「おもちゃのチャチャチャ」は日本で作られた童謡なので、英語の元ネタ(原題)は特にありませんが、「おもちゃのチャチャチャ」が英語に訳された例はいくつかあります。
「おもちゃのチャチャチャ」の英語版の歌詞およびタイトルの例としては、Toys Dancing Cha Cha Cha 、あるいは、 The Toy Cha Cha といった表現が挙げられます。
英語の定訳や公式訳といえるような表現は特にないため、訳す人によって訳語に違いが見られます。自分なりに「おもちゃのチャチャチャ」の醍醐味が表現できるような英語表現に訳してみましょう。
「おもちゃのチャチャチャ」の主な英語訳例
「おもちゃのチャチャチャ」は日本で作詞作曲された、日本生まれの童謡です。作詞を手がけたのは作家としても有名な野坂昭如。
童謡や唱歌には英語の原曲・原題がある歌も多く(たとえば「ロンドン橋落ちた」等)、その場合は原題が「正解」と位置づけられるわけですが、「おもちゃのチャチャチャ」の場合はそういう「正解」が特にない、ということになります。
しかしながら、名曲「おもちゃのチャチャチャ」が英語圏に全く伝わっていないということもありません。
公式か非公式かという点はさておき、英語版「おもちゃのチャチャチャ」の例はウェブ上でざっと見るだけでも複数パターン見つかります。
Toys Dancing Cha Cha Cha
エイベックスの avex nico レーベルから2016年にリリースされた「avex nico presents KID’S SONGS vol.1」には、「Toys Dancing Cha Cha Cha」というタイトルの曲が収録されています。原曲はもちろん「おもちゃのチャチャチャ」です。
この「KID’S SONGS」シリーズは、日本で童謡として親しまれている曲を英語の歌詞のポップソングにアレンジして、洋楽のような感覚で(英語学習に役立てつつ)聞けるというコンセプトのシリーズです。
ちなみに「ABCのうた」や「大きな古時計」などは原曲が英語の歌です。
「Toys Dancing Cha Cha Cha」は「おも・ちゃの・チャ・チャ・チャ」というリズムに合わせて、英語歌詞を「Toys・Dancing・Cha・Cha・Cha」と訳しています。
「Toys Dancing Cha Cha Cha」という訳例は、この音源に限らず、「おもちゃのチャチャチャ」の英語歌詞・英語タイトルとしてはいちばん多く例の見つかる訳といえます。無難な訳例としてはこの「Toys Dancing ~」が第一候補といえそうです。
The Toy Cha Cha
TOKYO MX が制作した子供向け英語教育番組「インターナショナルTVスクール YU CAN DO IT ! 」内の歌コーナーでは、「おもちゃのチャチャチャ」の英語タイトルを「The Toy Cha Cha」としています。
「Toy」は名詞を形容詞的に用いて「Cha Cha」を修飾している語、と捉えれば、ほぼ原題「おもちゃ-の-チャチャチャ」の直訳・逐語訳です。
曲のリズムに合わせて言葉を埋める、ということをせず、原題に即して英語にした、という風に捉えられるでしょう。
ただし「The Toy Cha Cha」はタイトル(曲名)側の訳語であり、曲中の歌詞としての「おもちゃのチャチャチャ」はまた別の訳が充てられています。
Toys are dancing, cha cha cha
上記「The Toy Cha Cha」はタイトルこそ「The Toy Cha Cha」なのですが、曲中で「おもちゃのチャチャチャ」と歌われている部分の歌詞は「Toys are dancing, cha cha cha」になっています。
Toys are dancing. という一文に換えられていることで、曲のリズムに合わせて歌いやすく、しかも英語の文章としても自然になり、「おもちゃが(今)踊っている」という叙述が原曲の不思議な世界観をうまく再現しています。
Omocha no cha cha cha
曲のタイトルも歌詞も、必ずしも英語に訳さないといけない、というわけではありません。場合によっては、あえて英語の語彙に置き換えず、日本語の「おもちゃのチャチャチャ」を音写する形で表現するという手もあります。
歌う分には日本語そのまま「おもちゃのチャチャチャ」と歌えます。歌詞を文字に起こすとすれば「Omocha no cha cha cha」というような表記になるでしょう。
日本語をそのまま「Omocha no cha cha cha」と表記する場合、もちろん英語では意味までは伝わりません。意味も補足するなら Omocha no cha cha cha, literally The Toy Cha Cha という風に補足しておいてあげるとよいでしょう。
単に「日本では《おもちゃのチャチャチャ》っていう曲が定番」という情報を提示するだけなら、語義は二の次にして、固有名詞的に扱ってしまうという考え方も十分に意義があります。
語義を二の次にする選択肢があるということは、語義を最重視して原題の響き(チャチャチャ感とか)を犠牲にする、という選択肢もあり得ます。
要は伝えたい趣旨に応じて「どこまでアレンジするか」を自分で設定し、その範囲内で自分の言葉を編む、という考え方でよいわけです。
幼児英語教育の教材なら英語の歌を選ぶ手も
幼児の英語学習の一環として、童謡を英語に訳したい、という場合は、「おもちゃのチャチャチャ」を選ぶよりも、原曲が英語の曲を探した方が何かと便利でしょう。
たとえば「ABCの歌」(Alphabet song)、「大きな古時計」(My Grandfather’s Clock)、「メリーさんのひつじ」(Mary Had a Little Lamb)、「ロンドン橋落ちた」(London Bridge Is Broken Down)、「ジングルベル」(Jingle Bells)、「星に願いを」(When You Wish upon a Star)、などなど。
いわゆるディズニーソング(の英語の原曲)も、歌を通じて易しい英語表現を楽しく学ぶにはうってつけの教材です。「おもちゃのチャチャチャ」と同じくらいリズミカルで心が躍るような歌がきっとみつかります。