日本語で「お揃い」と表現する場面、つまり洋服や持ち物が同一だったりソックリだったりする状況は、英語では matching のような言い方で表現できます。
似た装いという意味では similar 、まるで同じという意味では same のように表現してもよいでしょう。場合によっては like twins(双子みたい)という風に表現してもよいかもしれません。
いわゆる「お揃い」を表現する言い方
matching
matching は服の色や柄やデザインがよく似ている・合っているさまを形容する言い方です。日本語で「お揃いの服」のように表現する場面では最も無難に使えます。
アッー!クリス・ヘムズワースと「Thor: Ragnarok」の監督タイカ・ワイティティが信者お手製のお揃いの T シャツを着る
―― Daily Mail Online , 10 June 2017
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ちなみに don は do on の略であり「着る」「身につける」といった意味の動詞です。ついでに言うと bromance は男と男の濃密な関係を指す語ですが、アヤシイ関係を指すものではありません。
maching は形容詞の限定用法の形で(名詞に直接係る形で)用いられます。「お揃いの服」と述べる場合には、maching clothes とも表現できますし、上下一通りお揃いの場合には maching outfits と表現してもよいでしょう。
similar
「お揃い」のニュアンスによっては similar と表現してもよいかもしれません。
similar は「似ている」「同じような」という意味で用いられる形容詞です。まるで一緒というわけではないが、似た印象を受ける、という意味合いが表現できます。
夏に街を歩けば、15分ごとに少なくとも3組は似たような装いのカップルを見かけることになるだろう
―― PRI.org, October 15, 2013
same
same は共に「まったく同じ」「同一の」という意味合いで用いられる語です。文脈によっては「お揃い」の意味で「同じ服」と表現する際に用いられます。
same は見た目も本質もまったく同じ、同一の個体や同じ製品などを指す言い方です。「見た目は少し違っていても本質が同じ」というニュアンスで用いられることもあります。
服の装いについて same clothes のように表現すると、「お揃い」のニュアンスで解釈される期待も持てますが、それ以上に、「同じ服飾ブランドの同じ製品を着ている」と解釈されたり、あるいは、スティーブ・ジョブズの後半生の着回しのような意味合いで「同じ服を着ている」と解釈される懸念も残ります。
他方、服や小物の「色が同じ」という意味で same color と表現する言い方は「お揃いの色」のニュアンスが伝わる言い方です。
あるいは、同じアクセサリー等を「お揃いで買った」という場合には、同一プロダクトを購入したという意味で same が適切に使えます。
uniform
uniform も形容詞で「揃いの」という意味の用法があります。
uniform は「お揃い」の意味で用いるにはやや硬い響きがあり、しかも日本語の「ユニフォーム」と同様に名詞で「制服」を指す意味もあるので、ちょっと使いにくい語です。
「文化祭で着るためチーム全員でお揃いのシャツを作った」というような文脈なら、お揃い=uniform という対応関係もハマるかもしれません。
「揃い・お揃い・一揃い」を表現する言い方
洋服などが「お揃い」と表現する場面以外の「揃い」は、また別種の言い方が対応します。
「揃いの」「一揃いの」という意味では set または suit
「揃いの食器」や「家具一揃い」というような表現で用いられる「揃い」は、a set of ~ あるいは a suit of ~ のような言い方で表現できます。
おおむね、set は椅子や茶碗のように同種のもので構成された集まりを指し、suit は家財道具(机・椅子・棚)とか部屋(居間・台所・浴室)のように別種のもので構成された集まりを指す傾向があります。
一揃いのゴルフクラブ
a suite of furniture
家具一式
ちなみに、set (of)は複数名の人をひとくくりに扱う言い方もあります。文脈によっては「揃いも揃って」という意味の言い回しに使えます。
お前らは揃いも揃って馬鹿か
「皆様お揃いで」という意味では all 、together
人が連れ立っている様子を「お揃いで」と述べる場面では、2人なら both 、3人以上の場合は all と表現できます。
お揃いでどちらへ
みなさんお揃いですね
together (一緒に)の語を用いると、さらに「揃って」「一堂に会して」というようなニュアンスが出るでしょう。
皆々様お揃いですね