英語圏のソーシャルメディアや電子掲示板では「lol」「dat」「pic」「XD」などのような不可解な文字列がひんぱんに登場します。
オンラインのカジュアルな会話テキストの中で、あまりに異質な文字列が出現したら、まずは何かのネットスラングなのではと疑ってよいでしょう。
スラングは、最初に目にした時には意味が理解できなくて当然の代物です。でも英語のネットスラングは成立パターンがおおよそ決まっているので、パターンに照らして推測すれば初見の字面でもけっこう意味を察することができたりします。
ネット上で目にするスラングですから、その場でググって意味を調べれば済むわけですが、一目見てその意味を理解できる素養を身につけると、スラングを生み出す英語ネイティブの感性にいっそう近づきやすくなります。
英語で使われる略語はざっと5つのパターンに分けられます。
- 頭字語
- 発音ベースの綴りにしたもの
- 同音の字に差し替えたもの
- 単語の綴りの省略
- 略語ではなくて顔文字
頭字語
- LOL
- asap
最も多く目にする英語ネットスラングのパターンは、複数語からなるフレーズを頭文字のみ示した「頭字語」です。
LOL は Laughing Out Loud (声出して笑った)の略、asapは as soon as possible (できるだけ早く)を、それぞれ頭文字だけで示した略語です。
※ 頭字語は、つなげて1語として読みなす「アクロニム」と、1文字ずつ分けて読む「イニシャリズム」に区分できます。「LOL」は ロル のように読まれることの多いアクロニムであり、asap は エーエスエーピー と読まれるイニシャリズムです。
大文字小文字の表記は一定しておらず、同じ語が大文字で表記されることもあれば小文字で表記されることもあります。
- btw = by the way (ところで)
- tbc = to be confirmed (未確定)
- tbd = to be determined (未決定)
- idn = I don’t know.(わからない)
- omg = Oh my God (何てこった)
日本語のネットスラングの「常考」「BBA」「や虎N1」に近いパターンといえるでしょう。
ポイント
日常会話でも広く用いられる「お決まりのフレーズ」の多くが、この省略形の形でネット上でも使用されています。略称っぽいスラングを見つけたら文脈に沿うような決まり文句がないか思い巡らせてみましょう。
このパターンの略語スラングは、日常会話フレーズを多く知っていればいるほど、見当がつきやすくなります。
発音ベースの綴りにしたもの
- cuz
- ya
日常会話のくだけた場面で使われる崩れた発音を、文字に写して、「正しい綴り」の変わりに使う、というタイプのスラングも多く見られます。
cuz は because(なぜなら)、ya は you(あなた)の意味です。because には「’cause」という省略表記もありますが、いっそう崩して「cuz」や「coz」になり果てた感じです。
くだけた言い方と同様、英語の綴りと発音のギャップやリエゾンに目を付けたスラングもよくあります。
- dat = that (あれ)
- i dunno = I don’t know. (わからない)
- sup? = what’s up? (最近どう?)
- lyke = like (いいね)
日本語のネットスラングなら「わろた」のような音便か、「厨房」のような誤変換パターンが近いでしょうか。
ポイント
発音に着目したスラングは綴りをそのまま音にしやすい点に特徴があります。なんだか読めそう(発音できる)と感じたら、声に出してみると、合点がいくことが多々あります。
同音の字に差し替えたもの
- ic
- 4u
cuz = because の例に通じるパターンですが、こちらは日常会話シーンよりも文字ベースの発音に依拠しています。
ic は、I see. (わかった)の略。「i」と「c」がそれぞれ、「I」と「see」と同じ発音になります。4u はもう言うまでもないでしょう。
- u r = you are
- ur = your
- Howru?= How r u ? = How are you?
- Y r u asking? =Why are you asking?
- il b back 2 work 2moro = I’ll be back to work tomorrow.
日本語のネットスラングなら「厨房」などの誤変換パターンか、「Y談」「なつかc」などが近い・・・でしょうか。
ポイント
このパターンも発音がどう聞こえるかに着目して綴りを変換する考え方であらかた見当がつきます。
カタカナ表記を仲介させて ic → アイシー → I see のように考えると分かりやすいかもしれませんね。ただし、英語学習のためには日本語を頭から除く(英語思考に徹する)ことが肝要という点はお忘れなく。
単語の綴りの省略
- thx
- pic
thx は thanks(ありがとう)、pic は picture (画像)を短縮した書き方です。「thx」は「thks」や「tx」と書かれることもあります。
もともと1単語だけれど非常に広範に使われる語に多く見られるパターンです。母音を省き子音だけで表記する、あるいは、単語の前半だけ表記して後半は省略する、といったパターンが大多数です。
- bro = brother (兄弟)
- k = OK (よっしゃ)
- y = yes (よっしゃ)
- yrs = years(年)
日本語のネットスラングで近いのは「おk」「うp主」あたりかも知れません。
ポイント
子音しかない語は母音を適当に穴埋めするとだいたい見当がつくでしょう。語彙力と推察力が決め手かも。
略語ではなくて顔文字
- XD
- B)
- <3
単語の省略ではなく図記号として文字を使用しているパターン、これもスラングであり、略語と混同しやすいものが少なからず含まれます。
XD は左に90度傾いた形。だいたい日本語圏の(><)に近い顔文字です。B) はグラサンしてほほえむ姿。
ポイント
顔文字は少なからず括弧やアスタリスク等の記号を伴います。記号が入っているパターンは顔文字を疑いましょう。顔文字のパターンは限られているので、いくつか見て覚えれば大体察しがつきます。
おおまかなパターンを頭に入れておくと、略語を見たときに、元の語が何かを予測しやすくなります。もっとも、英語でやりとりをしている相手が意味のわかりにくい略語を使っている場合は、意味を聞いてみると良いでしょう。