「残り」と一言でいっても、誰からも必要とされずに「余ったもの」なのか、それともそのままの状態で「留まったもの」なのか。意味の違いによって、使われる英単語も異なります。
動詞で「残る」「残す」を表す表現
remain は「留まる」
remain は、「残る」あるいは「留まる」、周囲の状況の変化に対して従来の状況を保ち続けるという意味合いを中心とする単語です。
remain は「(場所に)居残る」という意味でも使えますし、「(原形を)留める」、「(地位を)保つ」、「(気持ちを)維持する」というような意味でも使えます。「残る」「残す」と表現したい場面ではかなり広範囲に使える語彙です。
remain はもっぱら自動詞として用いられます(他動詞の用法は基本的にありません)。主語+動詞(S+V)だけでも「存続する」という意味の文章として成立します。さらに補語を伴う(S+V+C)形で「変わらず~の状態のままでいる」という意味合いが表現できます。
ウェイン郡92号線の周辺の小集落では土曜日も機能不全の状態が続いていた
―― LEX18.com, Oct 15, 2017
stay も「留まる」もしくは「居残る」
stay も「残る」「留まる」という意味で、基本的に自動詞として用いられる語です。ほぼ remain と同じ要領で使えます。
stay は remain のような汎用性は希薄で、もっぱら「場所に留まる」「居残る」「滞在する」という場所がらみの意味合いで用いられます。stay to do と表現する言い方も「~するために(現場に)残る」といった意味になります。
「場所に留まる」という意味では動詞 abide も使えます。ただし、やや古風な硬い印象のある表現です。
survive は「生き残る」
survive は、「残る」は「残る」でも「生き残る」という意味を中心とする語です。名詞形が survival(サバイバル)です。
survive には他動詞と自動詞の用法があります。他動詞の用法では、事件や事故などの危難を目的語として「(危難)を乗り切る」「(危難)から生きて帰る」という意味を取ります。あるいは、故人を目的語として「(人)よりも長く生きる」という意味合いをとる用法もあります。
この犬がカリフォルニアの大火事から奇跡的に生還した
―― New York Post, October 15, 2017
survive は、抽象的な物事が消滅することなく「残存する」「存続する」という、比喩的な意味合いでも使えます。この感覚は日本語の「生き残る」と同様と捉えてよいでしょう。
leave は「置いておく」
leave もしくは leave behind は、「人や物を後に残す」「放置する」を意味します。また、相続の話の中では、「遺産を残す」という意味でも使われます。
彼は私を残して旅に出た
祖父は莫大な財産を残した
save は「消費しない」
save は、「消費しない」つまり「残す」という意味があります。特に、時間やお金を目的語に取ります。
将来のためにお金を残しておいたらどう?
似たような意味の単語に、set aside があります。こちらも、「消費しない」「蓄えておく」を意味します。目的語は、時間やお金に限りません。食べ物や場所なども目的語になります。
もしものときのためにお金を残しておく
hand down は「後世に残す」
hand down は、手から手に渡していくこと、つまり「後世に伝える」「後世に残す」を意味します。leave も同じ意味で使われることがあります。
我々はこの話を後世にも残していかなければならない
名詞・形容詞で「残り」「残った」を表す表現
left は「余った」
left は leave の過去分詞であり、形容詞として名詞を修飾します。意味は、「残り」です。基本的に、残ったもの(名詞)を後ろから修飾します。
ネガティブなニュアンスもあり
left には、使われず、必要とされず、「置き去りにされた」というネガティブなニュアンスもあります。
パーティーの後で、ケーキが2切れだけ残った
「時間+left」で「残り~時間」
残りの時間を表す際に、「時間+left」の形が頻繁に使われます。また、同じく「残り」を意味する remaining を使って、「時間+remaining」の形が使われることもあります。
残り10分
急いで!もう残り時間が少ない
ハロウィーンまで残すところ1週間しかない
よく使われる表現「nothing left」
left を使った表現に、nothing left(何も残っていない)があります。よく使われる表現なので、覚えておくと良いでしょう。
言い残したことはない
私にできることは何もなかった
戦争が終わった後、その町には何も残らなかった
leftover は「食べ残し」
leftover は「残り物」、特に「食べ残し」を意味します。形容詞として「食べ残した~」という意味で使われることもあります。
食べ残しを冷蔵庫に入れてくれる?
昨日食べ残したカレーを食べた
remaining は「そのままの状態」
remaining は、remain の現在分詞です。「残り」を意味します。「残り時間」は remaining time、「食べ残し」は remaining food です。left と異なり、名詞を前からも後ろからも修飾するのが特徴と言えます。
残った食べ物を持ち帰っても良いですか?
3分の1のバターを混ぜて、残りは後のために取っておいてください
試合終了まであと10分ある
「留まる人」や「解決されない問題」にも remaining を使う
remaining は、「残る」という意味の他に、「そのままの状態の」「そこに留まっている」という意味もあります。
残った(そこに留まった)労働者は、他の就職先を見つけられなかった
我々は、解決されていない(そのままの状態の)問題に取り組まなければならない
remainder は計算式の「余剰」
remainder は、remain の名詞形です。数や量について、「残り」を表します。基本的に、remainder of ~ (残った~)の形で使われます。
彼らは残党を血眼になって探した
残りの卵は捨てられた
インドでの生活も残り一ヶ月になった
また、引き算、割り算で生じる「余剰」「余り」も意味します。計算式で使われるので、目にする機会も多いでしょう。
15を6で割ると、答えは2、余り3になる
rest は「その他の部分」
rest は、通常 rest of の形で使い、「その他の部分」を意味します。日本語では、「残りの」とも訳されます。
left が「残り物」というネガティブなニュアンスがあった一方、rest of は「その他の部分」という意味での「残り」なので、ネガティブなニュアンスはありません。
残りの映画は彼を待ってから観る
私が全体の半分のお金をもらって、その残りはあなたの取り分だ
残りの滞在期間に何か予定はありますか?
よく使われる表現「enjoy the rest of ~ !」
enjoy the rest of your trip !(残りの旅行を楽しんでね!)は、旅行中しの人に対して使う定番フレーズです。trip の代わりに、stay(滞在)や weekend(週末)なども使われます。
残りの北海道旅行を楽しんでね!
残りのイタリア滞在を楽しんでね!
よく使われる表現「rest of one’s life」
rest を使った表現に、rest of one’s life(残りの人生、一生)があります。こちらも定番表現の一つです。プロポーズのセリフの中でも頻繁に使われています。
あなたの優しさは生涯忘れることはないでしょう
あなたを生涯愛すと誓います
生涯をあなたと一緒にすごしたい
remnant は「少量の残りもの」
remnant は、大部分が使われたり取り除かれたりした後の、残り部分を指します。つまり、残り部分が少量である際に使われます。
日本語では、「残り」「生き残り」「面影」「遺物」などと訳されます。
両親ははんぱ物の売り出しに行った
そのお城と城下町は、中世の遺物である
residue は「化学反応後の残り」
residue は、大部分が消えたり取られたりした後の残りを指します。特に、化学反応(燃えたり、蒸発したり)の後に残ったものを指して使うようです。また、法律用語では「残余財産」も意味します。
水が乾いて石が残った
ジャムを、果物を絞った後の残りかすで作った