英語で書かれるメールやSNSのコメント、ツイッターの投稿などでは、しばしば「xoxo」「<3」「*g*」などのようなインターネットスラングが見られます。文脈の雰囲気で察しがつくようなものもありますが、あらかじめ意味を知っていないと全くもってチンプンカンプンな文字列もあります。
幸い、定番といえるパターンはそう多くありません、いくつか覚えておくだけでも、オンラインの英語コミュニケーションの楽しみの幅がぐんと広がります。
「xoxo」はハグ&キッス
「xoxo」は、通常「hugs and kisses」(ハグとキス)のように読まれます。友人や恋人に宛てた親愛を込めたメッセージとして用いられます。
「x」と「o」はそれぞれ「キス」(接吻)と「ハグ」(抱擁)を意味します。ただし表記の由来は諸説あって定かではありません。普通は x がキスで o がハグと見なされていますが、これも決定的な根拠があるわけではないようです。
俗説では、「x」は十字架の形であり、(キリスト教における誓いの証としての)十字架への口づけ=キス、という意味合いがあるとも言われています。あるいは単に口をすぼめた形と言う見解もあります。また「o」は、2人で向き合って腕を広げている様子や腕で包み込んでいる様子を俯瞰した形=ハグ、と言われています。
「xxxx」は、1950年代に刊行されたサリンジャー(Salinger)の短編小説「フラニー」(Franny)の作中ですでに用いられています。同作品の冒頭で、ティーンエイジャーの主人公フラニーがボーイフレンドに宛てて書いた手紙の末尾に、 xxxx が何個も連ねられている記述があります。
xxxxxxxx
xxxxxxxx
サリンジャーの定訳と名高い野崎孝の日本語訳「フラニー」では、この部分は
キスキスキスキス
キスキスキスキス
と訳されています。
ただし、x を4文字だけ連ねた「xxxx」「XXXX」のような表記は、4文字言葉(four-letter words)を伏せ字で置き換えた表現として用いられることもあります。文脈上、誤解されることはないでしょうけれど、いちおう知っておきましょう。
「<3」はハートマーク
「<3」は横向きになったハートマークです。首を右側にかしげて見れば形は見えるはずです。一応、見えますよね!
「<3」は「heart」や「love」と読まれます。こちらも親愛の情を示すマークです。使用範囲は広く、文中のどこでも使われます。メッセージを送る相手への親愛の情だけでなく、「このアーティスト大好き<3」のような文脈でも多用されています。
「*g*」はニヤリ笑い
「*g*」は「*grin*」の略で、grin は「歯をむき出しにして笑う」様子を指す表現です。
「*grin*」のようにアスタリスクで囲む書き方は、これが発言そのものではなくて実際の行動を表していることを示します。劇の台本でいえばセリフでなくフリを示す部分。マンガでは効果音や擬音表現がこのアスタリスク付き表現で示されます。
*sigh*(ため息をつく)
*yawn*(あくびをする)
*sob*(むせび泣く)
で、「*grin*」は特によく使われる表現ということもあり、しばしば省略して「*g*」と書かれます。
アスタリスク以外にも「<>」で囲む書き方もあります。
アスタリスクは、「f**k」のように伏字として用いられる場合もあれば、注釈・誤字訂正とった意味で使われる場合もあります。
スラングは「輪」に加わるナイスチャンス
若者はスラングを好んで使い、インターネットの世界でネットスラングが好んで使われます。まあ日本のネット世界と同様です。
インターネットスラングを知っておくと、ウェブ上のくだけた英語がよく理解でき、親しく読めるるようになります。無難な表現なら、自分も積極的に使ってみてもよいでしょう。スラング世界は英語をさらに楽しむための「必須ムダ知識」と言えます。