「それは違う」と英語で伝える、批判・非難の英語表現

英語圏では、意見の不一致や対立が生じた場合、ただ堪え忍ぶ(異見を抑え込む)よりも自分の見解をしっかり表示する方が好まれる傾向にあります。言うべきことは言いにくくても言う勇気を持ちましょう。そして、そのための表現を知っておきましょう。

相手に非があると指摘したり咎めたりする発言は、それ自体、ネガティブな発言として響きます。感情をまき散らす憂さ晴らしには陥らないよう注意して、対話を通じた前向きな状況改善を目指して伝えるようにしましょう。

英語で伝える「前向きな《批判》」、建設的な議論のための異議の唱え方

相手の誤りを指摘する「批判」のフレーズ

That’s wrong.

それは違う

that’s wrong は、誤り(wrong)だとキッパリ指摘する言い方です。

That’s wrong. だけでも英文としては成立しますが、これ自体には何がどう誤っているのかを示す情報がありません(状況によっては「君が悪い」という全面的な非難のニュアンスも帯びます)。論点を具体的に言い添えるようにしましょう。

That’s wrong. The deadline was yesterday, I already told you.
それは違うよ。締め切りは昨日までってすでに話していたじゃない

You’ve got it wrong.

君は勘違いしている

you’ve get it wrong (you have got it wrong)は事実を正確に理解・把握していない人に「誤解している」「勘違いしている」と指摘するような場面で使えます。

You’ve got it wrong. Who you saw was my brother.
あなたは勘違いしている。あなたが見たのは私の弟だよ

自分の言動などついて誤解されて「それは誤解だよ」と弁明するような場面では、get it を get me に置き換えて you’ve got me wrong と表現できます。

完了形ではなく否定形を使って don’t get it wrong というと「誤解しないでね」という前置きのフレーズとして使えます。

You may have misunderstood that.

君は誤解しているんじゃないか

misunderstand は「誤解する」と訳される動詞です。接頭辞 mis- は、主に「誤って~する」という意味合いを示します。実施するにはしたが誤っているというニュアンス、正しく理解できていないにもかかわらず理解できていると自分では思っているというようなニュアンスがあります。

You may have misunderstood that.
あなたは誤解していると思う

You are in the wrong.

君が間違っている

you are in the wrong は「君は間違っている」と述べる言い回しです。in the wrong は「間違った状態にある」という意味合いの成句表現。

誤解・誤認という意味の「間違い」の他に、悪事や違法行為をはたらいていると咎める意味合いでも使えます。

I’m sure you are in the wrong. Won’t you hear other opinions?
はっきり言う、君は間違っている。他の人の意見も聞いてみるかい

You are mistaken.

君は勘違いしている

you are mistaken も「あなたは間違っている」「あなたは思い違いをしている」と述べる言い方です。

mistaken はもともと mistake の過去分詞ですが、半ば独立して「間違えている」「誤解している」という意味合いの形容詞として扱われています。

Listen. You are greatly mistaken.
よく聞け、君は大きな勘違いをしている

It is you who are mistaken!

文を敢えて it is you と倒置させると、「それは(他ならぬ)君のことだ」というような(お前が張本人だ的な)ニュアンスが強調できます。

It is you who are mistaken!
間違っているのは君なんだよ

やんわり意見具申は think や afraid を併用

指摘内容を断定的な物言いにせず、あくまでも自分の見解として、しかも極力やんわりと伝えたい場合。I think (that) ~ 型の言い回しを使うと「遠まわしに意見する」ニュアンスが出て、非難めいたキツさを緩和できます。

I think you are mistaken.
誤解されているように思う次第ですが
I’m afraid you are wrong.
恐縮ながら誤解なさっておいでかと

feel like(~のように思われる)のような、自分の主観であることを前提とする言い回しを使ってもよいでしょう。

I think は基本的には語気を弱める表現といえますが、動詞は同じ think でも主語を we(我々)とするとまた話は別で、相手に対してかなりプレッシャーをかけるニュアンスが出てきます。

We all think that you are wrong.
我々は皆、きみが間違っていると思っているよ

強気な主張は believe や sure を併用

明らかに相手が間違っていると言い切れる場合、しかも相手が頑なにそれを認めない場合、I think ~ の think 部分を believe や sure といった動詞に替えて「確信している」というニュアンスを付け加えると、こちらも譲らないぞという姿勢が表現できます。

I believe you are mistaken.
あなたが間違っているのだと私は信じて疑わない
I’m sure you are wrong.
あなたが間違っていると断言できる

結果を咎める「非難」のフレーズ

It is your fault.

君の失敗だそ

it is your fault は「あなたの失敗(fault)だ」と率直に述べる言い方です。「あなたの責任だ」というニュアンスも言外に漂います。

It’s all your fault that the IPO has been such a downer!
株式公開があれほど低調に終わったのは全部おまえの責任だ
―― MediaPost , May 24, 2012

It was an uncalled-for.

余計なことだった

It was an uncalled-for.  は「それは不要だったね」というような趣旨のフレーズです。uncalled-for は「不必要」「余計」を意味する形容詞。

人の不興を買うような失礼な言動や蛇足を咎めるような場面で使えます。

You made a mess (of something).

台無しだよ

make a mess of (something) は「(何かを)めちゃくちゃにする」という意味合いの言い回しです。mess は混乱・雑然・面倒・窮地といった意味合いの名詞。《mess of something》部分が「(何か)に関する混乱・混沌」を示し、《you made》部分が「君がそれをもたらしたのだ」と示すわけです。

You made a real mess of my exams.
君のせいで僕の試験は散々だったよ

Why on earth ~ ?

一体ぜんたい、どういうわけだ

Why on earth ~ ? は、疑問文において(ネガティブな事柄を)強調して述べる場合に用いられる言い回しです。on earth は日本語の「一体全体」と似たような場面で使われます。

Why on earth did you do such a thing ?
一体全体、なんであんなことをしたんだ
Who on earth do you think you are ?
いったい自分を何さまだと思っているんだ

理由はさておき相手をこき下ろすフレーズ

You should be blamed.

とにかく君が悪い

You should be blamed. は「君が責めを負うべきだ」と述べる言い方です。助動詞 should を使うことで「それば当然だ」「そうあって然るべきだ」という語気の強さも込められます。

絶対的に相手に非がある・間違っているという確信が得られている場合に限り、使うかどうかを検討しましょう。

You did this to me.

とにかく君のせいだ

自分も何か悪いことをしたり、間違ったりした。けれども、そうさせたのも全て相手が悪い!you did this to me(あなたが私をこうさせた)は、そう思ったときに使うフレーズです。

You started it.

おまえが元凶だ

you started it を直訳すると、「あなたがそれを始めた」です。悪いことについてであれば、「あなが元凶だ」と訳せるでしょう。お互いに悪いことをしたけれど、そもそも最初に悪かったのは相手のほうであると責めるときに使います。

「批判」は建設的に、「非難」は極力避けて

英語の criticism は「批判」とも「非難」とも訳されますが、「批判」は必ずしも叱責・咎め立てを指すとは限りません。

議論における批判は、見解の誤りや曖昧さを指摘して改善を促し、見解や思考をより洗練されたものにする、前向きで建設的な取り組みです。英語のディスカッションには半ば不可欠な要素です。

冷静に、穏やかに、理論的に、でも理屈じみた嫌味さが出ないように、適切に批判・指摘ができると、相手の感謝や信頼を獲得でき、頼りにされます。

批判に使えるフレーズは、それ自体、非難・咎め立てにも使える表現ばかりです。口調にも気を配り、しっかり論拠を説明するなどして、誤解を防ぎましょう。




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