日本語の「久しぶり(に)」に対応する英語表現はいくつかあり、場面や状況に応じて使い分けられます。表現を比較しながらまとめて覚えてしまいましょう。
人と再会した場面でのあいさつ表現としては Long time no see. などがよく知られたところですが、他の言い方もできます。久しぶりの再会が喜ばしいというニュアンスを表現するなら、思い切って「また会えて嬉しい」と言い換えてしまう手だってあります。
みんなの回答:「ご無沙汰しております」は英語でどう言うの?
あいさつ表現の中の「久しぶり」にも色々ある
しばらく会っていなかった人と再会した場面で言う「ひさしぶりだね」と伝える、再会の場面に適したあいさつ表現は、たくさんあります。
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「ひさしぶり」に対応する典型的なフレーズとしては Long time no see. がよく知られているところです。ただ、これはネイティブスピーカーが好む言い方ではないという見方もあります。
日本語の「ひさしぶり」の字面の意味に囚われすぎると、「長い時間会っていなかった」という部分に意識が向いてしまいますが、率直に再会の喜びを伝えても十分に「ひさしぶり」のニュアンスは表現できます。
「長らく会っていなかったね」という意味を込めた「久しぶり」
「時間を隔てた」「しばらくぶりだ」という意味合いで「ひさしぶり」と表現するあいさつ表現は、いくつかあります。
どれも日本語に訳すとなると「本当に久しぶりですね」のような訳になってしまいますが、see や talk といった語をニュアンスに応じて使い分けることが可能です。
(しばらくぶりにお会いしました、というニュアンス)
(しばらくぶりに話す機会が得られました、というニュアンス)
(ずいぶん長い時間が経ちました、というニュアンス)
(長い年月を経ましたよね、と言うニュアンス
(しばらく経ってしまいましたよね、というニュアンス)
どの表現も比較的カジュアルな言い方です。家族や旧友としばらくぶりに再会する場面にはうってつけでしょう。
ビジネスシーンなどでも、相手との関係や状況によってはこうした表現が使えますが、もう少し丁寧でフォーマルな表現を選んでおいた方が無難でしょう。
ビジネスシーン向けの「ご無沙汰しております」的あいさつ
ビジネスシーンをはじめとするフォーマルな場面で「お久しぶり」と伝える場合、字句を費やしてちゃんとした英文で表現しましょう。
英文として不足のない(簡略にしていない)文章として表現することで、丁寧でかしこまったニュアンスが表現できます。日本語なら「ごぶさたしております」のような訳語が対応するでしょう。
(長らくお目に掛かりませんでした、というニュアンス)
(以前お会いしてからかなり時間が経ってしまいました、というニュアス)
(再びお会いできて幸いでございます、というニュアンス)
再会の喜びを伝える表現で代替する手もある
久しぶりに再会した感慨を表現する言い方は、「久しぶり」だけではありません。
再会できて何より!とか、久しぶりだけど元気? といったあいさつ表現でも、「ひさしぶり」に通じるニュアンスは十分に伝えられます。
やぁ!元気にしてた?
また会えて嬉しいよ!
最近どう?
こうした表現と「久しぶり」と述べる表現は、特に意味が重複したり矛盾したりするものではないので、両方続けて述べることも可能です。
言葉の多さは気持ちの強さを示す指標にもなります。普段の会話よりもすこし多めに言葉を費やす気持ちで臨んでみましょう。
あいさつ以外の叙述に使える「久しぶり」表現
あいさつ表現としてではなく文章中で修飾表現として「ひさしぶりだ」と述べる場合、また違った表現の要領が必要です。
「ひさしぶり」に直接対応する英語表現を見出そうとすると、なかなか難しいものがありますが、「《久しぶり》とは結局どういう意味か」を考えて言い直してみると、ニュアンスをうまく伝えられる表現が見つかります。
「長い間していなかった」と表現する「久しぶり」
「しばらくの間それをしていない」という表現は、「ひさしぶり」のニュアンスを最も無難に再現できる言い方でしょう。
英語では a while(awhile)や a long time あるいは a long while、quite a while といった語を使って「ながらく」と表現できます。どちらも期間を限定せず漠然と「長い間」と述べる言い方です。
もうしばらく経つよ
久しぶりに会えて嬉しいよ
こんな雨は久しぶりだ
完了時制が「再度」を暗に示す
It’s been a while since ~ の It’s は It has の略であり、現在完了形です。It has been a while since ~ は、その(空白)期間が終わったことを示し、つまり再び同じ状況が訪れたことを意味します。
it is ~ は「久しぶりにする」とは限らない
完了形を用いずに現在形で it is a while since ~ のように表現することもできます。ただし、現在形は「過去にあった」ということを示すだけの表現です。そこからの空白期間が終わった(=ひさしぶりにすることになった)かどうかには言及しません。
卒業してから8ヶ月たった
「最後にしたのはあの頃だった」と表現する「久しぶり」
記憶を辿って最後に経験したタイミングを(昔のことだったと)述べることで「ひさしぶりだ」というニュアンスを表現する言い方もできます。the last time ~ was ~ のようなフレーズが使えます。
最後にここを訪れたのは7年前のことだ
the last time を使った表現も、それ自体は過去の事柄に言及するだけであり、いま再び行うのか(あるいは再び行うわけではないのか)を判断する手がかりはありません。
「この期間では初めて」と表現する言い方
期間を示して「その期間の中では初めて」と述べる for the first time in (時間) というフレーズも、ある種の「ひさしぶり」のニュアンスを上手く表現できる言い方です。
15年ぶりに彼に会った
愛娘が久方ぶりに帰ってきた
久々に徹夜で勉強した
文末の in +時間の部分がなくなると「生まれて初めて」という意味に変わってしまいます。最後までちゃんと聞き取ってもらえるように注意しましょう。
for the first time this year (今年に入って初めて)とか、 for the first time in 2002 (2002年に初めて)のように、さまざまな意味でつかわれる表現なので、読解にもある程度の注意が必要です。
日本語の万能あいさつ表現をかみくだく練習をしよう
日本語に限ったことではありませんが、言葉には、さまざまなシチュエーションで、さまざまな意味合いで、同じ表現が使い回されるタイプの表現があります。
日本語では頻繁に使うのに、バッチリ対応する英語が見つからない、そうした性質の表現は、日本語を手がかりに英語表現を組み立てようとすると途方に暮れてしまいます。
日本語では「よろしく」とか「すみません」といった表現は特に注意が必要でしょう。
しかし「よろしく」も「すみません」も「久しぶり」も、表現の真意に思いを巡らせれば、英語に置き換え可能な表現に噛み砕いて表現しなおせるはずです。
- 感謝を表明したいのか
- お詫びを述べたいのか
- 嬉しい気持ちを伝えたいのか
その意味で、英語上達のためには「あらためて日本語に向き合う」ことも大切な営みであるわけです。