英語で「念のため」と言うにはいろいろな表現があります。どのようなシーンでも対応できるようなものから、シーンごとに自分で考えて使い分けなければいけないものまであります。
また、それら表現の中でもカジュアルなものからフォーマルなものまであり、すべて「念のため」と訳すことができるとは言え、なかなか複雑です。戸惑わないように体系立ててこれらの違いを捉えましょう。
みんなの回答:念のために。は英語でどう言うの?
just in case
よく使われ、どんな場面にも適用しやすいのは just in case です。文字通りに捉えると「その場合において」このようになります。しかし一般的に「念のため」と訳されます。これは case のあとに本来続くはずの文章が省略されており、その文章の意図まで含めると「念のため」と訳すのが日本語ではしっくりくるからです。
念のため、かつに電話してよ
例えばこの会話の前にかつは物事を忘れっぽいこと、今日は大事なミーティングがあることを話していたとします。その場合「彼がミーティングを忘れていないか確認するために電話してよ」と言うと少し回りくどくなってしまいます。そのため just in case のあとに続くを省略しているのです。
彼がミーティングを忘れていないか確認するため電話してよ
日本語でも英語でもわかりきっている箇所は会話をスムーズに進めるために省略されています。
書き言葉では要注意
しかし、上の例のように前後の文脈から just in case のあとに続く部分が推測できない場合は省略せずにしっかりと伝えましょう。特に会話ではなくメールなどの書き言葉でのやり取りでは、より明確にするためにも省略を避けるほうが無難かもしれません。
必要かもしれないので、そのパスワードをを送りました
その他の表現
just in case の他にも「念のため」のように使える表現があります。
just for the record
record は「記録」「~を記録する」と日本語訳することができます。 for the record 「記録のために」を「忘れないために」のように解釈し、それが転じて「念のため」です。
念のために言っておくけど、ここで一番偉いのは私だからね
record について、これと同じような解釈を用いた他の表現に on the record 、 off the record があります。それぞれ「公式の」「非公式の」と意訳されることが多いですが、本来の意味合いとしては「公表して良いこと」と「公表してはいけないこと」です。
俺がケイト付き合ってるってみんなに言ってもいいよ。隠すことじゃないし
just to be sure
sure の日本語訳には「確実な」という意味があります。 to の用法の中の目的「~のため」と組み合わせると「確実にするため」という意味で捉えることができ、それが転じて to be sure で「念のため」です。
念のため電話番号教えていただけますか?
この sure のあとにも何かが省略されています。上の例文でも省略されている内容はいろいろ考えられますが、「緊急な場合、連絡が取り合えること」が省略されていると考えると
緊急時に連絡が取り合えるようにするため、電話番号教えていただけますか?
省略された文章を補うとこのように解釈することもできます。 just in case と同じように、前後の文脈から省略部分は推測できます。
※ to be sure と同じような用法で、 to make sure も使うことができます。
人 + be 動詞 sure
補足ですが、 sure は人と組み合わせて「○○(その人)が確信している」と日本語訳できます。この表現はとてもよく使われ、また使いやすいので、覚えてしまいましょう。
彼はその試験に合格することを確信していた
そのタスク、期限までに絶対に間に合わせます
フォーマルにするには
「念のため」は、友達との会話のようなカジュアルなシーンから、会社での連絡事項などフォーマルなシーンまで幅広く使います。特に上司や取引先と連絡する時などはフォーマルな表現になるよう気を配らなければなりません。
人物の特定を避ける
前後の文脈がわかりづらいメールなど書き言葉でのやり取りでは just in case や just to be sure のあとに続く文章は省略しない方が無難だと上記しました。フォーマルなシーンにおいて、その文章中では関わっている人物が特定できないようにしましょう。
あなたが必要かもしれないので、請求書を再度お送りしました
例えば、これでは以前送った請求書を受取人が紛失してしまった印象を与えかねません。
それが必要かもしれないので、請求書を再度お送りしました
このように伝えることによって、どんな理由かは定かではないが請求書が必要かもしれない、というニュアンスを表現できます。日本語は主語をある程度省略可能ですが、英語では主語は原則的に省略不可なので、フォーマルなシーンでは特に受動態が使われることがよくあります。
あのファイルは今どこにある
A “Tom hasn’t sorted it out yet.”
まだトムが整頓し終わっていません
このように言うと責任がトムにあることが明確になってしまいます。
そのファイルはまだ整頓し終わっていません
受動態を使うことによって、行為者を明示する必要がなくなります。
just を省く
口語でよく使う言葉は、それゆえ少しカジュアルな印象を与えることがあります。 just も口語でよく使われるので、この just を省き in case や for the record とすると少しフォーマルだと考える人もいるようです。
問題ないか確認するためにその掃除機をチェックしてみていただけますか
その他いろいろな表現が考えられる
上記した表現はどのような文脈の中でも「念のため」のニュアンスで使うことが可能です。しかしこれらの表現以外でも、文脈によっては「念のため」のように使える表現はいろいろと考えられます。
日本語でも「念のため」を場面によっては違う言葉に置き換えることもできます。「念のため伝えておきます」も文脈によっては「事前に伝えておくべきかと思います」とも言えるでしょう。
そのように英語でも just in case you need it を前後の文脈によって例えば for your convenience 「ご都合の良いように」や、if it is needed に置き換えることも可能です。
ご都合の良いように、そのウェブサイトに登録して、あなたのアカウントを作っておきました
必要になることもあるかと思いましたので、そのウェブサイトに登録して、あなたのアカウントを作っておきました
このように、定型表現以外でも単語の組み合わせ次第で十分に同じようなニュアンスを相手に伝えることも可能です。特に IELTS や TOEFL のような試験では同じ表現を繰り返し使用するよりも、幅広い知識を持っていることと試験管にアピールするとより高得点が見込めるので、ある程度英語に余裕が出てきたら場面にあった表現を自分で考えてみても良いかもしれません。