「呆れる」「こいつは呆れた」は英語でどう言う?

日本語の「呆れる」という語は、おおむね驚きや戸惑いを表現する際に用いられます。英語で「呆れた」と表現する場合、直接「呆れる」に対応する動詞を探すよりも、「驚く」「たまげる」「うんざりする」という語彙に言い換えてから表現を探した方が、適切な表現が見つけやすくなります。

「呆れた」と述べる場面の「呆れた感」を表現するコツは、語彙選びよりも、むしろ言外の雰囲気の演出が要でしょう。表情、仕草、声色、間の取り方などでポカーンという雰囲気を出すことで、普通の文章も呆れ混じりの言い方にできるわけです。

驚き込めて「呆れた」と表現する言い方

「いやはや、こいつは呆れた」というように表現する場面には、その趣旨がもっぱら驚き(驚嘆)のニュアンスを含む場合があります。

衝撃的な事実や言動を目の当たりにしたときの「まあ呆れた」「全く信じられないよ」といった気持ちは、驚く・驚いたという意味の動詞で表現すればニュアンスが再現できます。多分に直訳よりも意訳の部類ではありますが。

amazed または shocked

驚きを込めて「呆れた」と述べる素朴な表現としては、I was amazed. のような文が挙げられます。

  • I was amazed.
  • I was shocked.

amaze は「驚かせる」「びっくりさせる」という意味ですが、ほとんどの場合「すごい!」のような良い驚きの意味で用いられます。すごすぎて呆れるというポジティブな評価にぴたりとくる単語です。

shock は「衝撃を与える」といった意味の動詞で、日本語の「ショック」の使われ方と同様に悪い意味での衝撃に使われることが多い表現です。どちらかといえば劣悪さを評価するようなネガティブな場面に向く語といえます。

I was shocked by his stupidity.
彼の愚かさには呆れた

amazed にしても shocked にしても、この語だけでポジネガどちらの意味合いを込めているのかは判断しきれません。表情や声の調子、前後の文脈なども援用して、ニュアンスを表現しましょう。

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can’t believe

あまりに驚いてしまって、見聞きしたことが事実だとは信じられない、と述べることもできます。I can’t believe ~. で信じがたい気持ちは無難に表現できます。

Wow, I can’t believe you just said that.
呆れた、あなたがそんなこと言うなんて

speechless

日本語でもよく「呆れてものも言えない」という言い方をしますが、この表現は英語でもそのまま使えます。

I’m speechless. という表現は感動で言葉が出ないようなときにも使えますが、衝撃のあまりとっさに言葉が思いつかないようなとき全般に使えます。

同様の意味で I’m at a loss of words. という表現もあります。

He failed a class again. I’m at a loss of words.
彼はまた単位を落としたよ、全く呆れてものも言えないね

jaw-dropping

驚いたときに言う「開いた口が塞がらない」という言葉に近い英語表現は jaw-dropping だと言えます。

直訳すると「顎が落ちるほどの」という意味で、口があんぐり開いてしまうような衝撃的なことを表します。

1つの単語にして形容詞として用いることもできますが、jaw を主語、drop を述語にした文章構成にしても同じ意味を表すことができます。

My jaw dropped when I heard the news.
その知らせを聞いたときは開いた口が塞がらなかったよ

もううんざり、という場合

呆れてしまいその結果、もう嫌になる、それについて考えたくなくなる、改善しようとする気すら起こらなくなる。そうした気持ちは「もう十分」「飽き飽きだ」といった意味のフレーズで表現できます。

have had enough

I’ve had enough. という表現は「もういい」「もうたくさん」などを意味するフレーズとしてよく使われます。

have had で現在完了を用い、これまでずっと続けてきたがもう十分だ、という意味を表します。

しかし大抵は「ずっと我慢してきたがもう限界に達した」といった場合に用いられ、enough と言いつつ十分どころか十分すぎるようなときに使われることが多い表現です。

fed up with

「餌を与える」という意味の動詞 feed の過去分詞形を用いて、I’m fed up with ~. というと「~にうんざりしている」という意味になります。

もう食べられないのに餌を与えられ続けている状態をイメージすると、その限界状態や苛立ちが想像しやすくなります。

I’m so fed up with these cheesy TV program.
こういう安っぽいテレビ番組にはもううんざりだ

sick of、tired of、done with

「飽き飽きしている」という精神状態を表すには、一般的に sick of~、tired of~、または done with~ といった慣用表現が使われています。

対象にうんざりして呆れてしまったという気持ちを端的に表すことのできるフレーズです。

I’m so sick of your lies.
あなたの嘘にはもううんざり
I’m tired of myself repeating the same mistakes again and again.
同じミスを繰り返す自分にうんざりだよ
I’m so done with you.
あなたにはもう呆れた

how many times do I have to tell you

何度も言っているのに相手が学習してくれないのでもう呆れてしまった、という場合はその苛立ちを反語的に質問する表現が使えます。

How many times do I have to tell you that ~? というフレーズで「~だって何回言わないといけないの?=何回も言わせないで」という怒りが表現できます。

聞いてもらう努力をし尽くして、それでも聞いてくれず呆れ果ててしまった、というようなシチュエーションにぴったりの英語表現だと言えるでしょう。


相手に失望したという場合

相手が期待外れだとわかったり、要望に応えてくれなかったりした場合に使う「呆れた」を英語で表すには「失望」や「あきらめ」を意味する単語が使えます。

disappointed

期待していた相手や買っていた人が期待を裏切ってきたとき、「あの人には呆れてしまった」などと言う場面があります。

このような状況においては「彼には失望した」を意味する I’m disappointed at him. が最もニュアンスの合う英語表現だと言えます。

「失望」というと重く堅いイメージを持ってしまいますが、disappoint という単語は日常会話でも使えます。日本語で言う「失望」の相手に裏切られたような感覚だけでなく、期待していた通りにならなくて残念がるような気持ちも表す単語です。

never mind、forget it

「呆れた、もういいよ」とため息混じりに言うような場面では、Forget it. や Never mind. という表現が使えます。これは相手に話していたことや頼もうとしていたことを途中でやめてあきらめるときによく使われるフレーズです。

懸命に話している内容を相手が全く理解してくれず、馬鹿馬鹿しくなってもう相手に期待するのをやめようと思ったとき、「今話したことは忘れて」「気にしないで」と伝える表現です。

これらのフレーズ自体は「呆れた」のような意味以外にも、普段のなんでもない会話の中でも使われています。相手に対して感じた苛立ちや失望をあえて伝えたいと思ったら、表情や態度で表しながら言った方が良いかもしれません。

hopeless

改善のしようがない、手の施しようがない、と呆れてしまったような場合には hopeless という単語が使えます。「望みなし」「絶望的」といった意味です。

主語を it として状況やモノを指しても使えますし、人間が対象の時も直接的に You’re hopeless. のように述べることができます。

物々しく言うと非常に残酷な表現になってしまいますが、親しい間柄で冗談っぽく言えば「君はダメダメだなあ(笑)」といった軽い表現としても使えます。

You are late for class again? Oh you are hopeless.
また遅刻?全く呆れちゃうよ~

never learn

改善がない人という意味で「学ばない人」を表す英語表現が使えます。You never learn. というと「君は本当に学習しないね」という呆れた気持ちを表現できます。

A:I wrote her a song and she dumped me.
彼女に曲を書いたらフラれた
B:You did it again? You never learn.
またあれをやったの?学ばないなあ

呆れ調子を表現する言い方

「あきれるほどに」と述べる場合

「あきれるほど」や「あきれるくらい」といった表現は量や程度を強調する意味でよく使われる日本語です。これを英語で表現するには、様々な「呆れた」を表す形容詞の副詞形がよく使われます。

  • absurdly(馬鹿みたいに)
  • amazingly(驚くほど)
  • appallingly(ぞっとするほど)
  • embarrassingly(恥ずかしいほど)
  • hopelessly(どうしようもないくらい)

または副詞形を文章の形に変えて、so ~ that …構文を用いることもできます。何がどう「あきれるほど」なのか主語などを補足したい場合には、so ~ that …構文を用いる方が適しているかもしれません。

He’s embarrassingly in love with her.
He is so in love with her that he might look embarrassing.
彼はあきれるほど彼女に恋している

「呆れた」という感想を表すスラング

インターネット上の会話などでよく登場する SMH という英語表現は「こいつは呆れた」という気持ちを表すスラングです。

SMH は Shaking My Head の略語で、「(呆れてため息を吐きながら)頭を振っている」状態だという意味です。

日本語では「ありえない」「バカみたい」「引くわ~」のようなニュアンスに近いスラングだと言えます。

いわゆる four-letter words の頭文字をはさんで smdh、 smfh のような表し方もあります。

A:I’mma ditch my class.
授業さぼるぜ
B:smh
呆れた

「呆れ顔」を説明する表現

「呆れ顔」を英語で表現するのなら、an amazed look という言い方ができます。look は face や expression と置き換えが可能です。

When I told her the truth, she said with an amazed face.
真実を伝えると、彼女は呆れたような顔をして言った

また「呆れたような顔をする」は give an amazed look と表現できます。

同様の意味でよく使われているのは、roll one’s eyes という表現です。呆れて白目を向いたような顔になる現象をそのまま説明した言い方です。

She sounded so stupid that I couldn’t help but roll my eyes.
彼女の発言が馬鹿馬鹿しすぎて思わず呆れ顔をしてしまった
I’m not kidding! Please don’t roll your eyes like that!
嘘じゃないってば!そんな呆れたような顔しないでよ!

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