海外の医療事情と病気に関する英語まとめ

海外旅行中の不意な病気やケガは楽しい旅を阻害する予期せぬ事態です。慣れない土地でどう対処し、どこに連絡をしたらよいのか分からずまごついていると、病状は悪化、旅程にも支障をきたします。医療関係の英語は使い慣れないものが多く、咄嗟に思い浮かばないものばかり。自分の体調と状況を英語でしっかり説明し、適切な診療機関に診てもらえるように、海外の医療事情を頭に入れ、医療関係の語彙力を増やしておきましょう。

海外の医療事情

アメリカの医療費は高額って本当?

アメリカには、日本のような国民皆保険制度がありません。公的な医療保険は低所得者や高齢者向けを対象としており、公的保険に加入していない人が多数を占めます。無保険状態にならないように、職場や個人で民間の医療保険を契約するというのが一般的です。この状況を打破するために、2014年からAffordable Care Act(オバマケアという通称でも知られている)が施行されました。オバマケアは永住権を持つ外国人、またビザを持ちアメリカで生活している人にも、一定水準の医療保険に加入することを義務付けています。もしアメリカに永住するのであれば医療保険に加入することが不可欠です。

ところが、アメリカの民間の医療保険は非常に高額です。加えて、各保険会社により提携している医療機関、医師が異なる為、提携外の期間で診療を受けると保険が適用されない場合もあるので注意が必要です。特にニューヨーク市のマンハッタン区の診療費は、 外務省によると一般の初診料にして150ドルから300ドル、専門医を受診すると200ドルから500ドル、入院した場合は室料だけで1日数千ドルの請求を受けるそうです。病気やけがの入院で数百万円から数千万円ほどかかることもざらにあるため、万一に備えて海外旅行保険には加入しておきましょう。

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アメリカに住むなら主治医を決めよう

アメリカでの診療は基本的に完全予約制であり、主治医制度が取られているため、病気の際に突然病院に飛び込まないようにしましょう。主治医であるファミリードクター(Primary Care Physician)を決めて、日頃から健康診断や一般的な病気の治療、予防接種などを診てもらいましょう。更に治療が必要な場合は、主治医に専門医(Specialist)を紹介してもらうと円滑に診療が受けられます。緊急を要さない診療の場合、初めての予約だと数か月待たされることもあるそうなので、アメリカに永住することが決まれば早い内に主治医を決め、最初のアポイントを押さえることが重要です。新規患者を受け入れていない病院もあるため、注意を必要とします。

Do you take walk-in appointments?
予約なしで診療してもらえますか
How long does it take to get an appointment?
予約を取るのにどのくらいかかりますか
What time does the surgery close?
病院は何時に締まりますか
Are you accepting new patients?
新規患者を受け入れていますか
I want to make an appointment with Dr. Smith.
スミス医師の予約が取りたいのですが

初診の場合は住所氏名だけでなく、本人の病歴から家族の病歴まで書類に記入しなければならないため、予定時間よりなるべく早く到着するようにしましょう。その際、医療関係の英語でまごつかないように、辞書を持参したり、病状の説明を紙に書いて持っていくのがオススメです。HPで書類を印刷できるようにしている病院もあるそうです。その場合は事前に記入しておくと、時間が短縮できます。持ち物としては主に下記の3つが挙げられます。

・身分証明書(免許証やパスポートなど)
・保険証
・病状や服用している薬を説明したもの

海外旅行中に病院に行くときは

永住するなら主治医を決めて定期的な診療を受けることがベストですが、短い旅行中だとそうもいきません。前述の通り、アメリカでの診療は非常に高額である上に完全予約制を取っているため、緊急を要する場合でも咄嗟に病院に飛び込まないようにしましょう。まずは旅行前に契約した海外旅行保険会社、もしくはクレジットカード会社に連絡を取り、判断を仰ぎます。医療費が高額のため、可能な限りキャッシュレスで受診できるようにするのがオススメです。その際、不当な請求や悪用を避けるために、保険を利用するたびに診察内容と保険の使用状況を保険会社に確認しましょう。受診の際、支払い能力の有無を確認されるため、現金やクレジットカードなど支払い能力を証明するもの、また身分証明となるパスポートなどの持参が必要です。英語力に自信がない人はあらかじめ症状や持病、服用している薬を英語で記述したものを持っていくことをオススメします。また、保険により通訳を呼ぶことができる場合もあるので、保険会社に保険を利用して通訳を呼びたい旨を伝えてみるのもよいと思われます。

アメリカは日本同様、医薬分業ですので、診療後は薬をもらうために薬局に行きます。日本のように病院内に薬局があるということはないため、どの薬局を選ぶかは個人の自由です。処方箋は保険会社に提出するためにコピー、代金が記入されたレシートの保管を忘れないように留意しましょう。その後、各保険会社の形式で、保険金の請求を行います。

救急車を呼ぶには

急を要する病気やケガの場合、911で救急車を呼びましょう。救急も消防も911で対応されるため「I need an ambulance.(救急車をお願いします)」と救急車を指定した後、 指示に沿って住所や病状を伝えます。注意すべき点は、アメリカでは救急車に乗車した時点で治療費が発生するため、本当に救急車が必要かどうかを熟慮する必要があります。

できる限り病院には行かない

アメリカでの診療は制度が煩雑で留意すべき点が多く、言ってしまえば非常に面倒です。実際、アメリカ人も風邪程度の病気だと病院に行かず、市販の風邪薬で対応します。もちろん無理をする必要はないですが、できる限り病院に行かず、ウォルマートにでも行って市販薬を買うことで対処しましょう。

イギリスはなんと医療費が無料!

ここまでアメリカの高額な医療制度について紹介しましたが、同じ英語圏イギリスはなんと医療費が無料です。薬代は自己負担ですが、子どもと老人は無料となっています。

ところが、イギリスにはGP制度という日本人には少し馴染みづらい制度があります。General Practitioner(総合診療医)を意味し、病気の際はまずGPと呼ばれる地域の診療所に行きます。前述のアメリカのファミリードクターのように主治医の役割を果たしているわけです。日本のようにいきなり専門医に診察してもらえず、必要に応じてGPに専門医(Consultant)を紹介されるところも似ています。近くのGP診療所に患者登録を行わなければならないのですが、登録までに時間を要す上に、外国人新規患者の受け入れに関しては各GP次第です。「合法的に英国に滞在しており、英国に生活の拠点がある(外務省HPより引用)」ことが認められない場合は、私立病院に行くしかありません。私立病院はすぐに診療を受けることができる上に、治療も丁寧ですが、全額自己負担になるため請求が高額です。イギリスに旅行する場合も海外旅行保険に加入することは必須と言えるでしょう。

英米以外の海外の医療事情が知りたい方は外務省の「世界の医療事情」が便利です。


病気に関する英語表現まとめ

海外の医療機関で適切な処置を受けるには、医療関係の語彙力が必須です。なかなか日常生活で目にする機会が少ない単語ばかりですが、持病や、しばしば罹患する病気に関する単語をしっかりと覚えておきましょう。

 英語の「痛い」を痛み方で言い分ける
英語で体調が悪いと説明するには

誤解を生むフレーズ「go to hospital」

日本における病院と診療所の違いは、病床(ベッド)の数の差で、20床以上の入院施設を持つものを病院といい、それ以下を診療所といいます。英語圏の国においても認識はおよそ同じで、hospitalは診療科目を複数持つ、市民病院や大学病院のような大きな病院を指します。また、専門分野が絞られている比較的小さな個人経営の病院をclinicsurgery(イギリス)と表します。そのため、風邪で病院に行ったときに「go to hospital」というのは大層な表現であり、怪訝に思われるかも知れません。また、「go to hospital」という英語表現だけでも「入院する」という意味にもなります。風邪を引いてしまったときに診療を受けるのは、多くの場合「clinic」であるため、安易に「go to hospital」と言わないよう気をつけましょう。

風邪や熱などで病院に行ったときは、「(go) see a doctor」という英語表現を用います。「go to (the) clinic(個人病院を受診する)」という表現もありますが、「(go) see a doctor」と言うほうが一般的でしょう。慣用的に使われている表現なので、「go」と「see」という動詞を連続で並べても問題はありません。また、イギリスではclinicの代わりにsurgeryを使い、「go to (the) surgery」と言うこともあります。surgeryは「外科・手術」といった意味ですが、イギリスでは「医者から治療を受ける場所」という意味も取ります。

薬局は「drugstore」だけじゃない

薬や化粧品、日用品などを購入できる薬局のことをアメリカ・カナダでは可算名詞でdrugstoreと言います。また、イギリスでは一般的にchemist(あるいはchemist’s)という単語を用います。chemistは化学者を意味する単語ですが、イギリスではdrugstoreと同義でも用いられるのです。また、pharmacyという単語も薬局を指しますが、こちらは処方箋をもとに薬剤師に調剤してもらうような薬局を意味します。医者の処方箋なしで買える薬のことを一般的にOTC drugあるいはOTCと呼びます。Over The Counterの略で、カウンター越しに手渡しで買えることから名前がついています。

診療科目名の英語一覧

総合病院 General Hospital
診療科目 Clinical Departments
内科 Internal Medicine

呼吸器科 Respiratory Medicine
消化器科 Gastroenterology
循環器科 Cardiology

外科 Surgery

整形外科 Orthopaedic Suregery
脳神経外科 Neurosurgery
呼吸器外科 Thoracic Surgery
形成外科 Plastic Surgery
心臓血管外科 Cardiovascular Surgery

その他 Other

眼科 Ophthalmologic
耳鼻咽喉科 Otorhinolaryngology – Head and Neck Surgery
皮膚科 Dermatology
泌尿器科 Urology
肛門科 Proctology
産婦人科 Gyneclogy
歯科 Dental
口腔外科 Dental Surgery
小児科 Pediatrics(Children’s)
精神科 Psychiatry
神経科 Neurology
リハビリテーション科 Physical Medicine and Rehabilitation
(Physical Therapy)
麻酔科 Anesthesiology
放射線科 Radiology
美容整形外科 Cosmetic Surgery
救急・集中治療部 Emergency and I.C.U.

医療に関する英語一覧

医者 doctor
痛み止め analgesic
受付 reception
外来患者 outpatient
風邪薬 cold medicine
カプセル capsule
看護師 nurse
感染 infection
ギプス cast
救急 emergency
救急車 ambulance
救急病院 emergency hospital
危篤 critical condition
血圧 blood pressure
解熱剤 antipyretics
花粉症 hay fever
患者 patient
健康診断 general health check-up
抗生物質 antibiotics
粉薬 powder
座薬 suppository
自己負担金 Co-Pay
手術 operation
錠剤 tablet
湿布 poultice
処方箋 prescription
診察 examination
診断 diagnosis
退院 discharge
体温計 thermometer
注射 injection
鎮痛剤 analgesic
点眼薬 eye drops
点滴 drip
点鼻薬 nasal drops
ドライアイ dry eye
副作用 side effect
入院 admission, hospitalization
入院患者 inpatient
妊娠 pregnancy
絆創膏 adhesive plaster, surgical plaster
病歴 medical history
包帯 bandage
麻酔 anesthesia
脈拍数 pulsation
目薬 eye drops
免疫 immunity
薬局 pharmacy
予防 prevention
予防接種 vaccination
リハビリ rehabilitation

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