英語で「笑う」動作や様子を表現する語としては、まずは動詞の smile や laugh が挙げられますが、この他にも笑い方のニュアンスを具体的に表現できる動詞が複数あります。
日常の大抵の場面では smile か laugh かどちらかで無難に表現できそうではありますが、微笑・大笑・冷笑といったニュアンスの違いを言い分けることも可能です。語彙が増えて違いが分かれば、多分きっと、自分の表情もより豊かになります。
目次
smile = にっこり微笑む表情
smile は微笑む(ほほえむ)動作を指す語です。「笑う」と表現する場面では最も多く用いられる一般的な語彙のひとつといえます。
smile は、もっぱら口角を上げて(あるいは前歯を見せて)微笑みの表情を作るさまを指します。声を出す笑いではなく、むしろ声を立てずに表情を浮かべる様子です。笑い声を上げる場合は smileではなく laugh で表現されます。
母は私の目をまっすぐ見たかと思うと満足気に笑った
smile は基本的には喜び・嬉しさ・親切心などの表れとして浮かんだ笑みを指しますが、嬉しさや楽しさだけとは限らず、作り笑いや皮肉といった不穏な意図による笑みを指す場合もあります。冷笑も smile に含められます。
smile は自動詞としての用法だけでなく、他動詞としての用法、および名詞の用法もあります。
他動詞としての用法では「~のような笑い方をする」という意味合いで、 smile a cynical smile(皮肉な笑みを浮かべる)というように同族目的語を取る形でも用いられます。いわゆる dream a dream 型の言い回しです。
また、《smile+(目的語)+away》の形を取る場合、「(嫌なことなどを)笑ってぬぐい取る」という意味合いで用いられます。
laugh = ワハハと声に出す笑い
laugh はアッハッハと声をあげて笑う様子を指す動詞です。基本的には快活で勢いのある笑いを指します。
smile が表情で表現する笑い、laugh は声で表現する笑い、と対比して把握してよいでしょう。
その映画を観た時は心から笑った
laugh は基本的には自動詞として用いられますが、他動詞の用法も名詞の用法もあります。
他動詞の用法では、smile と同様、同族目的語を取って laugh a bitter laugh(苦々しげに笑った)というような言い回しに用いられます。
また、《laugh + oneself +(補語)》の形で「笑って~(の状態)になる」という意味合いを表現する言い方もあります。たとえば、英語にも「死ぬほど笑う」という言い方があり、これは laugh oneself to death と表現できます。
彼女は死ぬほど笑った
インターネットスラングとして一般的に用いられる略語表現「lol」「LOL」は Laughs Out Loud の略で、「声に出して大笑いする」というほどの意味合いです。
英語の「笑い」は haha がイマドキ、lol は古くさい?
grin = ニカっと笑う
grin は、声をたてずに表情で笑う(smile型の)笑い方のうち、歯をむき出しにしてニヤニヤ・ニカニカという調子で笑う様子を指す動詞です。
絵文字の ? が Grinning Face の典型的表情です。
grin も笑みの真意に関係なく使える表現です。愛嬌たっぷりに茶目っ気を込めて大ぶりな笑みを浮かべた表情を指すこともあれば、悪党のような陰謀めいた奇怪な笑いを指すこともあります。
知らない男が私を見てにたりと笑ったから怖くなってしまった
私は彼女のニヤニヤ笑いが好きじゃなかった
chuckle = くっくっという忍び笑い
chuckle は、口を開けずに、声を抑えて、静かにクククと笑う様子を指す動詞です。
人目を忍んで笑ったり、よからぬことを考えてほくそ笑んだりするさまを表現します。
私は先生の驚いた顔をみてクスクス笑った
私は父が手紙を読んで静かに笑っているのを想像した
guffaw = 高笑い・馬鹿笑い・ゲラゲラ笑い
guffaw は大声を上げて荒々しく、ガハハと・ゲラゲラと笑うような様子を指す語です。主に名詞として用いられますが、動詞の用法もあります。
笑いのツボに入って遠慮なく腹の底から笑うような様子などは、 guffaw で表現できます。
guffaw の発音は /ɡəˈfɔː/ で、「ガフォー」に近い響きです。もともと笑い声を擬音語的に再現した語のようです。
guffaw は日常ではそれほど多用される表現とは言えず、大抵の場面では呵々大笑も laugh out loud (lol)あるいは単に laugh と表現されます。
sneer = ハッ、と鼻で笑う冷笑
sneer は、人を小ばかにする、あざける、鼻で笑う、軽蔑的にせせら笑う、というような冷たい笑い方を指す語です。
sneer も冷笑ということで一応「笑い」の一種といえますが、決して朗らかな微笑みではなく、むしろ真顔で、鼻にひっかけるように行われる反応といえます。
彼はその宗教を信じている人たちをあざ笑っている
彼女は軽蔑のあまり唇を歪めた
giggle = クスクスうふふ笑い
giggle は、声に出して笑う(laugh 型の)笑い方で、嬉しさや楽しさが声になって思わず漏れ出るような小さな笑い方を指します。
小さい子どもや女の子の「くすくす」「うふふ」「えへへ」といった笑い方を表現する場面で多く用いられます。「キャッキャウフフ」というニュアンスもよく合います。
子どもたちみんな嬉しそうに笑った
彼女は僕が何を言ってもクスクスと笑う
beam = まぶしい(目映い)ほどの笑顔
beam は名詞で「光束」「ビーム」の意、動詞としては「光を発する」という意味が基本ですが、動詞としては「(輝かんばかりに)ほほえむ」という使い方もあります。
光が差すような、明かりが灯るような、あるいは「キラキラまぶしい」と形容したくなるような、明るくニッコリした笑顔が思い浮かべられる表現といえます。
彼は友だちに微笑みかけた
彼女は嬉しさで満面の笑顔だった