英語では「紫色」は赤系・青系に分けられ、赤寄りの紫なら purple (パープル)、青寄りの紫なら violet (バイオレット)といいます。violet は「すみれ色」。スミレの花色になぞらえた表現です。スミレの他にも、よく知られた植物や鉱物の名前を使った表現があります。
赤系の紫色は purple(パープル)
purple は、紫の中でも赤に近い紫を表します。形容詞形は purplish で、「紫がかかった」と訳されます。
より赤色が濃い紫は、red purple と呼びます。
薄い紫は light purple 。これは「藤色」に近い色合いと言えるでしょう。
purple を使った慣用表現
「紫色」の家柄に生まれる
「born in(to) the purple」(紫の家系に生まれる)は、王室や特権階級など、高貴な家系に生まれることを意味します。
このイディオムの由来は古代ローマ時代まで遡ります。その当時、紫の染料を抽出するのはとても難しく、一部の特権階級のみが紫色の着物を身につけていました。そこから、「紫」は高貴な家柄を表すようになったのです。
その小さなお姫様は王家の一族として生まれた
顔が「紫色」になる
「turn purple (with rage)」(顔が紫色に変わる)と言うときは、その人が怒っていることを表します。日本では、人が怒ったときの顔の色は「赤」ですが、海外では「紫」を使います。
友人の顔は紫色のしみで覆われた(=友人は怒っていた)
全てを知った後、彼女は怒りで顔を紫色にした
ちなみに deep purple は色の表現としてはあまり使いません
イギリス発のロックバンド名として知られる deep purple(ディープパープル)は、いかにも色名ぽい(「深紫」?)名前ですが、色を deep purple と形容することは基本的にはありません。通じないことはないにしても、一般的な色の表現とはいえません。
「深い紫」を形容する場合の言い方としては dark purple 、あるいは imperial purple といった表現のほうが一般的です。imperial という表現は、濃紫・暗い紫色が王室で主に使われていた色味だったことに由来します。
青系の紫色は violet(ヴァイオレット / すみれ色)
violet は、紫の中でも青に近い紫を表します。植物のスミレ(菫)から生まれた色です。日本語では violet は「スミレ色」とも訳されます。
violet の中でも、赤系を red-violet、青系を blue-violet と呼びます。
violet の色を持つモノには、花のラベンダーやライラック、鉱石のアメシストなどがあります。
violet を使った慣用表現
violet (すみれ色)は色名である以前に植物・花の名前です。そのため、「violet」の語を含む熟語・イディオムの大半は、植物のスミレを何かに喩えた・なぞらえた表現です。
shrinking violet
shrinking violet (すぼまったスミレ)は「すごく内気な人」「引っ込み思案な人」を意味します。
その他、紫系の色を表す英単語
紫色の花や石、食べ物が、紫系の色を表す英単語として使われています。
赤に近い紫色「amaranth」
amaranth(アマランス)は、夏に赤紫の花を咲かせる植物です。その花の色をアマランス色と呼びます。アマランス色は、赤やピンクに近い紫色です。
アマランス色でも紫に近い色は、amaranth deep purple と呼びます。
鮮やかな赤紫色「peony」
peony(ピオニー)は、ピンク紫色の大振りな花びらが特徴的な花です。この花の色をピオニー色と呼びます。鮮やかでピンク色にも近い、赤紫を表します。
透明な紫色「amethyst」
amethyst (アメシスト)は、紫色の水晶です。その水晶の色を、アメシスト色と呼びます。青系(violet 系)の紫色の中でも、透明な紫色を表します。
薄い紫色「wisteria」
wisteria(ウェステリア)は、日本で言う「藤の花」です。つまり藤色。藤色は、light purple とも呼ばれており、淡い紫を表します。
淡い青紫「lilac」
lilac(ライラック)は、欧米で好まれているうす紫色の花です。その花の色を、ライラック色と呼びます。ライラックの花のような、淡いバイオレット色を表します。
灰色がかった青紫「mauve」
mauve(モーヴ)は、フランスのゼニアオイという花です。その花の色を、モーヴ色と呼びます。青系の薄紫色で、少し灰色がかっているのが特長です。
濃い紫色「pansy」
pansy(パンジー)は、日本でもよく知られている紫色の花です。様々な種類のパンジーがあり、紫の濃度や色の系統も異なります。しかしながら、パンジー色と言う時には、赤系の濃い紫を表します。
茶色がかった紫色「raisin」
raisin(レーズン)は干しブドウのこと。その独特の、やや茶色がかった濃い紫色は、レーズン色と呼ばれます。