英語では「0個の」もの(名詞)は複数形で表現する

英語は名詞の単数形・複数形をはっきり区別して扱います。複数個のモノを指す名詞は語形が複数形に変化します。そして、「0個の(もの)」を示す場合にも、名詞は複数形で表現されます。

「0は複数」という観点で捉えようとすると、混乱したり、理解に苦しんだりしがちです。「0は1(単数)に該当しない」と考えた方が腑に落ちやすいでしょう。

日常英会話で 0(zero)を使う機会はそう多いわけではありませんし、間違って単数形で述べたからといって命取りになることもまずないでしょう。でも、英語的な数の数え方・考え方を把握するための参考として意識してみる価値はあります。

英語の単数・複数の考え方おさらい

英語の名詞は、可算名詞と不可算名詞に大別できます。

可算名詞は、1つ2つと個体を数え上げられる種類のモノを指す名詞、不可算名詞はそういう風には数え上げられない種類のもの、たとえば水や土砂のような(個体として分割しがたい・量的な)物質や、抽象的・概念的なものなどが該当します。

英語の中の「不可算名詞」の見分け方・数え方・考え方

可算名詞は基本的に単数形・複数形と2つの語形を持っており、文中の扱いが単数か複数かによって使い分けられます。1つ(単体)を示す場合は単数形、2つ以上(というか1以外)の場合は複数形で表現します。

名詞の複数形の大多数は、単数形の語末に -s を付けて boys のような形で表現されます。例外も多々あり、語形が不規則的に変化する語もあれば、語形が変化しない語もあります。

英語の「単数形と複数形の区別がない可算名詞」(単複同形名詞)


「0個の」は複数個扱い=複数形で述べる

ひとつふたつ、と数えられる可算名詞について「0個の」と形容して述べる場合、その「0個のモノ」は、単数形ではなく複数形で表現されます。

たとえば「0点」は 0 points、「0 ℃」(セ氏0度)なら 0 degrees Celsius と表現します。

Nobi always gets zero points on tests.
ノビはいつもテストで0点をとる
Today’s temperature is zero degrees Celsius .
今日の気温は0 ℃だ
ISIS seems to have zero problems moving fuel across borders.
ISISは国境を越えた燃料の移送に何の問題も抱えていないようだ
―― Newsweek, 11/6/14
For the second time this season, his team had zero points and was down two scores with less than three minutes remaining.
今季二度目だが、彼のチームは1点もとっていない状況で、残り3分もないときに相手に2得点決められてしまった
―― The Denver Post, December 11, 2011

単数は「1」のみ、それ以外はすべて複数形、と捉えてみる

0個は複数形で扱う感覚は、「0<1」のような数値的な捉え方では容易に納得しがたい部分でもあります。

ここはひとつ、「0は1以外(だから単数ではない)」と捉えてみましょう。1ではない→単数ではない、したがって単数形では扱わない=複数形になる、という脈絡で捉える方法です。

この「0は1(単数)ではない」という考え方は、「小数点つきで示される数値も名詞は複数形を取る」という原則にも合致します。1未満の数も1(単数)ではないので複数扱い、というわけです。

It’s about 0.5 miles.
大体0.5マイルです

「0.5」のような数は端数によって「まあ複数形になるだろうな」と思えますが、「1.0」のようなキリのよい数は要注意です。1.0 は小数点つきで「1.0 miles」と述べる場合には複数形で表現されます。

1 (単数)と 1.0 (複数)の扱いの違いは、英語ネイティブスピーカーでも混乱しがちな部分のようです。小数と整数とは似て非なる概念であって土俵が違う、と考えておきましょう。

かけ算の要領で「n × 0」は複数の一種と捉えてみる

あるいは、複数形を前提として「(名詞)が何個あるか」を数える際に「(名詞)×(個数)」という掛け算の考え方を念頭に置いてみてもよいかもしれません。

「掛け算で捉えられる数は複数形になる」という感覚がスンナリ腑に落ちるなら、0点( points × 0 =0 points )、 0度( degrees × 0 = 0 degrees )といった脈絡で捉えてみる方法もアリでしょう。

英語で正しく読み上げる算数・数学の「値」と「計算式」


「1個もない」は 0 よりも no や not anyで表現する方が普通

「0個」の扱いは日本語感覚ではなかなか掴みにくい、厄介というか面倒な部分です。しかし理解できなくても日常会話に支障を来すというほどのものでもありません。

得点や気温といった数値的なものを表現する場合には、 0 を用いることにもなりますが、「1個もない(=0個だ)」と表現する場合には、「0個」という言い方は普通はしません。

「zero +名詞」よりも、「 no +名詞」や「 not + any +名詞」の否定語を用いて表現する方が、はるかに一般的です。

no や not any は単数形も複数形も取り得る

no や not any に続く名詞は、単数形を取ることも、複数形を取ることもあります。

一般的に、1つしかないのが普通と話し手が想定しているものに対しては単数形、複数あることが当然と想定しているものに対しては複数形が用いられます。

I have no chances of seeing her forever.
永遠に彼女と会う機会はない
They have not any children.
彼らには子どもは1人もいない
There is no refrigerator in his house.
彼の家には冷蔵庫がない(冷蔵庫は家庭に1台が普通という前提)
There are no refrigerators in that restaurant.
そのレストランには冷蔵庫がない(冷蔵庫は飲食店には数台あるのが普通という前提)

複数あることが当然と思われるものに関しては、「no ×(かける)複数個=1つもない」という発想で捉えている、と考えてしまってよいでしょう。


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