「台風3号」「台風21号」は英語でどう言う?

台風3号」「台風21号」というような台風の呼び名は、英語では  Typhoon No. 3 のように表現できます。ただし、これだけでは相手がピンと来てくれない懸念もあります。状況に応じて、換言、補足説明、情報の取捨選択を行いましょう。

台風(typhoon)は東アジアに特有の気象現象の呼び名である(他の地域では呼び名が異なる)ということ、そして、「台風3号」のように号数で使った呼称は半ば日本特有といえる呼び方であること。この辺の前提知識があれば、どう補足すればよいかは自ずと見えてくるでしょう。

「台風3号」「台風21号」を英語で表現する言い方

台風の呼称を日本語から英語へ訳す場合、英訳する趣旨・目的に留意しつつ訳し方を選ぶ、という考え方が必要になってきます。

素朴な訳としては「台風3号」→ 「Typhoon No. 3」のような英語表現が穏当

「台風3号」や「台風21号」を単純素朴に英語に置き換える場合、ひとまず「Typhoon No. 3」「Typhoon No. 21」というような英語表現が考えられます。

「3号」→「No. 3」という訳し方は、そう深く考えなくても感覚的に対応づけられると理解できるでしょう。深く考えると返ってややこしくなりがちです。

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やや説明的に述べるなら「3rd Typhoon of the season」

「3号」「No.3」という番号(台風番号)は、毎年元日にリセットされる通し番号です。たとえば「台風21号」は、「その年の正月以降、通算21番目に発生した台風」を指す呼び名です。

「3号」「21号」といった数字の意味するところを示すなら、the 3rd Typhoon of the season といった言い方を選ぶとよいでしょう。つまり「今季3コ目の台風」と表現するわけです。

The Definition of Typhoon Season ― 国立情報学研究所「デジタル台風」(英語版)

日本語的「台風番号」は標準的な呼称ではないという事実

日本で一般的に用いられている「台風3号」のような番号表記は、必ずしも、他のアジア諸国でも一般的とは言い切れない、微妙な呼び方です。

台風の呼び名は、かつては米国で作成された名称リストに基づき命名されていました。2000年に米国とアジア圏の当事者国の協議によりアジア名準拠の名称リストが作成され、今日ではこれに基づいて命名されています。

台風の番号の付け方と命名の方法 ― 気象庁

国際標準としての台風名はこの名称リストに準拠した呼称です。日本における「台風3号」のような番号表記は、非標準的な命名方式といえます。

ちなみに、フィリピンでは、共通のアジア名リストとはまた別の独自の呼称(フィリピン名)が一般的に用いられています。

「Typhoon No.3」のような英語訳は、半ば日本固有の呼称を英語訳した表現である、ということは、いちおう頭の片隅に置いておきましょう。

―― じゃあアジア名リストに準拠した標準的な呼称を使ったらいいのか?というと、それも推奨しかねる部分があります。余計に何のことか分からなくなるでしょうから。

こうした事情を踏まえると、the 3rd Typhoon of the season (今季3つ目の台風)という表現は、特に前提知識がなくても言わんとすることがあらかた伝わる、無難で扱いやすい表現であると結論づけられそうです。

悪名高い台風は固有名で扱われる場合が多い

陸地に到達して都市を襲って少なからぬ被害をもたらした台風は、英語圏のニュースメディアでもしばしば動向が報じられます。

英語圏ニュースメディアが台風について言及する場合、その呼び名は、アジア名リストに基づく固有名的な呼び名が基本です。

たとえば、2017年10月に発生して日本の本州に上陸し8人の死者を出した台風21号(平成29年台風第21号)は、英語圏では Typhoon Lan という呼び名で報じられています。

Typhoon Lan reaches Japan, bringing ferocious winds
台風21号「Lan」が日本に到達、猛烈な暴風をもたらしつつ
CNN, October 23, 2017
Typhoon Lan hits Japan leaving three dead
台風21号「Lan」が日本を直撃し3名が死亡
BBC, 23 October 2017

日本でハリケーンの話題に触れる感覚に近いかも

北米で発生する熱帯低気圧はハリケーン(hurricane)と呼ばれます。熱帯低気圧という点ではハリケーンも台風も共通です。

ハリケーンの呼び名も名称リストに基づき命名されていますが、日本人の大半はそのリストについてほぼ全く何も知りません。しかしながら「ハリケーン・カトリーナ」のような特にヤバい奴は日本でも報道を通じて名前が知れ渡っています。

西欧における台風の固有名の対する認識・認知度は、日本におけるハリケーンの認識になぞらえて考えられるでしょう。抜きんでて有名な台風は固有名を示せば理解される期待が持てるものの、あらゆる台風が同じ感覚で指し示せるとは考えにくいものです。


そもそも台風とは何か?を補足説明する必要があるかもしれない

台風は、「北太平洋の南西部に発生する熱帯低気圧(の強いもの)」を指す語です。どうしても、西欧には縁遠い気象現象です。

台風に類似した気象現象としては北米・中米で発生するハリケーンが挙げられます。ハリケーンも熱帯低気圧が育ってできた気象現象という点では台風と同様です。とはいえ台風をハリケーンと呼んでしまうと何かと語弊がありそうです。

tropical cyclone は補足説明に使える英語表現

台風もハリケーンも「熱帯低気圧」(tropical cyclone)に含まれます。熱帯低気圧は、いわば台風やハリケーンを含む上位概念です。

台風の話題に言及した場面で相手が「台風」そのものにピンと来ていない気配があったら、tropical cyclone の語で補足してあげるとよいかもしれません。

tropical cyclone はしばしば cyclone と略されます。英語の cyclone (サイクロン)は単に「低気圧」の指す語でもありますが、「暴風」を指す語でもあり、熱帯低気圧を指す語でもあります。

文脈によっては storm(嵐)と言い換えるのも手

台風3号・台風21号と詳しく述べる必要が特になく、「台風」と明示する必要すら特にない、単に「ひどい暴風雨」と表現できれば十分という場合は、もう storm(嵐)と表現してしまってもよいかもしれません。

storm は、暴風に雷雨などを伴う「猛烈な荒天」を指す語です。電車が止まった、停電が起きた、洗濯物が風にさらわれた、といった手近なことについて述べるだけの文脈なら、storm といえば十分に事足りそうです。


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