英語の擬音表現(オノマトペ)の学び方・使いこなし方

物音や動物の鳴き声を音声的に再現したような表現を擬音表現といいます。英語ではこれを onomatopoeia (オノマトペ)と言います。英語にも、日本語ほどではありませんが、オノマトペ的な表現が沢山あります。

日本語の擬音表現と英語のオノマトペとを見比べると、音の響きが全然異なるという点もさることながら、文章上の主な扱いに大きな違いがあると気づかされます。日本語の擬音表現はもっぱら副詞的に用いられますが、英語では動詞にオノマトペ的な役割が含まれている場合が多々あります。

日本語的には「ボコッと-殴る」と(副詞+動詞で)表現するであろう場面は、英語なら「ボコる」と(動詞だけで)表現する。・・・・・・という風に考えてみると、案外、多くの表現がスッと腑に落ちたりします。

英語の中の主な擬音表現(オノマトペ)

動物の鳴き声や、効果音のように表現される物音などは、英語でも日本語でも同様に単独で発せられる(再現される)ため、比較が容易です。

あらためて比べてみると、聞こえ方というか、音感というか、表現に少なからず違いのあることに気づかされます。でも共通している部分も多いことにも気づくはずです。

動物の鳴き声

動物の鳴き声を模した擬音表現は、比較的、響きや用法が日本語に似ています。たとえば犬のうなり声を woof woof と表現するように、2語重ねて表現する場合が多かったりする部分にも共通点を感じます。

日本語の「ワンワン」にあたる犬の鳴き声は、英語では bow wow (バウワウ)と表現します。(bow wow は重なる語が微妙に変わる希有な例です)

英語のオノマトペと日本語の擬声語とは、文字に起こすと別モノのような風情ですが、声に出してみると意外と感覚が相通じていることがわかります。

【犬】woof

犬がウ~と低く唸る声。

語末に f の音が付くのは英語的な感覚というかクセというべきかもしれません。

woof は名詞または間投詞としての用法が主であり、名詞としてはもっぱら複数形で用いられます。意味・用法ともに純粋な擬音語表現とでも呼びたくなる種類の語です。

【犬】yelp

小型犬がキャンキャンと鳴き立てる声は yelp と表現します。yelp の発音は日本語カナ表記では中々再現しにくいものがありますが、「イエーイ」の「ィェ」を使って「ィェルプ」と発音するような感じです。

yelp は名詞または動詞として用いられます。この「擬音表現が単独で動詞として用いられる」という感覚は、英語では yelp の他にも多く沢山みられます。

【犬】howl

howl は犬や狼の アオーンという遠吠えの声を表現する語です。語頭の h を気持ち控えめに発音すると、日本語的にも納得感のある音に聞こえます。

【猫】 meow、mew

meow や mew は日本語でいうところの「ニャー」に対応する、ネコの鳴き声です。わりと納得感のある音感といえるかもしれません。

mew は英語的には《 cry of a cat or gullOxfordDictionariesと認識さえています。gull は「カモメ」を指す語です。mew も名詞としてはカモメを指す語として用いられる場合があります。――これはカモメ科の海鳥である「ウミネコ」の存在を考えると、まずまず納得できます。

【猫】hiss

hiss は猫が威嚇の姿勢を示してシャーッという音声を指す言い方です。もっとも、ネコに限らず、ヘビがシャーと言ったりヤカンが蒸気でシャーと鳴ったりする様子も hiss と表現されます。

音声学的に歯と舌で息をこするように発する /s/ や /z/ の音を hissing sound と呼ぶ場合があります。

生活音

生活環境の中で発生する音や動作の様子は、英語でもオノマトペ的に表現されます。ただし、純粋に音を再現する表現として用いられるよりは、オノマトペ的要素を含む動詞として用いられる場合が少なからずあります。

burp / げーっぷ

ゲップするさまを再現する音です。

champ、chomp / むしゃむしゃ

食べるさまを表現する擬音表現です。

特にクチャラーのように音を立てる人を非難するニュアンスがあるいうわけではありません。

clap / パチパチ

拍手する音、破裂する音、あるいは雷鳴などを表現する、汎用的な擬音表現です。

flip-flop / パタパタ

flip-flop は翻るさまを表現する語です。洗濯物が風にたなびいてぱたぱた、とか、履いてるサンダルがスッパンスッパン言うような状況を表現します。

grumble / ブツブツ、ゴロゴロ

grumble は「ぶつぶつ不平を言う」という意味合い、および、「雷鳴がごろごろと唸る」という意味合いを主とする語です。

日本語的にはブツブツとゴロゴロとでは隔たりを感じますが、要は低調に不完全燃焼的に響く音ということなのでしょう。

guffaw / ゲラゲラ

guffaw は「ばか笑い」する様子、喉を全解放してゲハハハと笑うような(多分に下品な)馬鹿笑いを表現する語です。名詞または動詞として用いられます。

英語で「笑う」と表現するニュアンス(笑い方)別の英単語

bang / バンッ、バタンッ

bang は勢いよく衝突するさまを表現する音としてよく用いられます。銃声を表現する音としても多く用いられます。ドアが勢いよく閉まる音などにも用いられます。

biff / ドンッ、ビシッ

biff は強烈に蹴ったり叩いたりする様子を表現する、破裂音めいた擬音表現です。

bump / ドッスン

bump は「ドン」「バタン」というような、衝突音全般を表現する語です。ダンプカー(dump truck)も「積み荷を投げ下ろす」という意味合いで dump に通じます。

任天堂のゲーム「スーパーマリオブラザーズ」に登場するキャラクターに「ドッスン」という奴が居ますが、英語版ゲームではドッスンは「Thwomp」と名づけられています。thwomp は普通の英語辞書に載るような単語ではありませんが、重い物体が字面などに激しくぶつかる様子・衝突音を表すオノマトペとして認識されているようです。


英語は動詞でオノマトペを表現する

足音や風音の様子といった、日本語では音で表す様子や事象の多くは、英語では動詞として表します。

たとえば赤子がオギャーと喚く様子は、英語では mewl と表現されますが、mewl は動詞であり、「(オギャーと)泣く」というオノマトペ要素を含んだ動詞として用いられます。オギャーに当たる表現は不要というわけです。

この、英語は擬音表現を動詞に転じて用いるという点を理解できると、英語にもけっこう擬音表現が多いことに気付きます。英語の動詞の扱い方に示唆されるところも多いでしょう。

音を含む動詞

バブバブ / 赤ちゃんが話す様子
babble
ペチャクチャ / 楽しそうに話す様子
chat
ハッハッハ / 嬉しそうに声高に笑うこと
chortle
クラクラ フラフラ / めまいがする様子
dizzy
ガラガラ / しゃがれた声で話す、もしくはうがいをする
gargle
ゴボゴボ / 液体などがあふれたり、気泡がでる様子
glug
チリンチリン / 鈴などが鳴る音
jingle

クリスマスソングとして知られる「ジングルベル」の jingle は、「リンリンと鳴る」という(副詞の意味まで含んだ)動詞です。自動詞としても他動詞としても用いられ、Jingle bells の場合は「鈴をりんりんと鳴らす」という他動詞の扱いです。


英語の擬音表現をまとめて学ぶウマいやり方

擬音表現(オノマトペ)を一覧して学ぶ、という方法は意外と難しいものです。特に英語は、オノマトペ要素が動詞に包含されている傾向が強く、「英語のオノマトペの一覧」を期待しても意に沿うリストにはなかなか出会えません。

英語の日本語学習サイトが使えそう

日本人が期待する「英語のオノマトペ」を手っ取り早く一覧する方法として、英語圏の日本語学習サイトを参照する方法が挙げられます。

日本語の中では擬音語表現は単独で取り上げやすいカテゴリーです。英語話者の観点から擬音語を(英語で)紹介・説明する文章を参照することで、日本語の擬音表現に対応する英語の表現が逆引きできます。

たとえば Japanese Lesson Companion は、五十音順に擬音語を日本語で検索できる、英語話者向けの日本語学習サイトです。それぞれの表現に日本語・英語の例文が用意されているため、英語の文中でのオノマトペの使い方まで参照できます。

Japanese Lesson Companion

Tofugu も英語話者向けの日本語学習サイトです。日本語の擬音表現を手がかりに、英語による定義や文例が参照できます。日本語の分析が見事で、日本語例文も非常になれた感があります。

Tofugu


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