働いている人、働いて賃金収入を得ている人、すなわち会社員(社員)を、英語では employee、staff、worker などの語で表現できます。
employee も staff も worker も、ほとんど同義語のようなものですが、微妙にニュアンスや使い方に違いがあります。
目次
employee は一般社員を指す基本表現
いわゆる会社員やサラリーマンを指す英語表現は、employee が最も基本的といえるでしょう。
employee は「被雇用者」「従業員」を指す語です。使用者(雇い主)に従事して賃金を対価に得る仕事をする人です。
被雇用者を対象にした保険について説明した
対義語は employer
employee を雇用する雇い主を employer といいます。混同しないよう対比させつつ把握しましょう。
元となる動詞 employ (雇う)は他動詞です。employ+er は「(~を)雇う者」ということで雇用する側を指します。
employee の語尾 -ee は、対象から働きかけを受ける側の者を指して用いられることのある接尾辞です。interviewee(インタビューされる人)や trainee(訓練を受ける人)のような例があります。
管理職・上級職は executive
employee は「雇われ」のニュアンスを根底に持つ言葉で、雇う側の立場にある役職の人は基本的に含まれません。そういう会社の役員クラスの人は executive と表現されます。
幹部・役員は officer とも言います。officer の接尾辞 -er には、重要員よりもむしろ経営者側の人を指す意味合いがあります。banker (銀行家)や farmer (農家)も同様です。
そういう経営に携わる(executive )幹部(officer)のトップに立つ人(chief )が CEO(Chief Executive Officer)、すなわち代表取締役です。
staff は従業員を集合的に指す表現
staff は、会社や組織に従事する職員・従業員を指す言い方です。職員グループひとまとまりを指す集合的な表現であり、cafe staff といえばカフェの店員全体(総員)を指します。
従業員ひとりを staff と表現するなら、a staff ではなく、a member of the staff のように表現しましょう。
ちなみにスタッフ陣を1個の集合体として扱う場合には a staff of のように単数扱いします。
母は月間雑誌の編集スタッフの一員です
我々の部署は、産休で2人の従業員が足りていない
staff /stɑːf/ とよく似た語に stuff /stʌf/ があります。綴りを誤らないようにまとめて覚えてしまいましょう。
worker は働く人全般を指す広範な語
worker も社員という意味で使える表現です。ただし、work(働く)+er(人)という程度の意味を基本とするため、賃仕事に従事する人だけでなく自営業や職人・芸術家なども worker と表現できます。
employee では表現されない役員クラスの管理職は基本的に worker とも表現されません。
地元新聞紙はあの労働者らが十分な賃金をもらっていないことを明らかにした
彼はこの地域の中では熟練の職人のうちのひとりだ
自動車工場の労働者らは、雇われて住む場所を与えられる
また、口語では、 workaholic(仕事中毒)ほどではないけれど、「よく働く人」を指して使われることもあります。
部長は彼はよく働くやつだと言っていた
personnel は「人員」「人材」のニュアンスのある語
personnel も staff と同様に社員・従業員を集合的に扱う名詞です。軍における兵員・隊員という意味合いもあります。また、部署名としては「人事(部課)」を指します。
他の表現よりも「上からの指示命令を受けて職務をこなす」「人材」「人員」というニュアンスを感じさせる言い方といえます。
昨年、多くの販売員は正社員となった
兵員らは職務のために集まる
また、会社の中の人事部を指して使われることもあります。
ちなみに personnel は personal に対応するフランス語からの転用です。
clerk は「事務員」「店員」
clerk も社員・従業員を指す語で、特に一般事務の仕事に携わる従業員を指す言い方です。銀行員(行員)の意味でもよく用いられます。
特にアメリカ英語では、いわゆるショップ店員やホテルの受付なども指します。
彼女の父親は銀行員で娘も同じく銀行員になることを望んでいる
来年から、私は会社の事務員として働きます