2018年は平成30年。2018年4月1日が学校年度における「平成30年度」の始まりです。この「平成30年度」を敢えて英語に訳すとすれば、30th year of the Heisei period in the Japanese calendar のように表現するのが穏当でしょう。つまり「日本の暦の平成30年目」と表現するわけです。
「年度」は厳密に考えようとするとややこしいものです。年度の区切り方は海外にもありますが、それが必ずしも日本の学年度と一致するとは限りません。さほど厳密に述べなくてよい文脈なら「日本のカレンダーでは」程度にサラッと扱った方が得策です。
もちろん、年度を無視して西暦に置き換えても特に語弊が生じない文脈なら、いっそ「2018年」と西暦で述べた方が得策です。
「平成30年度」を英語で表現する無難な言い方
「平成30年度」を英語に訳す場合、まずは「平成」をどのように表現するか、そして「年度」をどのように表現するか、という2点が問題になってきます。
その2点をひっくるめて 30th year of the Heisei period in the Japanese calendar のように表現するのが当たり障りがなくてイイんじゃないかな、というのが本稿の見解です。
元号を英語に訳出する場合、表記するべきか?・・・・・・という疑問について、定訳は特にありません。どのくらい詳しく言及するべきかを顧慮しつつ臨機応変に考えるしかありません。
「平成」は英語で Heisei period が基本
元号としての平成は、それ自体は固有名詞なので、先頭大文字で Heisei と表記します。元号であることを示す意味で Heisei period あるいは Heisei era という風に表現されます。「平成時代」のように述べるわけです。
平成元年
やや粗略な表記ではありますが Heisei 30 in the Japanese calendar のように記述しても趣旨は通じるでしょう。
Heisei という語を持ち出す以上、西暦でない暦の体系(すなわち元号)があるという前提知識を相手に期待する言い方ではあります。
「元号」自体は era names
元号(年号)そのものを名詞的に示す英語表現としては era name(s) が挙げられます。
imperial era name と表現する言い方もあります。天皇制と密接にかかわる暦であるという趣旨が伝わりそうな表現です。
「年度」は英語で fiscal year と訳せるが・・・・・・
日本では「年度」というと4月1日から翌年3月末までに至る1年間を指す期間として理解されますが、これは厳密にいえば日本の学校年度(学年度)です。いわば「年度」の概念の下位区分。
年度には「事業年度」や「会計年度」のような概念もあります。全てが学校年度と言い切ることも困難です。
fiscal year は会計年度を指す語という点が微妙
「年度」に対応する英語表現としては、まずは fiscal year が挙げられます。しかしながら fiscal year はそもそも「会計年度」を指す語であり、学年度を指す言い方としてピッタリとは言い切れません(不適切とも言い切れませんが)。
school year はあんまり一般的と言えなさそうな点が微妙
「学年度」に対応する英語表現としては school year が挙げられます。これは英語において fiscal year 等と対比対照される概念(会計年度に対する「学年度」のようなもの)です。
ただし school year は日本の「年度」ほど一般的に用いられる表現(考え方)とも言い切れない部分があります。その意味で、school year といえば万事OKとは言い切れない部分が残ります。
term や semester は区切り感覚のズレが微妙
英語圏というかアメリカでは、学校生活の区切りは主に term あるいは semester といった語で表現されます。ただし term も semester も「学期」に対応する語であり、「学年度」とはちょっとズレがあります。
もっとも、term と言っても特に語弊が生じなさそうな文脈なら、term で表現してしまってよさそうではあります。
結局「日本のカレンダーでは」程度に言及するのが最も無難
fiscal year から semester まで一連の候補表現を見渡すと、「年度」の扱いが複雑であることに気づかされます。複雑というか面倒というか。
その上で、あらためて「《年度》に対応する表現」を考えると、まあ「年度」それ自体について論じている場面でもないなら、あえて簡略に in the Japanese calendar (日本のカレンダーにおいて)程度に扱ってしまってはどうかと考え至る次第です。
Japanese calendar ってどんなの?と質問されたら、その時は「四月から始まる~」と少し手厚く補足説明してあげましょう。そうでもなければサラッと流してしまうにこしたことはありません。
できれば西暦に変換して表現しませう
《元号》は日本の伝統的な文化であり、ぜひとも大切にしていきたいものではありますが、他方で、元号には《西暦》という代替手段があります。
異文化理解をはかる文脈でない場面で、西暦が使えるのに、あえて元号を用いる必要はあるか?というと、その必要がある場面はかなり限られてくるでしょう。皆無とはいえませんが、普通の場面ではそうそうない状況です。
元号そのものや日本の学年度そのものについて紹介・解説する場合には、また別種の言葉を使った説明が求められるでしょう。でも説明そのものはそう難しくない筈です。
英語の土俵で勝負する
「平成」に対応する英語表現を探す、という考え方は、極端にいえば、《日本語世界に身を置いた》考え方です。思考回路は日本語に依拠したまま、対応する英語表現を探している状況。
これを《英語世界に身を置く》考え方に改築していきましょう。思い浮かんだ日本語を、手持ちの英語ボキャブラリーを使って説明するなら、どう言えば伝わるか?と考えるわけです。
今の自分が使える英語表現を使ってどうにか日本語を説明する、という考え方が身につけば、どれだけボキャ貧であっても、英語で意思疎通が図れる英会話上手に変身できます。