日本語表現の「はっきり言って」の意味合いは、英語では say clearly のような言い方で表現できます。ボカしたり隠したりせず明確に示すというニュアンスです。
動詞 say も、副詞 clearly も、類似する違った語に置き換え可能です。「端的に言う」「遠慮なく本音を言う」「断言する」といった微妙なニュアンスの違いに応じて、表現を選んでみるのも、楽しいものです。
「はっきり言って」「はっきり言う」の英語表現
say、speak、 tell、 state、 put it
「端的に」はclearly または plainly
「はっきり言って」のうち、「端的に言って」というようなニュアンスを強めに持つ英語表現には、「はっきり」の部分を担う副詞として clearly や plainly が使われます。「言う」部分には、say、 put it、state といった動詞が使われることが多いです。
キッパリと申し上げます、その話の中にほのめかされていることは事実無根であります
―― The Hill, December 14, 2017
はっきり言って(もしかすると感傷的かもしれないが)、世界はスーパーマンを必要としている
―― Screen Rant, December 17, 2017
「質問の中で主張されていることを否定する」と、もう一度はっきり申し上げたい
―― Washington Examiner, December 16, 2017
plainly は、「平易に」「平たく」という意味を持つ副詞です。「平易に」「平たく」という意味から、わかりやすく、簡潔に→ はっきり というニュアンスを持つようになりました。
はっきり言って、悪く、非効率なオフィス環境は雰囲気を悪くするだけでなく、ビジネスの損益まで悪くする。
―― Euractiv , December 19, 2017
「率直に」は bluntly または frankly
「はっきり言って」のうち、「遠慮なく」「本音を言って」という意味合いを持つ表現の「はっきり」部分には、bluntly、 franklyなどが使われます。
bluntly とは「無遠慮に」という意味の副詞で、無遠慮に→遠慮なく→率直に という形でニュアンスが展開してきているととらえることができます。
率直に言えば、公園局は訴訟のあいだじゅうずっと嘘をつきつづけていました
―― Kings Country Politics, December 19, 2017
frank の原義は「自由な」です。古期フランス語の時代、フランク族という人たちがガリア地方の自由民であったことから来ています。「自由な」「縛り/制限のない」という原義から、frank は「率直な」「隠しだてをしない」という意味を持つようになりました。
tell 人 〜 frankly で、「人に〜を打ち明ける」という意味です。人に率直に/隠しだてせずに言う→ 打ち明ける という形で意味展開してきた表現で、「率直に言って」というニュアンスを持つ「はっきり言って」とかなり似通った表現だと言えます。
打ち明けてしまえば、これは語義の問題です
―― The American Weekly, December 8, 2017
to be frank with you は「実を言うと」という意味です。「実を言うと」も「はっきり言って」に通ずる表現ですね。
「実をいえば、私は落胆していました」と彼は言った
―― Delaware Public Media, December 12, 2017
articulate, declare, profess, confess
「言明する(はっきりと言う)」「はっきりと表現する」という意味を持つ動詞は複数あります。
articulate は「はっきりと/明瞭に 表現する/発音する」という意味を持つ言葉です。はっきりと表現する→はっきり言う という意味の流れを見てとることができます。
そうですね、我々は、問題解決のためにはどんな立ち位置が適当だと我々が信じるかについて、はっきりと表現してきました
―― BBC Newsnight November 30, 2017
「宣言する、発表する、言明する」という意味を持つのが declareです。「言明する」は「明らかに言う」という意味なので、これも「はっきり言う」と共通要素の大きい表現だと言えます。
私は政党政治からの独立を言明します(→独立するとはっきり言います)
―― Caffeinated Thoughts, December 12, 2017
profess、 confess は「告白する」というような意味を持ちます。告白とは隠していた心のうちを打ち明けることで、profess、 confess は「はっきり言う」と似た訳し方をすることができます。
ジュラシック・パークが子ども時代のお気に入りの映画のひとつだったことを告白します(→お気に入りだったとはっきり言います)
―― Independent Wednesday, October 25, 2017
白状するが「最後のジェダイ」はまったく冴えないというわけでもない
―― Inc., December 15, 2017
make a positive statement
positive のコアとなるイメージは日本語で認識されているような「楽観的な、肯定的な」とは少し違っていて、「しっかりと決まった」というところにあります。日本語の「ポジティブ」が持つ「楽観的な、肯定的な」というニュアンスは、「しっかりと決まった」→「疑いのない、自信のある」という流れで出てきたものと思われます。positive というと英語ではどちらかというと「明確な、はっきりした」という意味合いが強いです。
make a positive statement は「はっきりした声明を行う」が原義となり、わかりやすく訳すと「はっきり言う」となります。
今年のホリデーシーズンには、どんなプレゼントがほしいかはっきり言おう… たとえそれがダサいセーターであっても!
―― The Herald Despatch, December 10, 2017