英語の「敬称」の種類と使い分け方のコツ

相手への敬意を示す意味で名前に添える「敬称」。英語にも Mr.Mrs. といった複数の敬称があり、性別その他の要素に応じて使い分けられます。適切な敬称を使いこなせるように備えておきましょう。

英語は互いにファーストネームで呼び合う機会が多く、敬称を意識する場面は日本語ほど多くはありません。ただし英語の敬称の使い分け方・ルールは、日本語よりも厳密といえる側面もあります。

敬称の適切な使用は、マナーを重んじる場でのコミュニケーションにおいては大切な要素です。敬称の使い方を誤ると、誤解の元にもなり得ます。敬称を使い分ける主な手がかりは、性別年齢、および職業などの要素が挙げられます。

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ファミリーネームに付ける敬称表現

よく知られた英語の敬称表現に、男性への Mr. と女性への Miss があります。どちらもファミリーネームの前に付けることで、日本語でいうところの「~さん」にあたるわけですが、英語においては女性への敬称表現にもう少し細かいニュアンスの違いが出てきます。

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既婚か未婚かは最早問題ではない

Miss の使用上の注意として、以前は「未婚」の女性への敬称であることが挙がっていました。「既婚者」への場合は Mrs.(~夫人) となり、発音にもはっきりとした違いが現れます。映画 「Mr. and Mrs. Smith」のタイトルは邦訳すると「スミス氏とスミス夫人」といったところでしょう。

Miss Tanaka, please follow me.
田中さん、私についてきてください

Mrs. は「女主人」という意味の「mistress」を省略した言葉から来たといわれ、略称として.(ピリオド)を付ける必要があります。

Mrs. Tanaka, this way, please.
田中夫人、こちらへどうぞ

しかし、現在は「女性だけに結婚歴で呼称が変化するのはおかしい」として、女性への新たな呼称が馴染んできています。それが、Miss と Mrs. が合体した Ms.(ミズ) です。この敬称が現在、女性への結婚歴を排除した敬称として普及しています。

Excuse me, are you Ms. Erina?
失礼ですが、エリナさんでいらっしゃいますか
Let me introduce you to John. John, this is Ms. Ito.
ジョンに紹介しますわ。ジョン、こちらが伊藤さんよ

名前が分からない相手への敬称表現

相手の名前が分からないときにも、敬意を表して呼びかける敬称表現が存在します。それが、 男性向けの Sir と女性向けの Ma’am です。特にホテルやお店などでお客さんへの敬称として使われやすく、警察官も一般人に対してこれらの敬称を使って呼びかけます。

Excuse me, sir, may I have your name, please?
失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか

これらの表現はアメリカ南部で使われることが多く、特に Ma’am に関しては既婚か未婚を問わずあらゆる女性に対する敬称として用いられています。しかし、アメリカ南部を出ると、 Ma’am の使い方には注意が必要となってきます。

「そんなに老けてないわよ!」と言われるかも

前項でも紹介しましたが、アメリカの南部では子供に大人への敬称として  Sir と Ma’am を使い分けるよう躾けるほど一般的な敬称となっています。しかし、他の英語圏のスピーカーの間では「Ma’am=おばさん」のイメージが強いことも多く、使った相手によっては怒らせてしまうこともあるようです。かといって、これに代わる「名前が分からない女性」への敬称が存在するわけでもないので、相手を怒らせるのを回避するには Excuse me などで話しかけるのが無難です。

Excuse me, ma’am, may I carry your luggage?
奥様、お荷物をお持ちいたしましょうか

また、年長者が自分より特に若い女性に向かって使う敬称として、young lady と言うときがあります。映画の中では執事や年長のキャラクターが、お嬢様や女性キャラクターを呼ぶときに使うことが多いです。

Ho, ho, excuse me, your highness. Perhaps the young lady might want to introduce herself first before asking someone his name..
はっはっは、失礼ですがお嬢様。人に名を尋ねるときには、まずは御自分から名乗るのが礼儀というもの
――テレビゲーム バイオハザード4より

職業名を使った敬称表現

医者や博士といった特定の職業の人物に向かっては、男女の性別関係なく職業名をファミリーネームの前に付けることで、敬称とすることができます。

博士・教授・医者への敬称

博士号取得者、または医者を職業としている人に対しては Dr. をファミリーネームの前に付けることで敬意を表すことができます。Dr. はDoctorの略です。また、教授に対しては Prf. を付けます。Prf.はProfessorの略です。

We have a special guest for today. Prf. Ida, please get on the stage!
本日はスペシャルゲストをお迎えしています。飯田教授、どうぞ壇上におあがりください
Dr. Kimura, please return to Laboratory B.
木村先生、B研究室にお戻りください

特定の職業ではありませんが、師弟関係や主従関係にある場合は弟子が先生のことを 畏れを込めて Master や Lord と呼ぶことがあります。

Lord Voldemort.
ヴォルデモート卿
Master Shifu.
シーフー師匠

 

古風でとても改まった敬称表現

王族や君主などに対しては、少し古風で改まった敬称を用いることがあります。人気ドラマ game of thrones など、中世物の作品で頻繁に見かけられます。

王族に対しては「威厳」に話しかける

王族の人物、国王や女王には Your Majesty(国王陛下/女王陛下) もしくは Your Highness(国王殿下/女王君)と呼びかけます。Majesty と Highness は、それぞれ「威厳」と「高位」。直接 you と呼ぶには畏れ多いことから、「あなた様の威厳/高位(Your Majesty/ Highness)」を通してお話させていただきます、というわけです。

Good morning, Your Majesty.
国王陛下、おはようございます
Under the name of Your Highness, I pledge my word that I would not tell anyone.
女王殿下、あなた様の名の下に、私は誰にも話さぬと誓い申し上げます

また、アメリカでは裁判長など地位の高い人物に対して「Your Honor(裁判長殿)」と呼ぶときがあります。Honor は「尊敬/名誉」の意味。考え方は上記のYour Majesty などと同じ解釈です。

Your honor, I have the objection to the counsel for the defense.
裁判長、被告弁護人に異議があります

 




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