上座(かみざ)・下座(しもざ)は意外と英語に訳しにくい表現です。穏当な英語表現としては、「上座」は (the) seat of honor と表現できそうです。結局のところ「どういう位置づけの席か」という趣旨を伝える工夫が必要です。
賓客には最もよい席に座ってもらう、という配慮は、もちろん海外文化にもあります。とはいえ意識する機会は、おおむね会食や会談といった場面に限られてくるでしょう。
おおむね上座・下座を表現できそうな英語表現
英語には日本語的「上座」「下座」の概念にぴったり対応する語彙が特にありません。
あえて英語で日本語的「上座」「下座」について述べるとすれば、これは固有名詞的に Kamiza、Shimoza と扱う方法が穏当ということになるでしょう。
Kamiza、Shimosa
Wikipedia英語版(en.wikipedia.org)には Kamiza を見出し語とする項目が設けられています。これは英語圏の語彙に対応させにくいということの裏返しともいえます。
Wikipedia英語版の「Kamiza」の記事では、はじめに referring to the “top seat” within a room, meaning the place of honor と解説されています。
「上座」は室内空間において「上位の席」と呼ばれ、主人が位置するところを意味する日本語表現である
― Wikipedia「Kamiza」の記事
top seat 、 bottom seat
Wikipedia の記述では top seat という表現が登場します。この 語は「首座」「首席」「主席」という意味で用いられることがあり、文脈によっては「上座」の意味で通じることも期待できます。
upper seat、lower seat
top seat と同じく upper seat も「上座」を指す英語表現の候補に挙げられます。
top seat を「首席」と訳する文脈なら、upper seat は「上席」と訳せます。上座下座について言及する場面なら、「より上座に近い位置」という意味で使えそうです。
(the) seat of honor
いちばん大切な賓客には、最もよい席に座っていただく、という考え方そのものは普遍的なものです。
英語圏にもともとある語彙の中で「上座」に一番近い概念を指す語は seat of honor でしょう。文字通り、最も名誉ある(主賓へ割り当てられる)席次です。
(the) head of the table
head of the table はテーブルの席次における首位ということで「上座」にちょうど対応するともいえる表現です。
会談のテーブル席で head(首脳)といえる存在を迎えるような場面では、head of the table がピッタリ適切に使えるでしょう。
英語圏では「上座と下座」は「ホストとゲスト」で考える
上座に下座という考え方は、西欧文化圏の席次の考え方とは妙にズレるため、とかく扱いにくい側面があります。
西欧にも座席の《位》《等級》のような概念はありますが、これは host(招いた側)と guest(招かれた側)という関係が基本となっています。
西欧の席次は seating etiquette として学ぶ
英語圏で座席の座り方に配慮すべき場面は、会談、および、会食でしょう。このときばかりは主賓の座る位置が重要な意味を帯びます。
日本的「上座・下座」の語を借りていえば、 基本的にはホスト側の女性主人が最も上座に位置し、ホスト側の男性主人がそれに準じる位置、そして、主賓は女性ホストの右手側に案内され、以下、数珠つなぎでなく互い違いになる要領で席次が配置されます。
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