おみやげ(お土産)は英語では souvenir 、keepsake 、memento のような語で表現できます。この3語はどれも「記念品」や「思い出の品」といったニュアンスが濃厚です。相手への贈り物というニュアンスの方が強い意味合いなら present (プレゼント)と表現してしまった方がよい場合も多いでしょう。
お土産は、ちょっとした小物でも、旅先あるいは来し方の文化が垣間見えて興味深く映るものです。旅の話の格好の手がかりになってくれます。
「お土産」のニュアンス別英語表現
《記念品》という意味の「お土産」なら souvenir
和英辞書などで「お土産」に対応する英語表現を調べると、まずは souvenir /suːvənɪə/ の語が見つかります。souvenir はフランス語が英語にそのまま導入された語、つまり外来語です。
souvenir の発音は /suːvənɪə/ 。あえてカタカナ表記するなら「スーベニア」あるいは「スーベニール」「スーブニール」のような発音です。複数形は souvenirs 。
souvenir のそもそもの意味は「思い出させるもの」。お土産はお土産でも、旅の記念・思い出の品という位置づけのお土産を的確に指し示せる表現といえます。「みやげ」よりも「記念品」と捉えた方が理解しやすいかもしれません。文脈によっては「形見」とも訳せます。
土産物屋で売ってる(実用性のあんまりない)土産、たとえば置物やキーホルダー、提灯、ペナントなんかはズバリ souvenir です。ご当地のお菓子なども souvenir でしょう。人にあげる土産物か、自分のために買った物か、という区別は特にありません。
「京都みやげ」なら Kyoto souvenir
地名を明示しつつ「どこそこのお土産」と述べる場合、《地名+souvenir》の形で表現する言い方の方が英語としては一般的のようです。日本語で「京都みやげ」と表現する形と同じく、Kyoto souvenir と言ってしまってよいわけです。
前置詞を添える言い方としては souvenir from (地名) と表現する言い方が使えます。from が多数派といえますが souvenir of (地名) と表現している例も多々見られます。
「カナダみやげ」も「カナダのみやげ」もアリ
国名の場合、国名そのものと「(国)のもの」を指す語は語形が異なる場合がままあります。たとえば America と American 、Canada と Canadian 。
《地名+souvenir》型の表現においては、America も American も、Canada も Canadian も、同程度によく使われています。どちらが正しくてどちらが誤用という類のものではなさそうです。
- Canada souvenir
- Canadian souvenir
- souvenir from Canada
keepsake や memento なども「土産物」を指す英語としてアリ
旅の思い出という意味合いの「お土産」は keepsake や memento といった表現もできます。これらも「記念品」「形見」という意味合いの「みやげ物」を指す語です。
memento はラテン語がそのまま英語に導入された語彙、つまりコレも一種の外来語です。
このブレスレットは前の旅の記念に購入したものだ
彼女はハワイのお土産にクッキーをくれた
《贈り物》としての「お土産」なら present や gift の方がアリだったりする
「人にあげる・贈る」という部分に重点を置く場合の「お土産」は、souvenir(記念品) よりも present あるいは gift と表現した方が適切な場合も多いでしょう。単に「贈り物」と捉えるわけです。
どうせなら単に present とだけ述べるよりも present for you(あなたにお土産)と言い添えましょう。贈り物感が強く打ち出せます。
先週末北海道に行ってきたの、これはあなたにオミヤゲ
present や gift は「手土産」の意味でも使える
present (贈り物)という観点で「お土産」を捉える言い方は、ホームパーティなんかにお招きされた際にちょっとしたお酒やお菓子を携えて行き「これ、おみやげ」と差し出すような場合でも、つまり「手土産」の意味でも使えます。
ついでに日頃の感謝なんかも併せて伝えてもよいかもしれません。
英語で伝える「ありがとう」の言葉、場面別に使えるお礼と感謝の表現集
お土産から旅の話を広げる際に使える英語表現
相手にお土産を渡す場面では、お土産に絡む話をいくらかすることになるでしょう。それが何なのか・どういう代物なのか紹介したり、土産ばなし的にいきさつを語ったり聞かれたりすることがお土産には付きものです。
何処の土産なのか、どう使うのか、食べ物であればどのようにして食べるのか、等々を説明してあげましょう。
おみやげの産地について紹介する英語の言い方
specialty(特産品)
specialty は「特産品」という意味で使える語です。その土地で有名な品を紹介するときに便利な単語です。
さくらんぼは私の故郷の特産品で、英語では「チェリー」と呼ばれています
famous for ~ (~で有名な)
「(地名) is famous for ~ 」の形でも特産品を説明できます。
北海道は海鮮物で有名です
おみやげの使い方や食べ方を説明する英語の言い方
使い方や食べ方があるお土産の場合、簡単に説明してあげるとよいでしょう。懇切丁寧に説明する必要は特にないでしょう。簡単な英語や身振りでざっくり説明するくらいの方が相応です。
You can use it, like~ (~みたく使える)
使い方を実演したいときには「You can use it, like ~(~みたいに使うんだよ)」と一言添えると伝わりやすいです。like のあとには単語を挿入したり、何も言わずに身振りをしてみせると良いでしょう。
ハンマーみたいに使うんだよ
You can have them with ~(~一緒にたべるといいよ)
You can have this with~ は「~といっしょに食べると良いよ」という意味です。この場合の haveは「~を持つ」という意味でなく「~を食べる」という意味です。
しょうゆと一緒に食べてみてください
Let me show you how to use this.(やってみせるよ)
Let me show you how to use this. は「どう使うかお見せします」という意味で使えるフレーズです。You can use it, like ~ と同じく使い方の実演を行うときに使う表現です。
どうやって使うかお見せします
「土産話」は story of one’s travels(旅の話)
「土産物」に「手土産」とくれば、土産つながりで「土産話」をどう英語で表現するか気になるところです。
土産ばなしは souvenir (記念品)も present(贈り物)も対応しにくく、英語では story of one’s travels (旅に関する話)という風に表現することになります。
story も travel も、意味の似た表現が沢山ある語です。表現形式は同じでも色々な英語表現の組み合わせが考えられます。
- stories of one’s travels
- tales of one’s travels
- tales of one’s journey
- story of one’s trip
- account of one’s journey
yarn (旅行譚)
口語表現では冒険の話を yarn と表現する場合があります。
yarn の第一義は「より糸」「織り糸」です。「物語を紡ぐ」というニュアンスが感じられる英語表現といえるでしょう。
ただし yarn は、冒険談は冒険談でも「嘘くさい」「ホラっぽい」「眉唾モノの」冒険話というニュアンスを多分に含みます。ものすごく話を盛っているような気がする、という意味で意図して使う場合を除き、普通の土産ばなしを指す語としては使わない方が無難でしょう。