日本語の「以上」という表現は、数量の程度を示したり、前述した内容を指し示したり、あるいは単に叙述を終えますという合図として用いられたりします。これを英語で表現するには、場面に応じて対応する英語表現を使い分ける必要がありそうです。
→英会話の中で話をまとめる「つまり」「要するに」の英語表現・フレーズ集
→英語の「まとめる」の表現を意味ごとに使い分ける
数値が大きい、分量が多いという意味合いの場合
数について「以上」と述べる場合は、引き合いに出した数値も含めてより大きい数・多い分量を示します。「nより多い」の表現とは微妙ながら区別が必要な場面もあるので注意しましょう。
量や数を表すときには、対象物が可算名詞か不可算名詞かによって使われる表現が変わってくることがあります。
「~以上」
- 数字+and more
※対象が不可算名詞の際に使われます。 - 数字+and over
- 数字+and above
- 数字+and up(もしくは upward)
「~以下」
- 数字+and less
※対象が不可算名詞の際に使われる表現ですが、まれに可算名詞にも使われることもあります。 - 数字+and fewer
※通常、対象が可算名詞の際に使われます。 - 数字+and under
16歳以上の子どものみ夏季キャンプのプログラムに参加できます
3歳以下の子どもであれば席の予約は必要ありません
「未満」「超過」の場合は
「以上」に関連する表現として、「~より大きい(超過)」「~より小さい(未満)」という言い方も一緒に把握してしまいましょう。
超過および未満は。引き合いに出した数値を対象に含めないことを示す言い方です。英語でもやはり「以上」「以下」の表現とは区別して扱われます。
「~より大きい」
- over+数字
- beyond+数字
- more than+数字
※通常、対象が不可算名詞の際に使われます。
「~より小さい」
- under+数字
- below+数字
- less than+数字
※通常、対象が不可算名詞の際に使われます。数字と一緒に用いられる際には、距離や時間を対象としていることが多いです。 - fewer than+数字
※通常、対象が可算名詞の際に使われます。
我々の街は人口が百万人を超えている
ゴールは出発地点から10キロメートル以内にある
「上述の」「前述の」という意味合いの場合
文章表現において「以上より~」とか「以上のことから~」のように述べる場合、この「以上」は対象が上方または前方に位置していることを示しています。英語でも、上方・前方にあるという考え方に基づいて表現できます。
「以上」を英語で表現するときには、主に above が使われています。論文や報告書といった堅めの文章では好んで用いられます。知人へのメールではあまり使わないといえるでしょう。
above を使った頻用フレーズ
- from the above, ~(以上のことから~)
- The above is ~(以上が~です)
- The above has led to the conclusion that ~(以上のことは、~という結論を導きます)
above 以外を使った頻用フレーズ
- from the foregoing, ~(前述のことから~)
- from the aforementioned, ~(上記にあるように~)
論文等で「以上より~」と言うときには、上記の表現以外に、therefore や as a result なども好んで使われています。
以上より、そのお寺は有名な芸術家によって建てられたということが分かりました
「以上、終わりです」という意味合いの場合
ひととおりの事が済んで「以上です。」と述べるような文脈の「以上」は、上述・既述の箇所を指し示す意味合いは特になく、もっぱら「これにて終了」という意味の一言です。英語では、日常会話なら That’s all. や That’s it. のような表現がよく使われます。
- that concludes ~
- that is it for ~
- that is all for ~
- all ~ are finished
手続きは以上で終わりです。ご旅行を楽しんできてください
今日はこれで以上です!テキストを閉じてください
他にはありますか?―今の所は、以上です
プレゼンテーションを締めくくる際の「以上です」
プレゼン等で発表を終えたことを表明する(締めの言葉としての)「以上です」は、英語にもいくつか定番表現があります。
- that is it from me.(私からは以上です)
- that brings ~ to an end.(~はこれで以上となります)
プレゼンテーションは以上をもって終了となります。ご参加いただきありがとうございました
私からは以上です。ご清聴ありがとうございました
文書記述を締めくくる場合の「以上」
文書末に書き添える「以上」に対応する英語表現としては conclude が使えます。文書だけでなくスピーチや会議の進行でも「終了」を示す際に使える表現です。ただ、口語表現としては使われません。
「以上」を含む慣用フレーズ
「これ以上は無理です」
- can not ~ anymore
- can not ~ further than ~
疲れきってしまったよ。これ以上勉強はできない
足がまるで棒のよう。これ以上走るのは無理です
「想像以上です」
- be more than one can expect
- be beyond one’s expectations
- it exceeds one’s expectations
expectations は imagination に、expect は imagine に置き換えることができます。注意点として、expectation には複数形の s が付きます。
彼の撮った写真を見たが、それらは想像以上のものだった
祖母がついに語ってくれた話は、我々の想像以上であった