日本語の「問題」という語は幅広い意味を含みます。対応する英語表現は、文意によって違ってきます。
「問題」に対応する主な英語表現としては、question、problem、trouble、issue、matter、などが挙げられるでしょう。どれも基礎的で多用される語です。
目次
回答・解答が求められる問題は question
日本語の「問題」に対応する英語表現といってまず思い浮かぶ語は question でしょう。
question は幅広いニュアンスの「問題」に対応するもっとも一般的で汎用的な表現といえます。
question は、素朴な質問、いわゆるクイズ的な問い、疑問の投げかけ、あるいは疑義・嫌疑、等々、さまざまな意味合いで用いられます。
いずれの意味合いにも共通しているニュアンスは、相手の回答を期待している、当の事柄について何らかの情報を得たいと考えている、という部分です。
自分は知らないが相手は知っている(ので訊ねる)という種類の事柄や、「解決策は何か?」と自問したり議論したりして答えを見出す必要があるような事柄が、 question で表現されます。
前置詞 of と伴って question of ~ の形にすると、「~の問題」という風にトピックまで明示できます。
あなたの記事は人権問題を提起している
生きるか死ぬべきか、それが問題だ
―― シェイクスピア「ハムレット」
解決すべき厄介事という意味の「問題」は problem
problem には「歓迎しかねる(困った)状況」「解決・克服すべき状況」「厄介なこと」というニュアンスを中心とする語です。
problem が示す「問題」は、それ自体が困難な状況の要因となっている、そのせいで困ったことになっている、という種類のシロモノです。《回答》よりもむしろ《解決》(のための検討)が求められるもの、と言ってもよいでしょう。
健康問題と向き合ういい機会だ
労働者達は財政難によって他の仕事を探すことを余儀なくされた
problem は基本的に名詞として扱われますが、形容詞的に用いられて「手に負えない」という意味合いを取る場合もあります。いわゆる「問題児」の「問題」のニュアンスです。
通常の進行を妨げる物事は trouble
troubleは、想定されている行動を妨げる障害や障壁を指す語です。それのせいで通常どおりに事が進まない、普段どおりのパフォーマンスを発揮できない、といった代物。
機械の故障、システムの不調、体調不良、悩みの種、気苦労の要因(迷惑の元)なども trouble で表現できます。
なぜみんな手を休めたんだ、何かあったのか
彼らの飛行機のエンジンが故障した
議論に取り上げられる話題は issue
issue は論議の対象、「解決は容易でないが解決方法を模索しなくてはならない」種類の話題を指す語として用いられます。社会問題や人権問題といった語における「問題」のニュアンスです。
街の人々は人種問題について懸念していた
政府は環境問題についての意識を高めるための運動を開始した
「事態」「事柄」程度のニュアンスなら matter
matter も「問題」に対応する表現ですが、これは必ずしも「困った事」を指すとは限らず、多分に「目下考えていること」くらいの意味合いで用いられます。
日本語に対応づけるなら「問題」よりも「物事」の方が近いでしょう。日本語文章で「問題」を「物事」と言い換えても違和感ない場合、英語では matter がうまく対応する可能性が濃厚です。
matter も「困った事態」「厄介事」あるいは「重要な事」という意味で用いられる場合が多々あります。
私達にとっては死活問題だ
Please bring this matter to the attention of the board.
「問題」を使う際によく用いられる表現
表現① address a problem
「address a problem」は「問題に取り組む」という意味の表現です。問題を認識し、それに対処する意志を示す際に使用されます。
例文:We must address the problem before it escalates.(問題が悪化する前に、それに取り組まなければなりません。)
表現② solve a problem
「solve a problem」は「問題を解決する」という意味の表現です。問題に対する具体的な解決策を見つけ、実行することを意味します。
例文:It took hours to solve the problem.(問題を解決するのに数時間かかりました。)