「腹筋崩壊」は《抱腹絶倒・大爆笑》くらいの意味で使われる俗な表現です。腹筋崩壊の趣旨を英語で表現する場合、趣旨に応じて言い換える選択肢がいくつか挙げられそうです。
「腹筋崩壊」は「笑いすぎてお腹痛いwww」という趣旨の表現。そう捉えれば、英語でどう表現できるかはおおよそ察しがつきます。
叙述的な表現ではなく、あくまで単語っぽく扱いたい、という場合には、「大笑い」の意味で用いられるネットスラング(LOL や ROFL など)に換えてもよいでしょう。
もちろん、「それ面白い!」と表現する手や、「いや~すごく笑った」と述べる手もアリでしょう。
腹筋崩壊 ― 抱腹絶倒 の意味で使える英語表現
belly laugh (腹の底から爆笑)
「腹筋崩壊」は、お腹が痛くなる(を通り越して身体が壊れる)くらい爆笑するさまを誇張気味に表現する言い方です。
有り体の表現に置き換えれば「抱腹絶倒」であり「大笑」「爆笑」「大爆笑」といったところでしょう。
《腹》に着目して「爆笑」の意味を示す英語表現としては belly laugh という言い方があります。belly は「胴」「腹」を意味する語で、belly laugh というと腹の底から声を出して笑うような大笑いを指します。日本語の「抱腹絶倒」に対応し得る英語表現としては最もニュアンスの近い表現といえるでしょう。
でもまあ belly laugh も「抱腹絶倒」も、大笑いに笑う様子に着目した表現であり、「(笑いすぎて)腹筋がコワレる・・・!」という独特のニュアンスは希薄です。その辺のニュアンスを醸すには、他の表現を検討した方がよさそうです。
ちなみに、 belly は「お腹」を指すわけですが、日常会話の中では普通は stomach が「お腹」を指す語として用いられます。
stomach は第一義的には「胃」を指しますが、転じて腹、みぞおち、さらに転じて食欲・食指といった意味でも用いられます。まあ原義がどうこうというよりも、 stomach がいわゆるひとつの超々基本語彙であると捉えた方が腑に落ちやすいでしょう。
さらに余談に走ると、高跳びの技法にある「ベリーロール」は英語では belly roll であり「ベリー」は「お腹」を指す belly です。
lol (LOL)
あえて「爆笑」のようには言わずに「腹筋崩壊」という表現を用いる文脈なら、英語でもネットスラングに訳した方がニュアンス的にしっくり来るかもしれません。
「笑い」を表現する英語のネットスラングとしては、やはり lol が代表格でしょう。lol は laughing out loud の略です。lololol… と書き連ねて強調する表現手法もよく使われます。
最近では定型化した lol の綴りを避けて敢えて崩し、lel とか lul とか、複数形っぽく lolz とか、ヒネリを加えた表記もしばしば見られます。もちろんネット上に限った話です。
lol はネットスラングとしては古典的な部類であり、見方によっては、ちょっと古くさい表現という印象を伴う場合があり得るようです。日本語の「(笑)」のような感じでしょうか。
英語の「笑い」は haha がイマドキ、lol は古くさい?
ROFL
英語のネットスラングで激しく爆笑している様子を描写する言い方としては ROFL も挙げられます。
ROFL は Rolling On the Floor Laughing の略で、「笑いながら床を転げまわっている」(「笑い転げとる」)という意味合いです。
LMFAO (laughing my fucking ass off)
さらに同種の表現としては LMFAO なども挙げられます。
LMFAO は laughing my fucking ass off の略で、卑語・罵倒語を含む乱暴な表現、その分だけ爆笑の勢いが強調された表現と言い得ます。「めちゃクソ笑った」をさらに口汚くしたような感覚です。
ROFL と LMFAO を繋げて ROFLMFAO と表現する言い方もあります。
笑いすぎて苦しいww と英語で表現するうまい言い方
「腹筋崩壊」という表現の真骨頂は、面白くて心の底から笑う爽快さと、正にそのせいでもたらされる身体的な痛覚(苦痛)が併存するという、アンビバレント(ambivalent)な感覚が表現できる点でしょう。
とかいう難しい話はさておき、英語でも「笑いすぎて苦しい」「お腹が痛い」と表現する言い方は「最高に可笑しい」と賛辞を贈る表現として使えます。ただし端的に1語2語で示す言い方があるわけではなく、やや説明的な叙述になりがちです。
hurt(ing) from laughing too much
素朴に「笑い過ぎて(体が)痛い」と表現する言い方としては I’m hurting from laughing too much. というような言い方が挙げられます。
I’m hurting from laughing too much. だと具体的にどこが痛むのか? を特に述べないことになりますが、それで聞き手がモヤることはまずないでしょう。
主語を I の代わりに体の特定の部位を示す語に置き換えれば、「腹が痛い」「アゴが痛い」といった具体的な状況を示せます。
can’t breathe from laughing
can’t breathe from laughing は「笑い過ぎて息ができない」と述べる言い回しです。笑う余り喘ぎあえいで呼吸困難になっているような状況を表現できます。
前置詞 from は原因・理由を示す用法で使われていますが、省略することもできます。
「息ができない」状況は「腹筋崩壊」とは遠いようで近い状況といえます。笑いながら苦しんでいる可笑しみが伝わります。
笑い過ぎて息できん
I can't breathe laughing so hard https://t.co/447pbjoTqG
— Richard Feldman (@rtfeldman) 2016年10月18日
can’t breathe の代わりに形容詞 choking (むせている)を使って I’m choking from laughing. (笑い過ぎてまともに息ができない)という風に述べる言い方もアリです。
crack up
crack up は「大笑いする」「爆笑させる」という意味で用いられる句動詞です。自動詞的に用いる場合もありますが、多くの場合は笑いの原因を主語に置き、笑わされている人を crack と up の間に挟んで他動詞として用います。
この動画に爆笑させられた(=この動画ウケる)
crack 単体では「パチンと割る」「ピシャンと叩く」といった意味の動詞なので、壊れるほど笑ってしまう様子を表すことができます。
laughed one’s head off
I laughed my head off. は直訳すると「頭がとれるほど笑った」という意味になります。爆笑のあまり大暴れしてしまったような状況で使える、大げさな表現です。
また、laughed one’s head off と同様の意味を持つよりスラング的なフレーズもあります。I laughed my ass off.(お尻がとれるほど笑った)で、ネット上ではよく LMAO と略されます。
LMAO にFワードを加えてさらに激しく表現した LMFAO もよく使われていますが、かなり下品な表現なので使いどころは限られます。
私のこと好きじゃない人がいるなんて信じられない爆笑 どうしたのみんな変な人たちね
i can not believe there are people that don’t like me lmfao what is wrong with you weirdos
— faerie nut (@thickestangel) 2018年4月16日
「腹筋-崩壊」を英語に直訳しても伝わるまい
仮に「腹筋崩壊」を字面通り英語に置き換えるとすると、abs collapse (Abdominal muscle collapse)のように表現されることになるでしょう。これは英語圏では「爆笑」の意味では通じません。
英語圏には「爆笑して腹が痛い」という意味で「腹筋が崩壊する」と表現する言い方・考え方が一般的にはありません。
注意深く使用場面を選べば、「うまい喩えを思いつくものだ」と受け止めてもらえるかも知れませんが、日本語感覚でサラッと使っても相手を困惑させることになるでしょう。
シンプルに絵文字で表現する手もアリかと
あえて「どのくらい爆笑したか」という程度の表現に固執するのでなければ、「笑った」と軽めに述べるくらいで十分なのでは?という観点から検討する手も十分に有効です。
テキスト主体のカジュアルなやりとりなら、感情を表現する方法として絵文字(Emoji)はかなりオススメできます。? ? のようなヤツです。
絵文字は視覚的に感覚的に言わんとすることが伝わります。強調する意味で ????? のように連ねる使い方もできます。
さすがにビジネスメールや公的文書では絵文字の使用ははばかられますが、日本語で「腹筋崩壊」のような表現が使える場面なら、まず絵文字を使っても問題ないでしょう。主な絵文字をいくつか把握してコピペ元をブクマしておいてはいかがでしょうか。