英語の前置詞「under」と「below」は、どちらも「下に」という意味合いを示す語です。ニュアンスや使いどころの違いは曖昧になりがちです、比較対照しつつ改めてを把握しましょう。
PEN英語教師塾の動画レッスン「前置詞 under below」で、under と below の違いと使い方の勘所を押さえましょう。講師はお馴染み田中茂範先生です。
→前置詞 under below
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under と below の違いは一言ではなかなか表現しきれませんが、あえて一言でまとめるなら、under 「~ の下」、below は「~よりも下」という感覚です。以下、具体的に見ていきましょう。
前置詞 under を理解するコツ
under のコアイメージは「ある基準よりも下に」
前置詞 under の根本にある抽象的イメージ、いわゆるコアイメージは、「何かの下に」というような感覚で捉えられるでしょう。
たとえば under the tree(木の下)、あるいは under the bridge(橋の下)といった表現で under が用いられます。視点の基準が tree や bridge の側に置かれている点はひとつ留意しておくべき部分でしょう。
under は基本的には over (上に)と対の関係になる語として用いられますが、接触のイメージで on とは逆の「内側の意味合いでも用いられます。
基本は「何かの下に」という意味合い
under の基本的な意味・用法として、まずは(言及の基準となる物体などの)下を指す用法が上げられます。根本的イメージに近い素朴な意味合いといえます。
こちらにおいで。木の下は涼しいよ
ボートは小さな橋の下を通過した
車のボンネットの下を見てみるよ
「管理・影響の下で」という意味合いの用法
under には「~に(全体を)覆われている」というイメージもあります。転じて、管理下・影響下にあるという「下」の意味合いでも用いられます。
憲法のもとでは、同じ罪で二度裁判にかけられることはない
人々はルイ14世国王の支配下で繁栄した
underは「影響のもとに置く」というニュアンスから、stress や pressure といった語としばしば併用されます。
かなりのプレッシャーのもとで
かなりのストレスのもとで
彼女はかなりのプレッシャーをかけられた
under the gun という言い回しは、銃の脅威の影響下にあるという意味合いですが、銃の影響下に置かれた人にとっては銃は必然的に「圧力」となる、ということで、under pressure のニュアンスをも含むことになります。
彼はプレッシャーを受けている
under the weather は文字通りには「天候の影響下にある」と述べる言い回しですが、これは慣用表現で「気分が悪い」「調子が悪い」と述べる言い方です。
実のところ少し気分が悪いんだ
under control で「管理下にある」という意味です。
すべて管理下にある
fall under the category〜(〜のカテゴリーに分類される)という用例は、カテゴリーが下に枝分かれしていく階層構造を連想させます。
この本は「歴史小説」に分類される
「ある基準より下」(〜未満)という意味合いの用法
under の「(ある基準よりも)下に」という意味合いは、抽象的にも用いられ、「〜未満」という意味を示す場合もあります。
彼女は未成年だ
子どもとは18歳未満の者をいう
12歳未満の子どもは親の許可が必要だ
年齢などについて言及する場合の under は日本語の「未満」に相当します。under 18 といえば「18歳未満」。つまり、当の18歳は対象には含まれず、除外されます。
《under =未満》のニュアンスは「18歳に達していない」という感覚で捉えてもよいでしょう。この意味の under は less than とも言い換えられます。
A minor is someone less than 18.
子どもとは18歳未満の者をいう
未満に対して「〜以下」と表現する場合
当該年齢を対象に含めて18歳以下 と表現する場合、18 or (and) under、あるいは 18 or less のように表現できます。
people 18 or less
18歳以下の人
未満に対して「〜以上」「~より上」と表現する場合
under (未満)に対して、「~より上」と表現する場合、under と対になる語である over が使えます。over 18 といえば「18歳より上」を示します。つまり当の18歳は対象に含まれません。
under 18 が less than 18 と言い換えられるように、over 18 も more than 18 と言い換えられます。
当の18際も含めて「18歳以上」と述べる場合は、18 or (and) over、あるいは 18 or more のように表現されます。
people aged 18 or more
18歳以上の人
「隠れて」という意味合いの用法
under はある種の語と組み合わせて用いられる場合に「隠れて」「ひっそりと」という意味・ニュアンスを帯びる場合があります。「下で」→「隠れて」というニュアンスの展開をイメージすることはそう難しくはないでしょう。
とりわけ under the table は「こっそりと」あるいは「袖の下を使って(不正に)」という意味でしばしば用いられる、口語的な慣用表現です。
はい、すべて内密に進んでいます
来月結婚するんだけど、お願い、秘密にしておいてちょうだい
彼女はきっと偽名で登録したんだろう
(嘘の名前のもとに隠れて登録した)
「裏側・内側」という意味合いの用法
under は「裏側」「内側」という意味でも用いられます。
この用法は、他の用法とは異なり、前置詞 on との対比で捉える考え方が理解がコツになります。
前置詞 on と対になる(接触する)意味合い
under は基本的には over と対比して扱われますが、over だけでなく on との対比で用いられることもあります。
on のコアイメージは「接触」です。《over と under》は「接触」のイメージを特に伴わない上・下の関係であり、《on と under》は「接触」のイメージを伴った上・下の関係である、と対比できます。
彼は毛布の下に隠れているんだろう
コートの下に厚いセーターを着るほうがいいよ
たとえば、under the skin(皮下)といった表現は理解しやすい例といえるでしょう。肌の表面は onで表現され、皮膚の裏側・内側が under と捉えられているわけです。
医者は皮下に注射した
underwear(下着)も衣服の表裏一対の関係における裏側・内側の部分と解釈できます。
Put your hand under the table. の解釈
Put your hand under the table. という一文は、under の解釈によって、手のやり場が違ってきます。
under を over の対になる語として捉えた場合、Put your hand ~. の文は「手をテーブルの下に《テーブルから離して》置きなさい」という指示と捉えられます。
under を on の対になる語として捉えた場合、Put your hand ~ . は接触を伴うイメージで「手をテーブルの裏に付けなさい」という意味の指示と捉えられます。
前置詞 below を理解するコツ
below のコアイメージは「ある基準よりも低く位置していている」
below の根本的イメージは「(ある基準よりも)低く位置して」といったイメージで捉えられます。
below は基本的には above と対になる語です。
私は大家の真下に住んでいる
太陽はちょうど地平線の下に沈んだ
skirt below the knees で「ひざ下のスカート」という意味になります。
ひざ下のスカートが今年の流行だ
「ひざ上のスカート」は skirt above the knees と表現できます。「ひざ丈を基準として上か下か」を示す言い方なので、over の「弧を描いて越える」イメージでは適切に表現できないことになります。
「〜以下」という意味合いの用法
below も under と同様、数値の水準などを示して「〜以下」と言う風に表現する用法があります。under は「未満」に対応する意味合いであり、below は「以下」に対応する(引き合いに出した基準点を含む)という点に留意しておきましょう。
20ドル以下では売らないよ
温度が10度以下になった
彼の点数は平均以下だった
売上は昨年をずいぶんと下回る
「価値基準より下に」という意味合いの用法
below の「基準より下に」というコアイメージは、「価値の基準より下に(ある)」という意味合いにも転じます。
それは君がやるような仕事ではない。もっといいのを見つけなきゃ
慣用表現で below the belt という言い方がありますが、これはボクシングにおいてベルト位置より下を攻める反則行為を指し、転じて「反則だ」と表現するお決まりの言い回しです。
それはやってはいけないことだ
それはちょっと言ってはいけないことだったよね