日本語の「伝える」「伝達する」に対応する英語は複数あります。どれも基本的には「情報を言葉で相手に伝える」という意味ですが、それぞれが持つ語のニュアンスは違います。文脈や場合に応じて適切な表現を使い分けられるようになりましょう。
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最も基礎的・一般的・汎用的な表現は「tell」
tell は「相手に言葉で内容を伝達する」という意味で、誰かに何かを伝える場面なら状況によらず幅広く使える表現です。日常の場面で何事かを伝える・伝達するような場面は、ほぼ tell で表現してしまえる、と言っても過言でないでしょう。
tell は、伝える内容や伝え方(伝える際に用いた言葉)よりも、むしろ「伝達するという動作」に焦点を当てた語です。tell を含む文章を日本語に訳する場合は、文脈に応じて「言う」「語る」「教える」「注意する」「告白する」などのような訳語が考えられます。もちろん、多くの場合は「伝える」と訳すれば無難な訳になるでしょう。
私は遅れると彼女に伝えてください
スーザンはケンに真実を告げようと決めた
新宿駅までの道を教えていただけますか
彼は車のスピードを出しすぎるなと言った
事実や重要事項といった「情報」を伝えるなら「inform」
inform は「事実や情報を知らせる(通知する)」という意味合いで使われます。特に、新しい情報や重要な情報を伝えるといったニュアンスではよく使われます。
inform は tell よりはフォーマルな響きのある表現です。公文書やビジネス文書では比較的 inform が好んで用いられます。他方、日常会話で「伝える」を inform と表現すると、いくぶん堅苦しい印象が出ます。
明日までに結果をお知らせ致します
残念ながら、あなたの提案を受け入れることはできません
経過や結果の報告は「report」
report は調査・観察したものの経過や結果を誰かに報告する場面で用いられる表現です。新聞やテレビのニュース報道や、会社での売り上げ報告などの場面で使われます。report もややフォーマルな場で使われる表現です。
彼はその交通事故の詳細について報じた
今日の会議で調査結果を報告しなければならない
情報や知恵を次の人へ渡す場合は「pass on」
pass on は、何かを「渡す」(pass)+継続(on)という構成の句動詞で、「人の手に次から次へ渡る」というようなイメージを含む表現です。情報を伝える、伝言を伝える、といった場面でも広く使えます。また、伝統や神話などを代々「語り伝える」という意味でも pass on が使われます。
その情報を川村さんか赤城さんに伝えてください
我々はこの教訓を次の世代に伝えねばならない
新たに導入するという意味合いなら「introduce」
「海外から日本へ伝わった(伝来した)」とか「情報がこちらにも伝わってきた」というような、外部から内部へと新たに入ってくるというニュアンスを表現する場面では introduce がぴったり来るでしょう。
パンはポルトガルから日本に伝わった
我々は海外から新しい方法を取り入れなければならない