「もったいない」と浪費をいさめる英語表現

もったいない(勿体ない)という言葉あるいは考え方は、日本語独特のものです。英語で表現するには少し工夫が必要です。

「(捨ててしまうのは)もったいない」、「(今ここで使うには)もったいない」というように、場面に応じて表現を言い分けましょう。

「なんて無駄な浪費を」と表現する言い方

まだ十分に使えるものをさっさと捨ててしまう、すぐに新しいものに買い換えようとするといった「もったいなさ」は、waste を使って《なんという浪費をするんだ君は》のように述べると、うまく表現できそうです。

That’s a waste.
それは浪費というものだよ(もったいないよ)
What a waste!
なんて無駄遣いをするのさ(もったいないなあ)
I thought it was a waste of money.
金の無駄だ(もったいない)と思ってしまった

ただし、waste の語は基本的にネガティブな意味を強く含む単語です。言い方や文脈にもよるでしょうが、相手の行動を不用意に直接的に waste で表現すると、咎め立てするような、否定や非難のようなトゲのあるニュアンスが出やすい側面もあります。(これは日本語で「もったいないよ」と言っても同じでしょうけれど)

waste の形容詞形である wasteful は、叙述的用法の場合「むだに浪費する」という意味で用いられ、「もったいない」の趣旨が表現できます。

I think it is wasteful with electricity.
それは電気がもったいないと思う

何がもったいないのか、という対象は前置詞 of または with を伴って表現されます。


「それは不相応だよ」と表現する言い方

浪費・無駄遣いというわけでなく、過分によいものに対して「不相応です」と述べる意味合いで「もったいない」と言う場面もあります。

この手の「もったいない」は、 《適切な選択ではない》《それは不釣り合いだ》といった言い方に組み替えると、「もったいない」の趣旨が伝わるでしょう。

This bread is too good for the doves.
このパンは鳩にやるには良すぎるよ
(ハトに与えるにはもったいない)
Save it for the next time.
次のためにとっておこうよ
(いま使うのはもったいない)

ただ、表現自体を大きく勘案して他の言い方に落とし込むやり方だと、日本語の「もったいない」精神そのものを伝えることは少し難しそうです。


「大きな損失だ」と表現する言い方

単なる無駄遣いとは異なり、多くの者にとって価値のある財産や大切な人、千載一遇のチャンスなど、取り返しのつかないものが失われてしまう場面で「もったいない」と言い表すことがあります。このような「もったいない」は、英語では「損失」を表す動詞 lose やその名詞形 loss を使って、《私たちは~を失った》《~は私たちにとって損失だ》のように表現するのが自然でしょう。

We lost the final game by one run.
あと1点で最終戦に勝てた(のに、もったいない)
His retirement is a great loss to us.
彼が引退するのは本当にもったいないことだ
The demolition of the building was a major loss for our city.
その建物を取り壊してしまったのは、私たちの町にとって非常にもったいないことだった

lostを用いる場合、損失を受ける側を to や for で表します。

いっそ「Mottainai」を啓蒙する

ケニア出身の環境保護活動家、そしてアフリカ人女性初のノーベル平和賞受賞者でもあるワンガリ・マータイ(Wangari Maathai, 2011年没)は、2000年半ばに「もったいない」という言葉に接して感銘を受け、以降「Mottainai」と日本語そのままで海外に発信する取り組みを行っていました。

Mottainai is an ancient Buddhist term from Japan that means to have respect for the resources around you, to not waste resources, and to use them with a sense of gratitude.
「勿体ない」は仏教用語に由来する日本の言葉です。その意味は、身の回りにある資源へ敬意を払い、無駄にすることなく、感謝の気持ちをもって使いなさい、ということです
Mottainai campaign ― The Green Belt Movement

日本語の「もったいない」は来たるべき循環型社会にも適した誇るべき考え方です。いざとなったら自分が啓蒙してあげる、くらいの気構えを持っておくと、国際人としても堂々と胸を張って振る舞えそうです。


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