文章をどこで区切るのかということは、作文をする上でとても大切です。例えば「彼女は、話しながら笑う彼を見つめた」という文と「彼女は話しながら、笑う彼を見つめた」という文では読点(、)の位置が違うだけですが、意味が変わります。
英語でも、「カンマ(,)」(もしくはコンマ)のつけ方によって意味が変わることがあります。英作文では、自分の言いたいことをうまく伝えるためにはカンマを正しく使わなくてはいけません。以下のような英文から、カンマを正しく使うことの大切さを知ることができます。
▼ Let’s eat Grandma!
「Let’s eat Grandma!」という文章は、そのままでは「おばあちゃんを食べよう」という意味になってしまいますが、カンマを入れることで普通の文章になります。
Let’s eat, Grandma!(さあ食べよう、おばあちゃん!)
上記のようにカンマを入れることで、「Grandma」(おばあちゃん)に対する呼びかけの文になります。
▼ Stop Clubbing, Baby Seals!
カンマがいらない英文の例です。このままでは「クラブに集まるのはやめなさい、赤ちゃんアザラシたち!」という意味になります。
「seal」はアザラシやアシカ、オットセイなどを表すことばです。「club」は「クラブに集まる」という意味を持つほか、「ゴルフクラブ」の「クラブ」のような棒状のものを表し、動詞としては「棒でたたく」ことを意味します。
Stop Clubbing Baby Seals!(ストップ・赤ちゃんアザラシ虐待!)
上記のようにカンマをなくすことで、「赤ちゃんアザラシをたたくのをやめなさい」という動物愛護のスローガンになります。
▼ Eats, shoots and leaves.
カンマを外すと大きく意味が変わる英文の例です。上記の文は、主語が省略されていますが「食事をし、銃撃をして去っていく」という意味です。
Eats shoots and leaves.(芽と葉を食べます)
カンマを外すことで、「shoots」と「leaves」が動詞ではなく名詞になります。「shoot」は「撃つ」から転じて「芽を出す」という意味があり、「芽」という名詞としても使えます。「a bamboo shoot」というと「タケノコ」を表します。「leaves」は「leaf」の複数形となり「葉」を表します。
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この文を使った英語のジョークがあります。1頭のパンダが飲食店に入り、食事をし、銃を撃って立ち去ろうとするを止めようとするバーテンダーに対して、パンダが「辞書を見てみな」と言うと、辞書にはパンダの解説文として「Eats, shoots and leaves.」(食事をし、銃撃をして去っていく)と書かれている、というものです。
以上の英文は極端な例ですが、英語には1語でいろいろな働きをする単語が多くあり、カンマ1つで文の意味が変わってしまうことがあります。英語で文章を書くときは、文の意味があいまいになってしまわないように、カンマを正しく使うことが大切です。