英語能力試験にもいろいろな種類がありますが、昨今特に注目を集めつつあるテストとして「GTEC」が挙げられます。
GTECはベネッセとベルリッツが共同開発した、主にビジネスパーソンのコミュニケーション能力を測定するための英語能力検定試験です。
都合のよい日時を指定して受験でき、オンラインで完結する点、および、リーディング・リスニングだけでなくスピーキング・ライティングの(アウトプット方面)の能力測定にも対応している点が大きな特徴といえます。
TOEICとGTECとの共通点と相違点
TOEICもGTECも共に、主にビジネスシーンで用いる英語を想定したテストです。英検やTOEFLと比べると、この点は目立った共通点といえるでしょう。
ではどちらがより実用的か?――といった優劣の評価は一概にはできません。
TOEICの第1回テストは1979年に実施されています。GTECの開始は2003年。実に20数年の開きがあることになります。これは長短いずれにも作用しています。
TOEICテストは歴史の長さも相まって今日では広く普及しています。就活においては標準的な英語能力の指標として用いられています。他方、公開テストは会場に集ってマークシートに記入するといった前時代的なテスト形式が維持されているという指摘も逃れられません。
GTECはインターネット時代のテストにふさわしく、コンピュータ上で総合的な英語能力測定を実施します。実施タイミングは受験者の都合に合わせられます。他面、知名度・認知度の点ではこれからの段階であり、今はまだ「知る人ぞ知る」の段階といえます。世界に通用する肩書とも言い難い側面があります(これはTOEICも同様ですが)。
受験料はコンピュータ上で済むGTECの方が安くあがります。
試験対策という点では歴史が長く知名度・普及度も高いTOEICが圧勝といえるでしょう。
結局どちらを受験するべきか
TOEICもGTECも、それぞれに長所があり、どちらが優れたテストかという単純な価値判断はできません。個々人が求める要素に合うテストはどちらか、という個別判断が必要です。
就職活動で英語能力の証明に用いる、という用途なら、今の段階ではTOEICテストに軍配が上がるでしょう。多くの企業が標準的に参照しているスタンダードには流石のGTECもかないません。
スピーキング(話す)能力と書き綴る(ライティング)能力、すなわち「アウトプット能力」を鍛えて測定したい場合には、GTECが本領を発揮します。
TOEICとGTECと、どちらを受験するにしても、「最終的には英語を使いこなすための手段である」という点も意識しておきたいところです。試験だけカンペキに出来て実際の英語の運用はガタガタという状況では、意味がありませんので……