忙しいふり、知らないふり、聞こえないふり、興味があるふり、そうした「フリ」は英語では動詞 pretend が上手く使えます。
文脈によっては、「のように振る舞う」という意味で act のような表現が適切な場合もあります。主な英語表現の種類とニュアンスを知っておきましょう。
pretend は「ふりをする」の意味で広く使える表現
英語の pretend は、おおむね日本語の「ふりをする」に対応する表現といえます。
中心的な意味合いは「偽って主張する」。実は知っているのに知らない風を装う(知らないふりをする)、とか、体調が悪い風を装う(病気のふりをする)、といった言い方に使えます。
使い方もニュアンスも幅広い
pretend は基本的に他動詞として用いられます。目的語は、名詞も、to+動詞の原形、あるいは that節なども用いられます。
pretend が示す「ふりをする」のニュアンスも幅広く、「そう言い張る」「そうであるかのように振る舞う」「ホラを吹く」といったあり方が含まれます。このあたりの判断はおおむね文脈によります。
私たちが恐れていないフリをする(強がる)必要はない
―― TALLAHASSEE DEMOCRAT, June 9, 2017
profess も広く使える表現
profess も pretend と同様の意味・用法で使えます。
profess の中心的な意味は「公言する」「明言する」「ハッキリ言う」といったところ。「ふりをする」的な意味合いは副次的な意味合いです。《あくまでも(知らないと)言い張る》 →《(知らない)ふりをする》、というような脈絡の感じられる表現です。
「振る舞う」「演じる」と表現する言い方
文脈によっては、「さも~であるかのように振る舞う」「~を演じている」と表現して「ふりをする」様子を述べる言い方もできます。
act
act は「行動する」「演じる」あるいは「装う」といった意味の動詞です。文脈によっては「演じる」というよりも「ふりをする」のニュアンスが色濃い場合が多々あります。
たとえば、act a nice man (良い男を演じる)といった表現は、とりもなおさず、「善人のフリをしている」と述べる表現です。
act に続けて as if ~(まるで~のように)の節を続けると、何のふりをしているのか、をかなり自由に表現できます。
あなたは、あれが聞こえなかったフリができるのか?
play
play はもっぱら play dead および play dumb という言い回しで「ふりをする」に対応する意味を伴う表現といえます。
play dead は「死んだふりをする」。play dumb は文字どおりには「阿呆のふりをする」といったところですが、多分に「トボケる」「しらばっくれる」という意味を込めて用いられます。
fake
fake も動詞で「偽る」「偽って~を演じる」という意味で用いられる語です。虚偽のニュアンスを色濃く含み、大抵ネガティブな印象を込めて用いられます。
fake illness は形容詞+名詞で「仮病」を指す語としても使えますが、動詞+名詞(目的語)で「病気のフリをする」と述べる言い方としても使えます。
「なりすます」と表現する言い方
「消防署員のふりをして消火器を売りつける」とか「業界関係者のふりをしてイベントに潜入する」とか言う場合の「ふりをする」は、換言すれば「なりすまし」です。
pretend や act でも適切に表現可能なところではありますが、場面にバッチリ合う英語らしい言い回しもあります。
pass off (oneself) as
pass off oneself は日本語の「なりすます」に対応する意味を表現するイディオムです。前置詞 as を添えて、なりすます対象を示します。
動詞 pass は「偽った状態で通る(通用する・流通する)」という意味でも用いられます。身分や経歴を偽った状態で世間的に通っているニュアンスのある表現といえます。
set (oneself) up as
set oneself up も pass off oneself ~ と同様に「なりすます」という意味で使えるイディオムです。ただし、偽装の意味を含まず「~として立身(出世)する」という意味を取る場合もあるため注意が必要です。
動詞 set を用いることで「我が身を置く」というニュアンスが加わり、「偉人ぶる」とか「善人ぶる」というよな自己満足の響きが出る言い方です。