顔文字は、:) 、:D 、:( 、といった感じで、どちらかといえば口のパーツで表情を変化させる傾向があります。

日本の顔文字は、 (^_^) 、 (>_<) 、 (T_T) といった塩梅で、どちらかといえば目のパーツに変化をつけて感情を表現する傾向があります。

この表現方法の違いは、北海道大学大学院文学研究科准教授の結城雅樹氏が指摘しているものです。感情をストレートに表現するアメリカ人は、動かしやすい(制御しやすい)口元の筋肉から感情を読み取ります。他方、直接的な感情表現を好まない日本人は、意図的に動かしにくく内心が反映されやすい目元の様子から感情を読み取る、というわけです。

強調する場合は口のパーツを重ねる

日本語の顔文字では、Σ(゚д゚lll)ガーン  とか (^^ #)のように、ある種のマンガ的な記号を添えて感情のニュアンスを表現することが多々あります。

英語圏の顔文字の場合、口元を表現する部分を複数重ねる形で感情の度合いを強調する表現方法が一般的です。

たとえば、「うれしい」を :) で表現するなら、「超々うれしい」は :)))))) 。歓喜を表現する XD は XDDDDD のように表現します。

顔文字に限らず全般的に表情の表現は口元が中心

目元よりも口元で感情表現する、という考え方は、顔文字に限ったことではありません。イラスト等で表現を誇張気味に描く場合は、基本的に目よりも口を大きく描き、大きく変化させて表情を出します。

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たとえば、アメリカの有名なキャラクターを適当に思い浮かべてみましょう。口元の印象が真っ先に思い出されるという場合の方が多いのではないでしょうか。

表情は大きくストレートに表現する

2000年代には、画像データで表情を示すアイコン TellerD がウェブ上で多く見られました。黄色が標準で、イエロースマイリー(Yellow Smiley)と呼ばれます。

往時のイエロースマイリーは表情が極端で、多くの日本人がドギツく感じるようなモノも少なからずありました。この部分にも、表情の強弱に対する日本語と海外の認識の違いが見て取れます。

一昔前(2000年代半ば)の欧米の典型的な Yellow Smiley
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顔文字の違いはなくなりつつある

欧米の :D や :) といった顔文字は、まだ用いられているとはいえ、往時に比べると減ってきているといえます。

最近では ? ?のようなアイコン型の絵文字(Emoji)が統一規格化され、スマホやSNSではすでに標準的に用いられています。Oxford Dictionaries Word of the Year 2015 では「Emoji」が選出され、7月17日を「世界絵文字デー」にしようという取り組みも市民権を得ています。

欧米のPCも今や世界中の文字・言語を扱える仕様が当たり前で、半角英数字だけでやりくりする必要もありません(英語圏では 「(ツ)」が顔文字として人気を博しています)

グローバル化する社会の中では英語が標準的言語であり、英語話者のコミュニケーション方法が標準的なあり方です。いわゆるグローバルコミュニケーションという観点で見るなら、表情を出さない日本人の方が表情を思い切り出すアメリカ人に合わせるようにすることになります。

英語の横倒しの顔文字は、表情はコミュニケーションの手段のひとつであり、とりわけ口元の表情は英語コミュニケーションのカギを握る要素であるということを教えてくれます。


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