「夏の甲子園」は英語でどう言う?

「夏の甲子園」を英語で言うなら National High School Baseball Championship が理想的な表現でしょう。championship(選手権大会)がサッと出てこなければ tournament(トーナメント)と言い換えても充分に通じます。

甲子園(Koshien)は固有名であり、通称でもあります。どちらにしても補足的な情報が必要です。でも最初に軽く説明してしまえば、それ以降は 「Summer Koshien」と表現するだけで充分に話が通じます。

「甲子園」は英語では National High School Baseball Championship という

高校野球の夏の全国大会を指す語としての「甲子園」を、英語で表現するなら、National High School Baseball Championship と表現すれば、まず間違いないでしょう。

英語圏メディアでも同記述を用いている例が多々確認できます。

the national high school baseball championships
the Guardian

甲子園の(日本語における)正式な呼称は「全国高等学校野球選手権大会」。National High School Baseball Championship は、この正式名称を逐語訳的に英語で表現した言い方とも捉えられます。

national には、「国立」「国有」「国家的」といった意味もありますが、「国民的な」「全国的な」という意味合いもあります。つまり《全国大会》という意味合いが national で示されています(national newspaper といえば「全国紙」のこと)。

championship(選手権)とは競技大会における優勝者の地位、および、その地位を目指して競い合う競技大会のことです。

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主催が言うんだから間違いない

夏の甲子園の主催者は、公益財団法人日本高等学校野球連盟(高野連)、および、株式会社朝日新聞社です。

そして朝日新聞社は公式ウェブサイト(英語版)において National High School Baseball Championship の表記を用いて います

つまり National High School Baseball Championship は公式の訳語と捉えられます。

National High School Baseball Tournament と言い換えてもよい

championship の語は日常会話の基礎単語という趣が希薄で、とっさに出てきにくい向きがありそうです。そんな場合は tournament と言い換えてしまいましょう。

tournament は「トーナメント戦(形式の大会)」を指す語であり、tournament だけで「競技大会」の意味まで含みます。あえてカッチリ訳出するなら「選手権争奪戦」といったところ。

もっと丁寧に述べるなら Japanese を付け加える

高校野球の大会そのものは決して日本の専売特許ではありません。米国をはじめ海外で同種の大会が開催されています。

その意味で、Japanese (national) High School Baseball Tournament(日本の高校野球全国大会)というように表現する言い方も検討する余地があります。Japanese の語があれば「日本の高校野球の場合はね」というニュアンスが際立ちます。

要は「甲子園」を「全国高校野球選手権」と言い換えられるかどうかがカギ

結局のところ、「甲子園」を英語で表現する場合に必要なことは、英語の語彙力・表現力というよりも、むしろ「甲子園」をどのように言い換えるか?という発想ができるか否かにかかっているといえます。

甲子園を「全国高校野球選手権」のことであると言い換えられさえすれば、高校野球 → high school baseball 、全国大会→ national championship、という安直な英語への置き換えが実現するわけです。


甲子園の英語名は「Koshien」、と紹介する

National High School Baseball Championship という呼び名は、意味も明瞭で語弊のない確実な言い方といえますが、どうしても堅苦しさが出がちというか、日本語で「甲子園」と通称する場合の親しいニュアンスは薄れがちです。

こんな場合は、「これを通称して甲子園という」あるいは「甲子園という呼び名で知られる」という風に、説明的な表現の二つ名として「甲子園」の語を挙げ紹介する方法が有効です。

英語圏のオンラインメディアを参照すると、カンマを打って known as あるいは or と続けるような言い方でうまく「換言」できることが分かります。

The National High School Baseball Championship of Japan, commonly known as “Summer Koshien”
全国高校野球選手権大会、いわゆる「夏の甲子園」
― Baseball-Reference.com
Summer in Japan has many traditions. One of the most popular traditions is to watch the Japanese High School Baseball Championship, or Koshien, as it is more commonly known.
日本の夏の風物詩は色々あるが、特に人気なのが全国高校野球選手権大会、「甲子園」の呼び名で広く知られている大会だ
Japan Cheapo

「春の甲子園」は National High School Baseball Invitational Tournament

「夏の甲子園」と対比して「春の甲子園」はどう言うか?というと、これは大会の意義を汲んで Invitational Tournament のように表現することになります。

invitation とは「招待」「案内」を意味する語。つまり選抜(センバツ)に対応する語です。

夏は地方予選で勝ち上がった高校が出場する方式ですが、春は選考委員会が出場校を選考し招待(invite)する方式で出場校が決められています。

主催が言うんだから間違いない

春の甲子園(センバツ)の主催者は、高野連、および、株式会社毎日新聞社です。

そして毎日新聞社は公式ウェブサイト(英語版)において the National High School Baseball Invitational Tournament の表記を用いて います

このことから National High School Baseball Invitational Tournament の表記が公式の訳語であるといえます。

tournament in spring と表現する手もあり

春の甲子園が「センバツ」と呼ばれる理由・所以を把握していないと、invitation という語はなかなか出てこないでしょう。そんな場合は「春の大会」という意味で High School Baseball Tournament in spring のように表現しても、特に語弊なく上手く伝わるでしょう。

通称としては(Summer Koshien と呼応させて) Spring Koshien と表現できそうです。

甲子園球場は (Hanshin) Koshien Stadium

「甲子園」は大会の通称でもありますが、それ以前に、「阪神甲子園球場」の通称・略称でもあります。

阪神甲子園球場の英語名は Hanshin Koshien Stadium 。略して Koshien Stadium とも呼ばれます。球場について述べていることが自明である文脈なら、単に Koshien とだけ述べてもよいでしょう。

甲子園球場は公式ウェブサイトが多言語対応(和英中韓)しているので、公式英語名が参照できます。英語は Hanshin Koshien Stadium、中国語名は 阪神甲子園球場。ハングル表記は 한신고시엔구장 だそうです。

「決勝戦」は final、「準決勝」は semifinal

高校野球に対する関心の度合いは人それぞれですが、試合が準決勝~決勝と進んでくると、それこそ国を挙げての関心事のように大きく取り沙汰されます。

野球の試合に限らず、「準決勝」は英語では semifinal 、「決勝(戦)」は英語では final match と表現できます。

final は「最終的な」「決定的な」という意味合いの語で、トーナメント戦においては最後まで勝ち上がった者どうしが対決する「優勝者決定戦」という意味合いを持ちます。

semifinal の semi- は「半ば」という意味の接頭辞。口語表現では単に semi. と表現する場合もあります。


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