英語の比較表現は「他と比べてどうか」を表現する文法です。比較表現を使うことで「より良い」「もっと詳しい」「いちばん有名な」といった事柄が表現できます。
比較表現のルールは少し複雑と思われるかもしれませんが、慣れてしまえば簡単です。実践 / 練習の前に、まずは最低限のルールを知っておきましょう。
ここがポイント
- 英語の比較表現には「比較級」「最上級」と「原級」がある
- 比較級は「語尾に~er」または「単語の前に more」が基本
- 最上級は「the + ~est」または「単語の前に the most」が基本
目次
英語の「比較級」と「最上級」に関する基本知識
英語の比較表現は、形容詞や副詞で表現される内容(たとえば、大きい・速い・多い・気持ちイイ・グロい・立派だ・裕福だ・疲れている・愛している、等々)について、他と比べた場合の程度の違いを表現する言い方です。
比較表現は、日本語では、副詞「より」をつける程度の簡単な法則で表現できますが、英語やドイツ語では法則的な語形変化によって表現されます。
他と比較して「より(~だ)」と表現するための文法・語法を、文法の用語で「比較級」といいます。また、程度や度合いが「他のどれと比べても」「最も甚だしい」さまを表現する語法を「最上級」といいます。
そして、「比較級」や「最上級」と対比した場合の「元の語」(普通の形)が「原級」と呼ばれます。
比較級
比較級を作る時は用いる形容詞、副詞の語尾に er 、または形容詞、副詞の前に more を付けます。
彼の車は私のより大きい
私の犬は他の犬よりも愛らしい
彼は私よりも早く走れる
彼女は眼鏡があった方が物がよく見える
最上級
最上級を作る時は the + 形容詞、副詞 + est もしくは the + most + 形容詞、副詞です。比較級と違い、 the を付け加えることを忘れないよう注意が必要です。
ジョーはクラスで一番背が高い
彼女はその6人の中で一番早くそのレストランに着いた
例外
better と best 及び more と most
例外として、 good と well は比較級、最上級にした際にそれぞれ better と best に変化します。同じように many と much は more と most に変化します。
私の友達は私より英語を話すのがうまい
彼はチームで一番良くやった
私の大学にある図書館にはこの図書館よりも多くの本がある
驚くことに彼女はそのグループで一番多く食べた
文字にする際に現れる変化
er と est をつける単語の中に、その語尾によっては er と est をつける時に少し変化をくわえなければならない点があります。音声としては代わらないので、会話の際に気にすることはありません。
・語尾が e のものは r もしくは st のみを付けます。
原級 | 比較級 | 最大級 |
wise | wiser | wisest |
cute | cuter | cutest |
nice | nicer | nicest |
fine | finer | finest |
eerie | eerier | eeriest |
・語尾が y のものは y を i に変化させたのち er もしくは est を付けます。
原級 | 比較級 | 最大級 |
happy | happier | happiest |
easy | easier | easiest |
handy | handier | handiest |
catchy | catchier | catchiest |
busy | busier | busiest |
er と est 、または more と most への判断
英語の音節のしくみから判断
単語の音節によって er と est に変化するパターンか、 more と most に変化するパターンかが決まっています。音節が1つの単語は er への変化、音節が3つの単語は most への変化で、音節が2つのものは単語によって異なります。理詰めで覚えるのが好きという場合には特に、こうした英語の音節(シラブル)についての知識があると役立つでしょう。
ただ、単語ごとに音節数を理解するのはとても厄介なので、よく使うものだけ覚えてしまうほうが実用的ではあります。
・よく使う形容詞で more を用いる例
important,
beautiful,
interesting,
confident,
popular,
difficult, famous, serious, strange
tips
また、slowly のように ○○ + ly の単語(主に副詞)や、colorful のように ○○ + ful 、そしてtired のように ○○ + ed が語尾に来るものは基本的に more + の形に変化すると考えてよいでしょう。
○○ + ly、○○ + ful、○○ + ed → more + の形へと変化
・これら単語の例
○○ + ly | slowly | heavily | easily | likely | |
○○ + ful | colorful | careful | useful | awful | beautiful |
○○ + ed | tired | bored | excited | satisfied | interested |
比較級で英語の文章を作る方法
than ~で比較対象を示す
リスニングはスピーキングよりも大切だ
than は接続詞なので、本来は後ろに主語、述語、目的語などすべてを含んだ文章、完全文が来ます。しかし、同じことの繰り返しになる場合は省略される傾向にあります。
・省略前の文章
Listening is more important than speaking is important.
than 以下は完全文
You are smarter than I.
あなたは私よりも頭が良い
上の二つの文章ではどちらが正しいのでしょうか。口語では ~ than me のように言うことも多いですが、文法的に正しいのは ~ than I です。なぜなら than は接続詞であり、 than 以下は完全文が続くのが文法的に正しいからです。
つまりこの場合の省略する前の文章は
You are cleverer than I (am cleverer).
こうなっているのです。
than の前後の文章で比べる対象をそろえる
○ GDP in Japan used to be higher than GDP in China.
日本の GDP は以前は中国の GDP より高かった
上の例文は文法的には正確さを欠いています。なぜならこの文章では比べている対象が「日本の GDP 」と「中国」と考えることもできるからです。
その点、下の例文は「日本の GDP 」と「中国の GDP 」を比べていることが明確になっています。
省略前の文章
GDP in Japan used to be higher than GDP in China (is high).
口語では特に問題になることはありませんが、文章にして、特にビジネスシーンや立場が上の方とのやり取りでは正しい文法を用いるようにしましょう。
最大級で英語の文章を作る方法
最大級の基礎
比較級の場合は比較する対象の前に than を用いました。一方で最上級の場合は比較する対象の前に in もしくは of を用います。
場所や集団など一つの塊を表すものが比較対象なら in を使い、人数や建物の数など具体的な数字が比較対象なら of を使います。
英語の前置詞「in」の意味・用法・イメージの正しい捉え方
英語の前置詞「of」のコアイメージと具体的な用法・用例
俺が世界で一番だ
私の家が東京で一番きれいだ
その15人の中では俺が一番だ
この地区にある10個の家で、私の家が一番きれいだ
副詞を比較する際も同様です。
ボルトは世界で一番早く走れる
ボルトは10人のファイナリストの中で一番早く走れた
○○番目に
「この中で5番目に良い成績でした」このような言い回しをすることが日本語でも良くあります。これを最上級を使って表現してみましょう。
作り方は形容詞、副詞の前に2番目ならば second 、3番目ならば third のように英語の序数を入れるだけです。あくまで順番を表すので、通常の数字(two、three…)を入れてはいけません。
私の成績はクラスの中で5番目でした
その腕時計は100個の中で2番目に高いけれど、どうしても欲しい
同格比較で英語の文章を作る方法
同格比較の基本
同格比較は、比較の際に用いる形容詞、副詞の前後に as を置きます。
私は彼と同じだけ食べれる
私は姉と同じ身長だ
用いる形容詞、副詞は必ず原級であり、比較級や最大級のように happier や fastest などは用いられません。
比較級、最大級に比べて少しややこしいですが、形容詞、副詞を as で挟んで、その後ろに比較対象を持ってくると覚えておけばよいでしょう。
文法的注意点
後ろに来る as は than と同じように本来は完全文が続きます。多くの場合は省略されますが、比較級のときの様に比べる対象が一緒になるように注意しましょう。
○ The population in this city is as much as the population in tokyo.
その都市の人口は東京の人口と一緒だ
同格比較の表現を用いて比較
本来は比較対象が同じ程度を表す際に用いる同格比較ですが、最初の as の前に not, twice, half などをつけることで同格比較の表現を用いて対象を比較することができます。
私は彼ほど頭が良くない
私は彼ほど早くは走れない
私は彼の二倍食べた
彼のバックの重さは私のバックの半分だ
英語で話すための tips
文法的側面をしっかりと捉えることは英語の向上にとても大切なことです。間違った文法のまま慣れてしまうと、それが癖のように染み付いてしまい、後から修正することが難しくなるからです。
しかし、英会話する際に文法のことばかり気にしていては文章がぶつ切りのようになってしまい、話がうまく流れず、聞き手も少し不快に感じてしまうかもしれません。
ライティングする時は考える時間もあるので、文法どおりになるように心がけましょう。英会話するときはいったん正確な文法は無視して会話がスムーズになるような心がけも必要です。
er と more の区別を無視
単語の音節によって語尾に er を付けるパターンか前に more を足すパターンかが決まっていました。しかし、これにとらわれ過ぎる必要はありません。
強調するためにあえて more tall ( more の部分を強調して言う)こともあります。また simpler のようにいいづらい単語はたとえ文法的には er をつけるのが正しいとしても more simple のように言ってしまっても差し支えありません。
さらに覚え方を簡潔にするならば、すべてを more + ~ の形にしてしまうこともできます。
He is more tall than me.
She is more cute than me.
My sister is more old than me.
このような要領です。
than 以下を無視
than 以下で比較する対象を示しました。しかし比較対象が明確な場合そこを無視してしまっても問題ありません。
(2着の服を比べて)こっちの方が可愛い
(ラテとカプチーノを比べて)ラテのほうがおいしい
最上級のときも in ○○、 of ○○の箇所を省略しても伝わる時はわざわざ明言しなくとも問題ありません。
(あるクラス内で)俺が一番!
more than を後付する
比較したいのに先に形容詞をいってしまったとしましょう。そんな場合は後から more than を付ければよいです。
このピザマルゲリータより美味しい!
このパソコン動くの遅い、私の家のやつより
英会話と英文法の同時進行を!
文法的基礎をしっかり身に付けること、英会話で実際に使えるようになるには異なるアプローチが必要です。
文法は文法でしっかり覚え、試験の際や会話中に間違ったときにどこが間違いであったかをしっかり認識できるようにしましょう。
一方で、英会話では最初のうちはあまり文法のことは考えずに、まずは、 more + 形容詞、そこがある程度すらすら言えるようになったら more + 形容詞 + than 、そのあとは形容詞ごとに + er なのか more + 形容詞なのかを意識して話す、などステップを踏んでマスターしましょう。