「木漏れ日」は英語でどう言う?

日本語の「木漏れ日」は、実は英語に直訳できない(英語には直接対応する表現がない)かなり日本語的な表現です。

木漏れ日について英語で表現するなら、「木々の隙間から指す陽光」というように、説明的に叙述しなくてはなりません。

英語圏でも、木漏れ日 =komorebi を日本的な語彙として紹介している例がままあります。いつか komorebi が英語の語彙に導入される日が来るかもしれません。

木漏れ日という概念のある文化とそうでない文化。そんな対比に思いを馳せると時間なんてあっという間に過ぎてしまいます。

英語には「木漏れ日」に対応する語彙がない

日本語の「木漏れ日」(木洩れ日)は、森林などにおける茂った木々の葉の隙間から射す日の光、といった意味の語です。

これに1対1で対応するような英語表現は、単語も熟語も特にありません。敢えて叙述するなら複数語を費やした説明的な言い方になってしまいます。

OxfordBlog の紹介事例

OxfordDictionaries のコラム記事コンテンツである「OxfordBlog」では、15 Japanese words that English needs(英語にも必要な日本語表現15個)と題したエントリーの中で、15語の筆頭に Komorebi を挙げ、次のように説明しています。

This word refers to the sunlight shining through the leaves of trees, creating a sort of dance between the light and the leaves.
この(木漏れ日という)言葉は、木の葉の間に輝く日の光、そしてそこに創出されるダンスのようなものを指している
―― OxfordBlog, 15 Japanese words that English needs

OxfordBlog の記述からは、komorebi はただの日光の漏れ(という現象)にとどまらず、自然に対する詩情や芸術性感性を感じさせる表現であるという観点が垣間見られます。なかなかにツボを心得た記述という感があります。

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「翻訳できない世界のことば」の紹介事例

イギリス在住のエラ・フランシス・サンダース(Ella Frances Sanders)は、11 Untranslatable Words From Other Cultures (異文化の翻訳できない11の言葉)と題する記事で大きな反響を呼んだ人物です。同記事で紹介された「翻訳できない言葉」リストでも日本語の komorebi(木漏れ日)が紹介されています。

同記事では komorebi は「sunlight filters through the trees」というように説明されています。

This is the word the Japanese have for when sunlight filters through the trees – the interplay between the light and the leaves.
(「木漏れ日」は)日光が木々から漏れるさま、光と木の葉の相互作用を表現する日本語表現
――  11 Untranslatable Words From Other Cultures 

この話題は後に書籍「翻訳できない世界のことば」(LOST IN TRANSLATION)として、日本を含む世界複数ヵ国で刊行されています。


侘び寂び・木枯らし・森林浴

OxfordBlog の 15 Japanese words that English needs では、「木漏れ日」の他に14の日本語独特の(英語にはない)語を紹介しています。

  1. Komorebi
  2. Shinrinyoku
  3. Wabi-sabi
  4. Kogarashi
  5. Mono no aware
  6. Itadakimasu
    英語で「いただきます」「ごちそうさま」を伝える言い方
  7. Ojama-shimasu
  8. Otsukaresamadesu
    英語でどう言う?「お疲れさま」
  9. Natsukashii
  10. Mottainai
    英語で表現する「もったいない」浪費をいさめる英語表現
  11. Kuidaore
  12. Shoganai
  13. Shibui
  14. Bakkushan
  15. Tsundoku

Natsukashii(懐かしい)あたりがイマイチ英語で表現できないのは意外な気もしますが、その他はどれも日本語的な感性や考え方の垣間見える言い方といえるでしょう。

日本語ならではの語彙にどんな語があり、英語でどんな風に説明できるか。これは格好の会話ネタにできそうです。

bakkushan ?

ちなみに、 Bakkushan (バックシャン)は「後ろ姿(back)が美人(schön)」という意味合いの語で、back は英語、schön はドイツ語から借用した和製外来語です(ドイツ語で「背中」は Zurück)。

「バックシャン」のニュアンスを端的に示すのは、嘉門達夫の懐かしの歌ネタでしょう。いわく、「後ろ姿はいい女、後ろ姿はいい女、前に回れば・・・・・・ダァホ!!!」

「バックシャン」は戦前戦後の頃の言葉で、今や完全に死語と化していますが、現代でも割と使い出がありそうな感があります。

ちなみに英語にはバターフェイス(butterface)という俗な表現があります。これは「躰は魅力的だけど顔はダァホ!!!」 という意味合いを示す語で、バックシャンに通じる観点を感じさせる罵りです。

英語で使われる「悪口」表現、人をけなす・罵る英単語

 




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