英語で「簡単」は easy や simple と表現できます。It is easy. とでも言えばひとまず伝わります。でも、どうせなら「朝飯前」くらいの余裕のある感も伝えたいところ。
苦もなくできる、簡単にこなせる、お安いご用、失敗するはずがない。そんなニュアンスを込めて「簡単」「余裕」を表現できる英語独特の言い回しを身に付けてみてはいかがでしょうか。
比喩(明喩)で表現する簡単・余裕の言い回し
a piece of cake
おちゃのこ・朝飯前
a piece of cake は比較的よく用いられる比喩的な言い回しです。簡単なこと、楽にできること、あるいは、楽しみながらできること、といった意味で用いられます。
a piece of cake の直接的な意味は「ひと切れのケーキ」。ケーキひと切れなんて、ひと口で余裕でペロリですわ、といったニュアンスの感じられる言い回しです。
役に立てて嬉しいよ。あんなの朝飯前だから
明日までにこの仕事を終えるなんてたやすいことさ
なお、cake は不可算名詞なので piece を単位として数えます。
日本語訳としては、だいたい「朝飯前」の表現が充てられます。ただ、意味合いとしては朝飯前よりも「お茶の子さいさい」の方が字句のニュアンスが近いと言えそうです。
「茶の子」は茶請け・お茶菓子のことで、茶菓子をつまむくらい簡単に食べられるという意味で「容易」を指す言い回しです。これは正に a piece of cake 。
as easy as pie
朝飯前・お手の物
食べ物の関連では as easy as pie という言い方もあります。「パイ(を作る)くらい簡単」と述べて簡単さを表現する言い方です。
しっかりした食事の支度を整えるよりも、適当にパイを捏ねるほうが簡単で楽だった、という背景ニュアンスがあるようです。
as easy as apple pie と言うこともります。アップルパイはアメリカの国民食であり家庭の味でありソウルフードです。
そんなの本当に楽勝だよ
お金を使うことはとても簡単だ
私のボスが簡単だと言った仕事は、私が今までした中で最も辛い仕事だった
walk in the park
朝飯前・ちょちょいのちょい
walk in the park は「公園内の散歩」という意味で、文字通りの意味でも用いられますが、「難なくできること」「たやすく行えること」の喩えとして用いられることもあります。
そんなこと彼にとっては朝飯前だ
like a walk in the park とも表現できます。
taking candy from a baby
赤子の手をひねるようなもの
(be like) taking candy from a baby という言い方もあります。文字通りに捉えれば「飴玉を赤ちゃんから取り上げる(ようなもの)」。
あまあまを取り上げられる赤ちゃんは泣いていやがるでしょうけど、抵抗できるはずもありません。簡単に奪えてしまえるはずです。
shooting fish in a barrel
生け簀の魚を捕まえるようなもの
(be like) shooting fish in a barrel という表現も、たやすくできる事の喩えに用いられます。文字通りにいえば「樽の中の魚を撃つ」。
タルの中は十分に泳ぎ回れるほどの広さはありませんから、雑に撃っても当たるでしょう。外しようがない。
なお fish は単複同形名詞なので、魚は1匹とは限らず複数匹いるものと解釈できます。
英語の「単数形と複数形の区別がない可算名詞」(単複同形名詞)
duck soup
アメリカ英語のスラング表現には duck soup という表現があります。easy as duck soup のような言い方で、簡単なことの喩えとして用いられます。
文字通りに捉えれば「カモのスープ」ということですが、as easy as apple pie のように「作るのがかんたん」という意味を示す喩えではなさそうです。
Merriam-Webster dictionary によれば、duck soup の語の初出は1912年。ただし、語源そのものは定かでありません。20世紀初頭にスラングとして成立し(その成立当初を覗える資料はすでになく)、1933年に映画「Duck Soup」が公開され一般的な表現として広がった、というような経緯があるようです。
暗喩その他の率直な程度表現
in my sleep
目を瞑ってでもできる
in my sleep は、眠っていてもできてしまえる(くらい簡単)と述べる言い方です。
おおむね日本語の「目をつぶってもできる」に近い表現といえますが、英語の in my sleep は睡眠状態に移行した上で遂行すると述べているわけですから、むしろ「息をするくらい簡単」などの言い方の方がニュアンス的には近いかもしれません。
こんなん寝てたってできるぜ
このハンバーグは何度も作ったことがあるから、もう眠ってる間に作れちゃうくらいよ
no sweat
汗すらかかない
no sweat も「簡単」という意味で使われます。汗を伴わない、汗すらかかない、つまり汗水たらすことなくサッと簡単にできる、というニュアンスです。
そんな問題なんとかできるくらい僕は賢くて強いんだ、へっちゃらだよ!
私の車直せそう?
.
? No sweat!
余裕だよ
kid stuff
お子さま向け仕様
kid stuff は基本的に「子供用品」という意味の表現です。子供向けに作られているもののように単純・簡単、ということで「たやすいこと」「かんたんなこと」といった意味で用いられることがあります。
文脈によっては稚拙な・幼稚なものということで日本語の「子供だまし」に近いニュアンスを帯びることもあるでしょう。
cinch
まったくもって成功確実(楽勝)
口語的表現で cinch という語も「簡単なこと」「朝飯前」の意味で用いられます。cinch の発音は /síntʃ/ 。
cinch はもともとスペイン語で「帯」を意味する語(cincha)です。これが転じて、英語では「成功確実」「大本命」および「とっても簡単」という意味合いで用いられるようになったのだとか。
長期休暇の間にちゃんと勉強していたなら試験は楽勝だろう
これしき造作もない
日々体を鍛えている人にとって、山歩きくらいたやすいことだ。
pushover
押せば倒れる(楽勝)
pushover も同じく口語表現で「楽勝」という意味があります。
pushover は1語であり名詞扱いです。push over と句動詞の形を取る場合は「押して倒す」といった意味合いです。つまりは、押せば倒れるくらいチョロいって事でしょうか。
walkover
相手を一蹴(楽勝)
walkover は主にイギリスで用いられる口語表現、ゲームやスポーツの試合などについて「楽勝」「余裕」の意味で用いられる表現です。(不戦勝の意味もあります)
walkover も1語の名詞ですが、これは walk over と句動詞の形を取る場合も「楽勝する」「いいように扱う」といった意味合いで用いられます。
明日の試合は彼が余裕で勝つだろう
10対0で大勝した
one’s forte
得手
forte はフランス語で「得意なこと」を意味する語です。発音は /fôrt/ 。「長所」「得意とするところ」「十八番」といった意味で使えます。
料理は得意だ
音楽用語のフォルテは同じくforte と綴りますが、これはイタリア語で「強く」という意味の語に由来する、いわゆる同綴異義語です。
one’s line
専門分野
line には趣味・好み・専門という意味合いもあります。 たとえば in my line のように述べて「私の得意分野だ」という趣旨が表現できます。
テクノ系は私の畑じゃない
line は幅広い意味で用いられるので、my line がオハコの意味とは限りません。もしかすると電話回線の意味かもしれません。