「使い分ける」を英語で表現する場合、動詞だけでなく目的語や前置詞句なども併せて表現するように発想を変えれば、うまい表現が見つけやすくなります。たとえば use different (things) depending on (the case) のように表現すれば「《状況に応じた方法》を – 使う」ということで「使い分ける」の趣旨が遺憾なく表現できます。
日本語の「使い+分ける」という表現は複合動詞です。この手の表現は思い切って「使う」か「分ける」かどちらかに絞りましょう。use (使う)でも、あるいは separate(分ける)でもよいでしょう。 change(変える)とか choose (選ぶ)といった語で表現する手もあります。
「使い分ける」を英語で表現するうまい言い方
動詞 use は簡単で使いでのある汎用的表現
「使い分ける」と英語で述べる場合、動詞として最も手頃な候補は use でしょう。「使う」という意味の基本語彙です
もちろん use だけでは「使い – 分ける」という意味合いは満足に示しきれませんが、目的語に different things (異なるモノ)を置き、さらに補足的に depending on the case (場合に応じて)と言い添えれば、「状況に応じた手段を用いる=使い分ける」という趣旨がばっちり伝わる表現にできます。
depending on ~(~によって)
動詞 use を使って「使い分ける」と述べる場合は「状況に応じて」というような修飾のために depending on ~ のような形容詞句を併せて用います。
depend (on ~) は「~を頼みにする」「~によって決まる」「~次第である」という意味合いの句動詞(自動詞+前置詞)です。depending on ~ の形(現在分詞)にすることで修飾語句として機能します。
on ~ に続く箇所には大抵 weather(天気)や mood(気分)のような(多分に制御しがたい)要素が置かれます。いちいち表現を分けるのが面倒なら situation (状況)のように包括的な語で表現してしまうのも手です。
気分によって携帯ケースを使い分ける
料理によって鍋を使い分けましょう
彼女は状況に応じて口紅を使い分ける
for each ~(それぞれに応じて)
depending on ~と同様に for each ~ という言い方も「使い分ける」の意味合いを示す場面で使えます。
use different ~ for each … と述べれば「各個それぞれに(応じて)異なるモノ使う」という意味で「使い分ける」の趣旨が表現できます。
サービスごとにパスワードを使い分けるようになさい
段落ごとに色分けする
交通機関や薬の「使い分け」には動詞 take を用いる
動詞 use は「使う」という意味合いを示す大抵の場面で無難に使える語ではありますが、動作の及ぶ対象に応じて動詞を変えた方がよい場合もあります。
《交通機関の利用》や《薬の服用》といった動作について「使い分ける」と述べる場合、動詞は通例 take が用いられます。この場合、use different ~ よりも take different ~ と述べた方が英語として自然に響きます。
距離に応じて交通機関を使い分ける
天気によってバスと自転車を使い分ける
体調に応じて薬を飲み分ける
生み出す・作り出すものには make を用いる
声色(声音)のような、人間が生み出す・発する・生じさせる要素の色濃い対象について「使い分ける」と述べる場合、動詞 make が使えます。
彼は役に応じて声を自在に使い分ける
もっとも、声色に限っていえば using different voices と述べている例もチラホラあり、特に変に響くわけでもなさそうです。
使い分けられる(能力がある)という意味なら have が使える
英語では「能力を有している」という意味合いの叙述では動詞 have を用います。「使い分ける」という言葉は、それほど多種の何か、またそれらを瞬時に切り替える能力を有していることを称えるような文脈で用いられる場合が多いと言えます。場面によってはこうした能力について単純に述べただけでも、使い分けができるという趣旨を間接的に表現できます。
彼はいくつもの球種を使い分けることができる
「使い分ける」の種類に応じた様々な言い換え
別々の物であると簡潔に述べる表現
動詞なら differentiate または distinguish
日本語で「使い分ける」と述べる文脈の中には、実際に何かを使うという場面以外にも、ただいくつかの物を分けて認識する、別々のものととらえる、といった意味合いも多く含まれます。
こうした文脈における「使い分ける」には、differentiate または distinguish といった動詞が当てはまります。どちらも「区別する」「識別する」といった意味を持ち、複数のものに違いを見出すという点で「使い分ける」に共通する趣旨を表現できます。
その2つはどう使い分けているの?
副詞なら differently
動詞 + differently と述べれば、条件に応じて異なった行動をとることが表現できます。differently は different の副詞形で、「違う」ということを漠然と意味するにとどまります。どんな要因によって対応を変えるのか、はたまたどのように異なる対応をするのか、といった点は前後の文脈で補足しましょう。
仕事の顔とプライベートの顔を使い分ける
「選ぶ」と言い換える表現
「使い分ける」はそもそも、複数の選択肢の中から最適な1つを選んで使う行為を指します。その「選ぶ」を意味する choose や pick などの動詞も、文脈によっては「使い分ける」を表現する際に用いることができます。
切りたいものに応じてナイフを使い分けなさい
気温によってシャツを使い分けなさい
「切り替える」と言い換える表現
状況に応じて何かを使い分けるという行為は、何かを別の何かに替えるというプロセスを伴います。この「替える」の部分を表す change や switch も「使い分ける」を表す英語表現として用いられます。
季節に応じて制服を使い分ける
使い分けるものが2パターンしかない場合、前置詞 betweenが使えます。switch between ~ and ~ というと、物と物の間を切り替える行為が表現できます。
普段は英語と日本語を使い分けている
使い分け方を尋ねる表現
「使い分ける」を疑問形で用いる場合は、少し異なる考え方で英語表現を見つける必要があります。
たとえば2つの物の使い分け方を尋ねる場面では、How do you differentiate the two? ももちろん正解ですが、When do you use this one, instead of that one? のような表現も同様の意味を持ちます。
when do you use ~ ? は直訳すると「いつ~を使うの?」ですが、どのような条件において使い分けを行うのかを聞きたいわけですから、使い分ける「時」を尋ねる when を使った疑問文でも同じニュアンスを表すことができます。