日本語の「気にしないで」はいろいろな場面で使うことができます。誰かがミスをしてしまった時や自分を心配してくれている人に対して、気遣いや気遣いへの返答の両方で「気にしないで」を使うことができます。英語にも多くの表現方法があります。
どのようなシチュエーションでも使える万能なものから、使うシチュエーションが決まっているものもあるので、それぞれをしっかりと認識して自然な英語を身に付けましょう。
→英語で伝える「気をつけて」の単語別使い分け方
「気にしないで」の使い分け
Don’t worry.
「気にしないで」の意味で使われる一般的な英語フレーズとしては Don’t worry. が挙げられます。主に誰かがミスをしてしまった時に使います。
またやっちゃった。いつも同じミスばかりするんだ
B “Don’t worry. You’re doing great so far.”
ドンマイ、ドンマイ。今のところ良くやってるよ
日本語の「ドンマイ」とは異なり自分を心配してくれた人への返答にも使用できます。
疲れてる?顔色悪いけど
B “Don’t worry. I was running and just came back.”
気にしないで。ランニングからちょうど帰ってきたところなんだ
相手の気遣いに対しての Don’t worry. は「(私のことを)気にしないで」なので、少し傲慢な態度とも受け止められかねません。目上の人には使わない、など使うときには少し注意が必要です。
Don’t bother.
他方、自分に気に掛けてくれた人に対して「気にしないで」と言う時に使える表現として Don’t bother. があります。 bother は「迷惑をかける、気を煩わせる」という意味があります。この表現は Don’t bother yourself. の yourself が省略された形であり、「自分自身の気を煩わせないで」から直訳で「気にしないで」「お構いなく」となります。
バック重いでしょ。手伝うよ
B “Don’t bother. It isn’t.”
気にしないで。そんなに重くないから
Don’t bother me.
この Don’t bother. を使用する際に気をつけるべき点があります。似た表現として Don’t bother me. があるのですが、 bother が「迷惑をかける」という意味があるので、「私に迷惑をかけないで」から意訳で「邪魔しないで」というまったく違う意味になります。 me の有り無しで意味が大きく異なってしまうため、使用する際は気をつけましょう。
ねえ、無視しないでよ。ちょっとお酒飲みに行こうよ。
B “Don’t bother me! I am so busy.”
邪魔しないで。忙しいんだから
bother は発音が難しい単語の一つです。表現を覚えたら実際に会話で使えるようにするためにもきちんとした発音を身に付けましょう。
ドンマイは和製英語なので注意
日本語で「ドンマイ」は親しい間柄において、ミスをした相手を気遣う言葉としてよく使います。これは don’t mind に由来する表現と推測できますが、日本語の「ドンマイ」の意味合いや使われ方は日本語独特であり、英語とは違ったニュアンスになっています。
その他の表現
その他の表現は気遣いと返答のどちらでも使えるので、使用する際にとりわけ気に留めるべきことはありません。
Never mind.
mind が「気にする」と訳され、 never と組み合わせて「気にしないで」というニュアンスです。どんなシーンでも使われると手もポピュラーな言い回しです。
家から遠いから千葉には行きたくない
B “Never mind. I will go to Shinjuku. Let’s meet up there.”
いいよ、俺が新宿行くから。そこで会おう
It’s all right.
「気にしないで」というよりも「問題ないよ」というニュアンスです。この表現も相手を気遣う時や相手が自分を心配してくれた時どちらでも使えます。
ごめん遅れてる。あと10分で付くからもうちょっとだけ待って
B It’s all right. Take your time.
問題ないよ。急がなくていいから
It’s nothing.
この表現も It’s all right. と同じようにも使いますが、相手に何かを頼まれた時に「お安い御用です」「造作もないことです」と受け答える時にも使えます。
そのファイルまとめてくれない?
B “It’s nothing. Would you like me to do it now?”
造作もないことです。今やったほうがよろしいでしょうか
It’s nothing. の代わりに、It’s not a problem. 、 It’s not a big deal. と言うこともできます。
forget it
forget は「忘れる」という意味があります。代名詞の it はこの発言以前に起こった何かを指しているため、どんな場面でも使用することができます。
腕時計車の中においてきちゃった
B “Forget it. We don’t have much time to go back.”
気にしないで。取りに戻る時間無いから
あ~あ、つまんなくなってきちゃった
B “Did you say something?”
なんか言った?
A “Forget it. I just thought out loud.
気にしないで。ただの独り言だから
shake it off
shake は「~を振る」のように訳されます。離れるイメージの off と組み合わせることによって shack off は「振り払う」イメージです。そこから意訳をして「忘れる」「気にしない」というニュアンスで捉えられます。
元彼がもう新しい彼女作ったんだけど
B “Shake it off. You can also find cool guys.”
気にしないで。あんたもいい人見つかるよ
アメリカのポップシンガー、テイラースウィフトも shake it off というタイトルの楽曲を以前リリースしました。
カジュアルな言い方
it is などの主語と述語を省略することでさらにカジュアルな雰囲気を出すことができます。仲の良い友達や家族に使うようにしましょう。
No worries. 、 No big deal. 、 Not a big problem.
なあ、彼らに電話してまだ東京行きのチケットがあるか聞いてみてくれないか
Sure, no big deal.
もちろん。問題ないよ
フォーマルなシーン
フォーマルなシーンでは「気にしないで」の表現にかかわらず、 please を冒頭に言えば丁寧な感じを出すことができます。
フォーマルなシーンで使われる表現として、何かに詫びてくださった目上の方への返答としては Don’t be sorry. 「謝るような事ではございません」や、お礼を頂いた際の返答として Don’t mention it. 「お礼を言うようなことではありません」という言い回しがあります。
Please don’t worry. 、 Please don’t mention it. 、 Please don’t be sorry.
誕生日会ありがとう。ぜんぜん予想していなかったよ
Please don’t mention it. I’m very flattered you enjoyed it.
当然のことです。喜んでいただいて光栄です
シチュエーション別「気にしないで」
スポーツシーン
・味方の選手がミスを犯して
気にするな!それよりポジションに戻れ!
・味方の選手の気遣いに対して
痛くないか?まだできる?
B “Never mind. I can play.”
気にしないで。まだできるよ
Forget it. や Never mind. など短めのフレーズの方がパッと言えてよいかもしれません。
会社
・気遣ってくれた同僚に対して
疲れてそうだけど、大丈夫?
B “It’s nothing. thanks, though.”
気にしないで。でも、気遣いありがとう
・上司に謝っていただいた場面で
ファイルをチェックするの忘れてた。申し訳ない
B “Please don’t be sorry. I’d like you to take your time.”
お気になさらないでください。いつでも大丈夫です
「気にしないで」フレーズ以外にも、 would like to や may I など丁寧な言い回しをしっかりと認識しておきましょう。
家庭
・母の心配に対して
準備できた?もう8時15分よ。今すぐ出ないと学校に遅刻するわよ
B “No worries, mom. I’m about to leave.”
心配ないよ。もう出るから
両親や兄弟には少しカジュアルなフレーズが似つかわしいかもしれません。
日常生活
・人通りの多い道で
何でこんなに人いるんだ。いやだな~もう
B “Not a big problem. Be patient man.”
気にするなって。もっと落ち着けよ
フォーマルなシーン
・高級レストランで気遣ってくれるウェイター、ウェイトレスに対して
どうかなさいましたか
B “Please, don’t bother. Everything is perfect so far.”
どうぞお構いなく。今のところすべて満足致しております
例えお客様の立場であっても、ウェイター、ウェイトレスへの対応へはしっかりと気を配りましょう。
まとめ
Thank you. に対する返答でよく用いられる You’re welcome. や My pleasure. も場面次第では「気にしないで」と意訳することもできます。いろいろなフレーズを身に付けることもとても重要ですが、たとえフレーズが少し適切さを欠いていても、表情や言い方でこちらの「気にしないでください」という気持ちは伝わるものです。
フレーズと覚えると共に、表情や言い方にも気を配れるとさらにスムーズなコミュニケーションを図ることが可能になるでしょう。