「嘘」(うそ・ウソ)を英語で表現する言い方の種類と使い分け方

英語で(うそ)は lie と表現できす。発音は /lʌɪ/ 。lie の他にも「偽り」「虚偽」「非真実」「冗談」のようなニュアンスを示す表現は色々あります。

lie は「嘘」の意味で幅広く使える汎用的表現

英語の lie は、日本語で「嘘」と表現できる場面の大半で使えます。まずは lie の意味・用法だけ把握してしまえば、表現に困る場面はそうそう訪れません。

ただし、lie の根本には「人を欺く(けしからん)行為」というニュアンスがあるという点は念頭に置いておきましょう。

lie には自動詞・他動詞・名詞の各用法があります。「ウソをつく」と表現するにしても、tell a lie と表現したり、lie to (+人) と表現したり、色々な言い方ができます。

lie は語形変化が複雑で、同綴異義語の lie および lay と混同しやすい、という点にも十分に注意しておきましょう。

I don’t lie.
僕は嘘をつかない
She doesn’t lie.
あの人は嘘をつかない
She never lies.
彼女は決して嘘をつかない
I’m not lying.
僕は嘘をついてなんかいない
Don’t lie to me.
僕に嘘はつかないでね
She was lied to.
彼女は嘘をつかれた
I lied.
僕が嘘をついた
I’m a liar.
僕は嘘つきだ

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「真っ赤なウソ」に「罪のない嘘(方便)」

真っ赤なうそ

話全体が丸ごと嘘っぱちという状況を、日本語では「真っ赤な嘘」と形容しますが、英語には嘘を赤色で比喩的に形容する言い方は特にありません。

英語では「完全な嘘」「まるきりの嘘」のように表現します。

  • plumb lie(まったくのウソ ―― まっかなウソ)
  • outright lie(徹底的なウソ ―― まっかなウソ)
  • downright lie(正真正銘のウソ ―― まっかなウソ)
  • barefaced lie(厚かましいウソ ―― まっかなウソ)

真っ黒なうそ

色名を使った表現としては black lie という言い方があります。これは「たちの悪い嘘」に対応する表現です。いわば悪意まみれの嘘というやつです。

black は「悪」や「汚れ」といったネガティブな意味を示す表現としてよく用いられる語です。black lie の場合は「腹黒い」「悪質な」といったニュアンスと受け取ってよいでしょう。

真っ白なうそ

white lie という言い方もあります。いわゆる「罪のない嘘」という意味合いの表現です。

英語では「白」は「真実」や「善意」といったポジティブなイメージのある語です。white lie は、悪意のない方便、あるいは、善意から敢えて嘘をつくようなウソを指します。


「嘘でしょう?」は lie を使わずに表現できる

lie の語は、日常会話で「ウソでしょ?」と述べるような、冗談まじりの軽いニュアンスでも一応使えます。

You’re lying, aren’t you?
嘘でしょ?ねえ

会話中に単に驚きを表現する言い方としては、「冗談だよね?」とか「信じられないわ」という意味合いの定型的フレーズがあります。他意のない表現としては、定番フレーズを選んだ方が何かと無難でしょう。

No kidding !
冗談よしてよ
No way.
そんなわけあるかい
Oh, no !
そんな
I can’t believe this.
信じられないよ

「軽いウソ」「虚偽」「虚構」を表現できる英単語

lie の他にも「嘘」を表現できる言い方は沢山あります。それぞれ意味が限られ、lie ほど汎用的ではないものの、具体的なニュアンスを誤解なく伝えられます。

fib(ささいな噓)

fib は、重要でない小さな噓を指す語です。悪意があるわけではなく、実害が生じるわけでもない、おおむね冗談と言って済ませるレベルの嘘が fib に該当します。

He told a fib that he was good at math.
彼は数学が得意だと噓をついた

falsehood(虚偽)

falsehood は false(偽り)+ hood(状態を名詞化する接尾辞)で「虚偽」を表現する言い方です。

「嘘」というよりも「虚偽」あるいは「非真実」に近いニュアンスの、やや堅い言い方、そして lie に比べると非難のニュアンスの希薄な言い方です。

made-up story、fable、fiction(作り話)

話の一連の内容が全体的に嘘だった(事実に基づいていない)という場合は、色々な言い方が使えます。

made-up story(でっちあげ)

made-up story は「作り上げられたウソ」「こしらえられたウソ」というニュアンスで「でっち上げ」を表現する言い方。

trumped-up story(捏造)

trumped-up story も捏造・でっち上げの話を指す言い方です。

動詞 trump は単独では「切り札を切る」「打ち勝つ」といった意味で用いられますが、trump + up の句動詞としては「話を捏造する」という意味合いが生じます。trumped-up は句動詞の過去分詞・形容詞形。

fable(虚構)

fable は主に「寓話」を指す語です。転じて、事実ではない架空のお話=作り話という意味でも用いられます。

fiction(創作)

fiction は小説などにおける「創作」、いわゆるフィクションを指す語です。芸術的創作の他にも、虚構、デタラメ、作り話という意味で用いられる場合があります。

hocus pocus(ちちんぷいぷい)

hocus pocus は、奇術(手品)を披露する際の呪文、あるいは手品そのものを指す言い回しです。転じて、人をうまく丸め込む際に用いられるデタラメ・ごまかし・インチキの手法という意味で用いられることがあります。

spin a yarn(法螺)

spin a  yarn は「糸(yarn)を紡ぐ」行いを表現する言い回しです、が、同時に spin a  yarn は「眉唾物の話」「ホラ話」を指す慣用表現でもあります。

旅先でこんな大冒険があって、自分は大活躍してきた、というような長たらしい自分語りを指す場合が多いようです。

cock-and-bull story(眉唾モノ)

cock and bull story は「下らない、信じるに値しないデタラメ話」というような意味合いの慣用表現です。

「cock and bull」の語源は今ひとつ定かでなく、どういう話が元ネタなのか判然としない所があります。…… まあ、cock (トリ)と bull(ウシ)の話ということで、なんとなく「狐狸の化かし合い」のような雰囲気の話なんじゃないかという感じはありますが。

equivocate(ごまかす)

equivocate は、言葉を濁す、言を弄して物事を曖昧なままにする、という意味合いで用いられる動詞です。

equivocate は「人を欺く」というよりは「人を惑わす」「はぐらかす」というニュアンスの表現です。必ずしも「嘘をつく」行為を指すとは限りませんが、嘘でもなければ正直でもない煮え切らない態度を示すには中々適した語彙です。

perjure(偽証・偽誓)

perjure はもっぱら perjure oneself の形で用いられ、もっぱら法学関連の分野で用いられます。法廷などで証言する場面で、あえて虚偽を述べるさまを指します。

「詐欺」「歪曲」を表現する英単語

もはや lie では表現できない悪質さを孕んだ行為もあります。

deceit(詐欺)

deceit は詐欺・ぺてん・策略・奸計といった意味合いの名詞です。嘘は嘘ですが特に搾取を目的とした嘘を指す言い方です。

distortion(歪曲)

distortion は「ゆがみ」を指す語であり、事実の歪曲・曲解という意味でも用いられる表現です。「歪曲された話」という意味でも用いられます。

「真実ではない」と表現する方法もある

嘘について言及する場面の多くは、直接的に嘘(lie)の語を用いる言い方だけでなく、「それは本当ではない」というような間接的な言い回しでも表現できます。

事実や真実は truthfact の語で表現できます。

That’s not true.
噓でしょう

一般的には、否定語を含む表現は後ろ向きなニュアンスが出やすいものですが、lie を not true と言い換える場面では「相手が嘘をついているかどうか」ではなく「話の内容自体が真実かどうか」と焦点をずらしやすく、そのため却って相手を責めるニュアンスを減らせる効果が期待できたりします。




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