英語の前置詞「toward と towards 」および「beside と besides」は、意味や用法に違いがあるのかないのか曖昧になりやすい表現です。
紛らわしい表現は並べて比べてまとめて把握してしまいましょう。
toward と towards に意味の違いはない
どちらも同じ意味・用法で用いられる
toward および towards は、どちらも(運動・傾向・感情などの)向かう方向を表現する前置詞です。日本語では「~の方へ」「~に向かって」のように訳されます。
英文を読むに当たっては、ことさらに s の有無を意識しなくても、文意は正しく理解できます。
彼らは私に目を向けた
猫が私に向かって走ってきた
地域による傾向の違いはある
toward と towards は、地域ごとに使われ方の傾向の違いが見られます。
地域別の観点では、towards は主にイギリスやオーストラリア等のイギリス英語圏で多く用いられており、toward は主にアメリカやカナダで用いられる傾向があります。
beside と besides は意味が全く異なる
beside と besides は、それぞれ意味が異なります。
品詞は、どちらも基本的には前置詞として用いられますが、文脈によっては besides が副詞として用いられる場合もあります。
beside は隣の位置を表す語
beside は位置に言及して「~の横に」「~の隣に」といった意味を示す前置詞です。
beside はやや硬い表現であり、日常会話で「隣に」と述べる場合には next to(~の隣に)や by(~の側に)の方がよく用いられます。
ここへ来て私の隣に座ったらどう?
テーブルの側に小さなソファーがあります
besides は加える・除くさまを表現する語
besides は特定の要素を足したり引いたりするさまを表現する前置詞です。肯定文では「さらに」「~に加えて」といった意味で、否定文や疑問文では「~を除いて」「~の他には」といった意味で用いられます。
besides も根本のイメージは beside の「横に」というイメージと共通しているといえます。「いったん横に置いといて」「それは差し置いて」というようなニュアンスを中心として beside から独立した語、といえるでしょう。
重役の他にも多くの職員が出席した
ビール以外でどんな種類のアルコール類がお好きですか。
私以外にあなたの秘密を知っている人はいない
besides は副詞で「さらに」という意味でも用いられる
besides は前置詞の用法の他に副詞としての用法があります。意味は日本語の「さらに」「その上」に近いニュアンスです。also(また)や moreover(そのうえ)の類義語と考えてよいでしょう。
通常、副詞として besides を用いる場合は、besides の前後カンマを打って記述します。
とても寒かったし、さらにその上暗かった
さらに、彼らは嘘の説明を消費者に対して行っていた