Japan Times STは英字新聞の手始めとして理想的な媒体

英語の新聞・雑誌の購読は多読の練習を継続的に積むためのよい方法です、が、もともと英語圏のネイティブスピーカー向けに作成されているコンテンツなので、学習者にとって取っつきにくい部分はどうしても出てきます。

その点、日本発の英字新聞「Japan Times ST」は、英語の初学者にうってつけの学習教材です。

英語雑誌はハードルが高くて挫折しそうと感じている方も、気軽に取り組めて、きっと自信がつけられるはずです。

Japan Times STとは

Japan Times ST はジャパンタイムズ社(日本企業です)が刊行する英語の週刊紙です。国内外のニュースを報道するニュースメディアの側面と共に、日本人向けの英語学習教材としての側面が色濃い点が特徴です。

英文はシンプルで平易、記事の概要を日本語で記載、難しい単語は記事中に意味を日本語で記載、と、「英文を読み進める」ための手助けとなる情報があらかじめ用意されています。

紙面にはちょっとした英会話表現の紹介や英語学習に関連する情報なども満載。

国内外の政治経済、映画スターやスポーツ選手ら有名人の話題、エッセイなどジャンルも様々。まずは興味がある話題から読んでみましょう。


例文から学ぶ、「ニュースの英語」

2015年11月パリ同時多発テロの記事より

“France is at war”, Hollande said at a joint session of parliament at the Palace of Versailles, promoting to strengthen anti-terrorism laws in response to the suicide bombings and shootings that killed at least 129.

「フランスは戦争状態だ」と、オランド大統領はベルサイユ宮殿で開かれた国会の合同会議で述べ、少なくとも129人が亡くなった自爆テロと銃撃を受け、対テロ法を強化すると約束した。 (ST編集部訳

分詞構文の訳し方

この文章中に使われている、promoting- の箇所は、文法的に分詞構文として扱われています。

中高の復習になりますが、分詞構文を使うときにはいくつかのポイントがありました。
まず、分詞上の意味上の主語が、主節の主語と同じ場合に、主語の省略が可能になること。そして、分詞構文には、を表すもの(’例 when)・原因を表すもの(例 because)、条件を表すもの(if)、譲歩を表すもの(
although)、結果を表すもの(and)などのように、多くの意味があることです。このように多くの意味合いがあるため、分詞構文がどの意味で使われているのかを見極める必要があります。

この例文の場合には、「戦争状態にあるフランスはどうするのか」の結果/手段を表すために分詞構文が使われています。

関係代名詞の把握の仕方

英語読解の得手不得手の分かれ目が、関係代名詞をうまく活用できるか否かです。この例文中の関係代名詞を見てみましょう。

関係代名詞thatで始まる副詞節、that killed at least 129 の主語は、the suicide bombings and shootings(自爆と銃撃テロ)です。さらに、このthe suicideは in response to の目的も表しています。

関係代名詞が出てきたときには、その該当箇所を「カッコでくくる」ことが早く文章を理解するときに役立ちます。
このように関係代名詞が使われる文章の場合、thatの後を早めに訳さないと日本語にしたときに意味が伝わりづらくなるので注意してください。

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2016年6月舛添東京都知事辞任の記事より

The former health minister’s resignation is seen as a blow to Tokyo’s preparations for the 2020 Olympics, just months after U-turns on building a stadium and picking publicity logos for the event.

この元厚生大臣(舛添元都知事)の辞職は、スタジアム建設と広告ロゴの180度の転換の数か月後に起こり、2020年の東京オリンピックの準備に打撃となるとみられている。

seen as の使い方

seen asは、動詞seeの過去分詞を使った定型句で「~として見られる」と訳されます。頻出の定型句ですので、ぜひ覚えて使えるようになりたいものです。

as とseenですが、同じ単語の組み合わせでas seen in~ (~でみたように)なども多用されるため、混同しないようにしましょう。似たような単語が並んでいる熟語は、例文を意味ごと覚えてしまうのが一番理解を促すかもしれません。

二つの動名詞

U-turns onにかかっている、buildingとpickingは、動詞+ingを使った動名詞で、通常「~すること」と解釈されます。

動名詞はしばしばto+不定詞との書き換えが可能とされていますが、この例文では直前に前置詞onがあるため、前置詞の連続を避ける目的でto+不定詞を使用することはできなません。

この例文の中一番最後についている、for the eventはfor the Olympics in 2020を表し、これらの両方の動名詞にかかっています。

就職活動のリクルートスーツに関する記事より

Black unfashionable “recruit suits” have come to be regarded as a kind of uniform for job-hunting in Japan, where they are also symbols of a national culture that places emphasis on uniformity.

ファッション性のない黒い「リクルートスーツ」は、日本の就職活動の際の制服の一種のように考えらえている。日本における就職活動では、このリクルートスーツは均一性を重要視する日本文化の象徴でもある。

接頭辞

unfashionableという単語は、 fashionableに、「~ではない」という否定の意をあらわるun-を付けて、「ファッション的ではない」というような意味になっていいます。

un-の接頭辞がつく単語は種類豊富です。unfair(平等でない=不公平な)、 unable(できない)など、後ろにつく語の意味を否定する働きがあります。仲間としては、non-dis-などもよく使われます。

uniform や uniformity のuni-は、「一つの」を表す接頭辞です。

意味は真逆になりますが、数を表す接頭語の仲間としてはmultinational(多国間の)の接頭辞、multi-が頻用されます。

非制限用法の復習

what,where, when, thatなどの関係代名詞の前にカンマが入る場合と入らない場合があります。

これは、制限用法・非制限用法と呼ばれる、英文法の一つです。
制限用法と非制限用法の違いを、簡単な例文をもとに見てみましょう。

I have three cats whose colors are black.
私は、色の黒い猫を三匹買っている。

I have three cats, whose colors are black.
私は猫を三匹飼っている。それらの猫の色は黒い。

日本人的には違いを理解するのは容易いことではないかもしれませんが、前者の場合は色の黒い猫三匹のほかにも違う色の猫を飼っている可能性が示唆されます。一方、後者は自分が話題に出した猫はすべて黒いことが表されます。

この記事で使われているのは、カンマが入っているため非制限用法です。自分のイメージに現れる「猫」の数を制限している、というとわかりやすいかもしれません。


Japan Times STの有効活用法

Japan Times STのよいところは、日本語訳やポイントが記載されていることです。

また、初心者にも比較的取り組みやすい・読みやすい記事構成となています。記事が読みやすいということは、その分理解も進みやすく、英語学習のモチベーションアップに繋がります。日本語訳と英文記事があるので、英訳・英作文の練習にも役立つかもしれません。


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