- 親族のおじさん(叔父・伯父)なら uncle
- おじさん(小父さん)は英語では man や mister 、つまり「男の人」と呼ぶ
- 「中年男性」という意味を明示するなら older man
- 人に呼びかける場合は Hey, sir ! や Hey, mister ! で十分
- 「変なおじさん」は a stranger (知らない人)で十分
「おじさん」は英語では uncle といいますが、これは親族の叔父または叔父に対応する単語です。見知らぬ人を指して「おじさん」という場合、英語では普通 man や guy あるいは mister のような語で表現されます。つまり単に「男の人」と述べるわけです。
単にman というとオジサンとお兄さんを区別できませんが、英語ではこういう年齢的要素を重視しません。この考え方は「兄も弟も brother と表現する」のと同じ感覚なのかもしれません。
英語の uncle は「親戚のおじさん」を意味する語
「おじさん」を意味する英語表現を探すと、まず見つかるのは、 uncle という単語です。ただし uncle は、「おじ」は「おじ」でも「叔父」か「伯父」を意味する語です。要するに親族のみ。知らない人を指す「おじさん(小父さん)」の意味では基本的に使いません。
日本語では兄弟関係に応じて「叔父」と「伯父」の表記が使い分けられますが、英語は兄弟の区別には鈍感です。叔父も伯父も uncle と表現されます。
ただし知らない人を uncle と呼ぶ用法も一応ある(その1)
英語の uncle にも、日本語の「おじさん」と同様、特に血のつながりのない男の人を指す語義があります。ただし、これは幼児語の類です。
(informal) An unrelated older male friend, especially of a child.
血縁関係にない年配の男性の友人、特に子供にとっての(そういう人)
上記オックスフォード英語辞書の記述からは、この語義が「子供の」語彙であること、および、おじさんに当たる人が friend の関係であることが示されています。
friend は「友達」「仲間」あるいは「味方」。いずれにしても好意的・友好的な関係があることを示す語彙です。uncle の語は「知らないおじさん」とか「ヘンなおじさん」といったニュアンスでは使えない、という示唆が汲み取れます。
英語では他人を血縁関係になぞらえて呼ばない
日本語では、「お姉さん」「お父さん」「おばあちゃん」のように、知らない人を大体の見た目で判断して「家族構成の中の(子供を中心とした)呼び名」で呼びます。
このように「家族関係に関する言葉を家族以外にも拡張して用いる」考え方は、日本語だけでなく、アジアの他の言語にも見られます。日本的というか東洋的・アジア的な発想なのです。
ただし知らない人を uncle と呼ぶ用法も一応ある(その2)
シンガポールは、東南アジアにあり英語を公用語とする国ですが、他人である「おじさん(小父さん)」を指して uncle といいます。アジア的な考え方が英語の用法に影響を与えたわけです。
とはいえ、これはシンガポール英語のローカルルールであり、欧米で通じない用法です。
他人の「おじさん」は英語では man や guy で表現する
「おじさん」を英語で表現する場合、日本語の「おじさん」という呼び名に囚われない考え方が必要です。まず「他人を家族構成になぞらえる」考え方を捨て、さらに「年齢によって呼び名を変える」考え方も捨てましょう。
素直に「男の人」と捉える発想が英語的発想のカギ
他人の男性を指す言い方としての「おじさん」は、英語では単に man と呼べば事足ります。
man の同義語といえる guy を用いてもよいでしょう。やや丁寧に述べる場面では gentleman と呼ぶのもよいでしょう。
年齢的ニュアンスを含めるなら older man くらいが穏当
単に man と述べるだけでは、どのくらいの年代の人なのかは表現できません。あえて「やや歳がいってる」「中年のおっさん」という意味合いを明示したい場合は older man のような表現がまずまず無難です。
older は old の比較級であり「相対的に歳をとっている」というニュアンスが表現できます。単に old man と表現してしまうと、比較するまでもなく高齢な「ご老体」のニュアンスが出てきます。
old boy という表現もあります。おじさん相当の年代の男性を指す言い方です。ただし 12-year-old boy(12歳の少年)のような言い方と紛らわしくもあり、用例もほとんど見つかりません。
「おっさんくさい」という場合なら middle-aged man なども
「中年男性」という意味で middle-aged man と表現する手もあります。まあ意味もニュアンスも「中年男性」そのままです。
middle-aged man は「おじさん臭い」「いかにもオッサン的だ」という意味を込めて述べる場合にはうまくハマる表現といえそうです。
「ねえ、そこのおじさん」という呼びかけは Hey, sir !
おじさん当人に呼びかける言い方としての「おじさん!」の場合、man や guy はあまり適当ではありません。
相手に呼びかける場合、おじさん要素は度外視して、呼びかけ表現として定着している英語表現に切り替えましょう。たとえば Mister ! とか Sir ! とか、あるいは Excuse me, but ~ のような言い方が素直に見つかるはずです。
「変なおじさん」はいっそ「変質者」と言い直す
「最近この辺に変なおじさんが出没しているらしいからね気をつけてね」というような文脈で用いられる「おじさん」は、まあ man や guy でも充分に表現できます(さすがに gentleman は無理がある)が、いっそ意訳して pervert (変質者)のような語に置き換える手もアリでしょう。
pervert /pəˈvəːt/ は動詞としては「正道を外れる」「曲解する」といった意味合い、名詞としては「正道を外れた人」「性的倒錯者」「変質者」「変態」の意味でも使える語です。
変態が児童に性行為をさせるべくその子の父親の説得を試みる
― Derby Telegraph , 22 MAY 2018
「知らない人」なら strange man
「知らないおじさんについて行かないように」というような文脈なら、変態・変質者とまで言わず、strange man(見知らぬ男)と表現すれば充分でしょう。
strange は主に「奇妙な」「変な」という意味合いで用いられますが、同時に「見慣れない」「知らない(未知の)」という意味合いでも用いられます。不審な「知らない人」を形容するにはうってつけの語です。