英語の接客で言いがちだけど「実は失礼な表現かもしれない」要注意フレーズ集

英語の接客表現は基本的に簡素で気さくに表現できます。あまり難しく考える必要はありません。しかしながら、日本人の英語感覚では丁寧な表現じゃないのと思われるような言い回しの中に、けっこう失礼な表現に聞こえかねない表現が含まれ得る、という点は意識しておいた方がよいでしょう。

ちょっとした注意点を把握しておくだけで、失礼な表現や不自然な表現を避け、相手が微妙にムッとしかねない要素を排除できます。

Please+命令形 の表現に注意

英語の丁寧表現では Please+命令形 で案内する言い方は避けたほうが無難です。

日本語における英語感覚では、please (どうぞ)を付ければ丁寧表現になると考えがちです。それも一概に誤りとはいえませんが、please をつけたところで命令形が命令の表現であることには変わりない以上、顧客や目上の人に対しては命令表現は好ましくありません。

指示や案内を丁寧に表現する際には、Could you ~? に代表される婉曲的な依頼表現を使うと、心証よく受け取ってもらえます。

Please sit down. はぞんざいな失礼な言い方

「どうぞお座りください」と言うつもりで Please sit down. というと少し(あるいはかなり)失礼な印象を与えてしまう可能性があります。

sit down は確かに「座りなさい」という意味で使える表現ですが、これは「立ってないで早く座りなさい」としかりつけているようなニュアンスを含みます。

「どうぞお座りください」のように丁寧に案内する言い方としては Please have a seat. もしくは Please take a seat. という表現が定番です。

Please have a seat.
Please take a seat.
どうぞお座りください

Please wait. も配慮が足りない失礼な言い方

来店したお客の対応を離れる場面で、「少々お待ちください」のように言うつもりで Please wait. とだけ言うような言い方も、ちょっと危険です。

Please wait. と連呼すると問答無用で待て!と言っているような雰囲気が出ます。まるで飼い犬がおあずけをくらっているような気分にさせてしまいかねません、

お客さま少々お待ちください、というニュアンスを込めた表現としては、Just a moment, please. のように「ほんの少しの間だけ」」という語を加えたり、I’ll be back in a few minutes.(数分程で戻りますから)というように「戻って参ります」と約束するような表現を加えたりして、相手に不安を感じさせないようにしましょう。

待たせる理由を併せて伝達することも大切です。「席を用意する」ため、あるいは「在庫を確認する」ため等々、それ相応の理由があると分かれば相手も納得してくれます。

Just a moment please, sir.
少々お待ちください
I’ll check the stock.
在庫を確認してまいります
I’ll set the table for you right away.
すぐにお席のご用意をいたします

What do you want ? は失礼な言い方

「ご注文はお決まりですか?」というつもりで What do you want ? というと「何しに来た!」という風に聞こえる可能性があり、かなりぶっきらぼうな印象になってしまいます。

wantは「~したい」という意味合いですが、かなりストレートな言い方なので、顧客や目上の人に使うのは好ましくありません。

接客英語では want ではなく、より柔らかい would like を使って What would you like? と表現すると無難です。もしくは Are you ready to order? とか May I have your order? のような表現も適切です。

What would you like?
何にしましょう?
Are you ready to order?
ご注文の準備はいいですか?
May I have your order?
ご注文をいただけますか?

had better もたいがい失礼な言い方

お客様に店のオススメを尋ねられて、「こちらをお勧めします」という場面で、日本人の英語知識と英語感覚では had better を使って表現しがちです。これもかなり危険な表現です。使わないよう気をつけましょう。

had better は「従わないと良くないことが起きるよ」というような脅迫的なニュアンスを含みます。You had better choose this. (これを選んだほうがいいですよ)なんて言い方をすると、他を選んたら碌な事にならないよ~と言っているように受け取られてしまいかねません。

should もいけない

had better がダメだからといっても、 shouldを使って You should choose this.(これを選ぶべきです)のように言うのも、強制的に選ばされるような印象を与えかねません。避けましょう。

おススメを教える際に相手(you)を主語にして表現を組み立てようとすると大体キケンです。自分(I)を主語にして、自身の意見を述べるつもりで、I recommend this one.(私はこちらをおススメします)のように伝えれば、余計なニュアンスを含まない適切な表現にできます。

I recommend today’s special lunch.
今日のスペシャルランチがおススメです

Thank you for waiting. は不自然かも

料理を運び配膳する際、日本では「お待たせしました」「お待ちどうさまでした」のような一声をかけます。これを英語で表現するつもりで Thank you for waiting. というのは、失礼に当たるとは言わないまでも、違和感を抱かせる可能性があります。というのも、Thank you for waitingは、長い時間待たせてしまった謝罪しているニュアンスを含むからです。

料理を運んできた場面では、Here you go.Here you are. といった表現が定番です。または、運んできた料理名を言うだけでも十分です。

もちろん、想定外に待たせてしまった場合や、もともと準備に時間がかかるタイプの料理を客が辛抱強く待ってくれていたような場合には、Thank you for waiting. の一言が適切な表現として使えます。

Here you go.
はいどうぞ
Here you are.
はいどうぞ
Here is your salad.
サラダをお持ちしました

「日本語英語」を遠ざける意識がコツ

接客英語に限った話ではありませんが、「日本語の定番フレーズを英語に訳する」という考え方では、丁寧で自然に聞こえる表現は出てきません。言語感覚そのものが異質なものですから半ば当然です。

英語で丁寧に聞こえる洗練されたフレーズというものは、これまで英語圏で慣用的に使われてきたものです。「丁寧な日本語を英語に翻訳する」という考えは遠ざけて、基本的な英語フレーズはそのまま覚えてしまった方が、「こなれた英語接客」の実現に近づきます。

もちろん、これは予習できる範囲に限られます。想定できていなかった事柄を伝える必要があれば、カタコトの英語でも拙い英語でも、まずは伝えることが第一です。その局面で重要な要素は、洗練された言葉ではなく、伝えようとする意志です。根本的には熱意がモノを言うのです。




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