英語で「斜めかけバッグ」と言う場合の無難な言い方としては、 crossbody bag という表現が挙げられます。
sling bag や messenger bag なども、いくらか形状は限定されますが「斜めかけバッグ」に該当する語として使えます。
バッグの分類や区分は、日本語と英語とでは結構な隔たりがあります。訳語を探すよりは補足的に説明したり身振り手振りで示したりする方がうまく伝わる場合も少なくなさそうです。
「斜めかけバッグ」を英語で表現する主な言い方
crossbody bag
crossbody bag は日本語の「斜めかけバッグ」の字面の意味合いに最も近い英語表現といえるでしょう。
crossbody という語は cross+body という構成の連語表現。これ単独で英語辞書に載っているような語ではありませんが、「体と交差する」というような意味合いに解釈できます。
なお cross には「斜めの」「横切った」「交差した」という意味合いの形容詞の用法があります。
crossbody bag は日本語のいわゆる「斜め掛けバッグ」全般を指して使える表現ではありますが、基本的には女性向けの小ぶりな(いわゆるショルダーポーチのような)バッグが念頭に置かれがちです。
crossbody bag と同じ意味で cross bag という言い方が用いられている例もあります。ただし例はそう多くは見られません。 crossbody bag が圧倒的多数派です。
sling bag
sling bag も日本語のいわゆる「斜めかけバッグ」と共通する部分の多い英語表現です。
sling bag の sling には「吊る」「掛ける」「ぶら下げる」といった意味があります。crossbody bag は「斜めに(掛ける)バッグ」とするなら、sling bag は「(斜めに)掛けるバッグ」といった感じでしょうか。
sling bag はレディースとメンズとで主に念頭に置かれる形が違ってきます。女性ものの大半は大きなベルトの備わったゆったりしたかばんです。
男性ものの sling bag は体に密着するように身につける、いわゆるひとつのボディバッグのような形状が大半です。
この男ものの sling bag をひとまわり大きくしたような大型の斜めかけバッグは特に sling backpack と呼ばれることがあります。
messenger bag
messenger bag も日本語の「斜めかけバッグ」に含まれるカバンの形態です。
messenger は「郵便配達員」、かつて自転車で配達作業に従事していた郵便配達員を指していた語です。その配達作業に使用されていたカバンの典型的な形状が messenger bag の形です。
messenger bag は、横長&けっこう大型&上部にフタ(かぶせ)が設けられている、という風に、おおよそ形や大きさが限定されます。
日本語で考えても正しい英語表現は見つからない
日本語のカバン用語・ファッション用語の括りの中では、「斜めかけバッグ」の言い換え表現っぽい別の用語も見つかりそうな気配はあります。
たとえば「ショルダーバッグ」、あるいは「ボディバッグ」。これらはそのまま英語にできそうな気もします。
しかしながら、このへんの日本語表現は、そのまま英語で用いると語弊が生じる懸念があります。
「ショルダーバッグ」は別種のカバンを想起させる可能性が大
shoulder bag という表現は、英語圏でもカバン類のカテゴリー区分として比較的よく用いられています。
ただしこれは「肩に掛ける」種類のカバン全般が該当する区分です。
いわゆる斜め掛けバッグも含まれますが、肩から真下に提げて小脇に抱えるタイプも、背負うようなタイプも含まれます。
往々にして、shoulder bag というと、肩に掛けて真下に提げる(淑女が携える小ぶりなポーチのような)タイプのカバンが念頭に置かれがちです。
「ボディーバッグ」はカバン以外のモノを想起させる可能性が大
日本のカバン業界では斜め掛けにして体に密着するように着ける小ぶりなカバンを「ボディバッグ」と言ったりしますが、そういうカバンを指す英語表現は (men’s) sling bag です。
英語では body bag とは言いません。body bag と言うくらいなら単に bag とだけ言うでしょう。
英語で何の脈絡の手がかりもなく body bag というと、ボンデージグッズとしての全身拘束衣か、あるいは、死体(body)を片付ける際に用いる袋(「遺体袋」「納体袋」)のことかと解釈されます。