「やぶさかではない」(吝かではない)は英語でどう言う?

日本語でいう「やぶさかでない」を、英語で表現する場合、「べつに嫌じゃないよ」「やってもいいかな」という風に言い換えて考えると、そこそこ手頃な言い方が見つかります。

「やぶさかでない」(吝かではない)という日本語表現は、日本人にとっても容易には捉えられず、人によっても場面によっても表現のニュアンスが食い違ったりする微妙な表現です。できるだけ平明な言葉で、既存の慣用的言い回しではなく自分自身の言葉で、言いたいことを言葉にするように考え直せば、対応する英語表現も案外すんなりと見つかります。日本語で考えずに直接に英語表現を探す考え方の練習にもなります。

「まぁやってもいいよ」というニュアンスで捉える場合の英語表現

「やぶさかではない」という表現を、「積極的にやりたいというわけではないが、断じてお断りというわけでもない」「提案や依頼があったなら《じゃあやるか》となる感じ」という意味合いで捉える場合、英語の《半ば消極的な承諾》を表現できる言い方で上手くニュアンスが表現できます。

I guess I have to do it.

やるしかないかなぁ

I guess I have to do it. は、消極的に受け入れる姿勢を示す意味合いで用いられる定型的な英語表現です。動詞と目的語は状況に応じて変更することができます。

「まあ・・・・・・やる他ないわよね」というような、気分は乗らないけど行うべきとも思う、というような判断を示す場面で使えます。

文頭に Oh well,  のような感嘆詞を加えて Oh well, I guess I have to do it. という風に述べると、「まぁ・・・」のニュアンスが更に出せます。

Oh well, I guess I have to do it.
まぁやるしかないか

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be willing to ~

~してもいいかな

be willing to (+動詞) は、「肯定的」であるとは言えるが「積極的」とは言いがたい、という程度の乗り気を表現できる言い方です。「まぁやってもよい」くらいのニュアンスを表現するならぴったりの英語表現と言えるでしょう。

I’m willing to change the plan if necessary.
必要ならプラン変更してもいい

will は「意志」を示す言葉ではありますが、必ずしも「喜んでやる」という意味で用いられるとは限りません。特に be willing to  の形を取る場合はその傾向が顕著です。Longman Dictionaries の「willing」の語義を参照すると、どちらかといえば消極的な意向のニュアンスが含まれていることが見いだせます。

willing From Longman Dictionary of Contemporary English
prepared to do something, or having no reason to not want to do it
やる準備がある、または、やらない理由がない

「どちらかと言うとやりたいかも」というニュアンスで捉える場合の英語表現

「やぶさかでない」のニュアンスは、是非どちらともつかないけれどやや積極的な気分に傾いているような気配を示す場合もあります。

I might want to ~

やりたいかも

I might want to (+動詞) は、助動詞 might を使って「したいかもしれない」という意味合いを示す表現です。

might は may の過去形から転じた助動詞表現で「ひょっとしたら」「かもしれない」というニュアンスを表現します。want と組み合わせることで、控えめながら少しだけ積極的な意向が表現できます。

I might want to try it.
やってみたいかも

That sounds good.

それいいかも

That sounds good. は、好ましいものであるように思われる(聞こえる)というニュアンスで、「いいね」と述べる際に使える英語表現です。

消極的というわけでもなく、かといって積極的というわけでもない、あえて言うなら「肯定的」かな、というような《中間的な評価》のニュアンスが表現できます。

? Do you wanna eat out dinner?
晩ご飯でもどう?
?That sounds good. But I have plans tonight.
いいね、でも今夜は予定があってさ

I would rather ~

どちらかといえばやりたい

would rather は、「どちらかと言えば~したい」という意味で用いられる英語表現です。I would rather ~ といえば、漠然と「その他の選択肢」を念頭に置きつつ「そうした方がマシかな」と考えているようなニュアンスが表現できます。

I would rather ~ than ~. というと than 以降に比較対象を明示して「~するよりも~したい(どちらかと言えば)」と表現できます。

I would rather stay home than go to the party.
どっちかというとパーリーに行くよりは家に居たい

「ありがたい、是非やりたい」というニュアンスで捉える場合の英語表現

「やぶさかでない」という表現を用いる場合の多くは、「是非やりたい(けどストレートにそれを言うのは気が引ける)」というような婉曲的な意思表示でしょう。英語で表現するなら、ストレートな意思表示に変換してしまいましょう。

I’d love to ~

ぜひ~したい

I’d love to (+動詞) は、I’d like to をさらに強めた表現で、「ぜひともやりたい」という強い意向を示す表現です。

? We’ll go to Canada this summer. Will you join us?
今年の夏カナダに行くんだけど、一緒にどう?
? I’d love to.
ぜひ!

I’m very interested to ~

それは実に興味深いよ

I’m very interested to (+動詞) は、「~することにとても興味がある」という意味合いの表現です。興味深いという言い方は積極的な意思・意向を示す場合によく用いられる言い方で、すなわち「やりたい」という気持ちの表れです。

I’m ready to ~

いつでもできる準備がある

I’m ready to (+動詞) は、「すでに準備万端」という言い方でノリノリのニュアンスを示す言い方です。

willing を使って I’m willing to ~ というと積極的とも消極的ともつかない微妙なニュアンスになりますが、ready と表現すると「いつでも来いや!」的な積極的な姿勢が表現できます。

否定表現で「やぶさかではない」と述べる英語表現

日本語の「やぶさかではない」という表現は、「やぶさか」に消極的・否定的な意味合いがあり、それを否定して「気が進まないわけではない」と二重否定する言い回しです。

英語でも否定表現や二重否定の表現で「やぶさかではない」に近いニュアンスを表現する言い方は可能です。

I’m not reluctant to do that

気が進まないわけではない

I’m not reluctant to do that ~は、「(~することに)乗り気でないというわけではない」といった意味の表現です。

reluctant は「気が進まない」という意味の語です。構造的には日本語の「やぶさかではない」に最も近い言い回しといえるかもしれません。

The teachers seem they are not reluctant to fail students.
先生たちは生徒を不合格にすることも辞さないらしい

I’m not saying that ~

~と言っているわけではない

I’m not saying that ~ は、字句通りに訳すれば「~と言っているわけではない」とでもいうべき言い回しです。

I’m not saying that I don’t wanna do that. It’s just a hassle.
したくないと言っているわけじゃない。ただ億劫なんだよ

I’m not saying の代わりに、「It’s not that ~」 を付けても「~というわけではない」という意味を表せます。または、「I don’t mean ~」 として、「~という意味ではない」としてもよいでしょう。

I don’t stint ~

~を惜しまない

stint は、動詞で「~を惜しむ」という意味の表現です。否定することで、「惜しまずに~する」という表現ができ、「やぶさかではない」感が表せます。

I don’t stint my praise for his achievement.
彼の功をたたえるのにやぶさかでない



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